
両手でクラブを持ってスウィング、左手でクラブを持ってスウィング(写真)、その前段階の手と体の動きを覚えるためのドリルを解説
手と腕のポジションを覚える「イメージクロック」

手と腕のポジションを覚える「イメージクロック」に体の動きを合わせていく。写真は8時~4時のポジション。両手を4時と8時に開いて、4時の左手を8時の右手に合わせる動き
GD 2回にわたって説明していただいた イメージクロックはスウィングの正しい手、腕、クラブの位置を覚えるのに効果がある考え方。クラブを持たずに正しい手、腕のポジションを学びました。
原田 クラブを持たない両手をパンパンたたくエアドリル覚えてますか。
GD 真下の6時の位置からトップの耳の高さまで手を合わせるドリルですね。
原田 簡単に復習しましょう。最初は一番小さい動きの7時~5時からいきますよ。真下の6時の位置で両手を合わせてから右手を7時の位置、左手を5時の位置まで開きます。このときは腕が伸びて両手のひらが向かい合っています。で、この状態からまず左手を動かして手のひらを右手のひらに合わせ、左手のひらで右手のひらをパンパンと音がするようにたたきます。この段階では動きは小さいですが、これでバックスウィングのポジションを確認します。次は左手を右手から離して再び両手を所定の位置まで開き、右手を動かして右手のひらを左手のひらに合わせます。それから右手のひらで左手のひらをパンパンとたたきます。
手と腕のポジションを覚えながら"エアスウィング"

7時~5時の"振り幅"の範囲で、両手を合わせて6時のポジションから7時にテークバック、そして5時フォローまでの動きを覚える。小さな動きだが、この間は腕を伸ばしたまま。これも大事なポイントだ
GD インパクト後のフォローの手のポジションを確認するわけですね。7時~5時はとても小さい動きですが、それでもドリルが必要なのですね。
原田 この小さい動きはアプローチのマスターにとても役立つので、おろそかにしてはいけません。アプローチのイメージクロックはまた今度説明しますが、いままでアプローチに悩んでいた方は嘘のように、悩みを解決できるはずです。
GD その楽しみはとりあえず先にとっておいて、アプローチのことを考えると、小さい動きも大切ですね。
原田 そうです。で、次は8時~4時ですが7時~5時と要領は同じです。
GD ここまでは体の回転が入っていないように見えますが、それでいいんですね?
原田 7時~5時、8時~4時までのエアドリルではまだ体の回転、体重移動は入ってきません。体の回転、つまり体幹ターン(体重移動と体の回転)が入ってくるのは9時~3時からです。
GD これはハーフスウィングの大きさですね。
小さい振り幅からフルスウィングまでの動きを徐々に覚えていく

両手を9時~3時にひらいたポジションからアドレス、テークバック、フォローまで一連の動きを覚える。7時~5時、8時~4時とは違い、9時~3時からひじを曲げ、手は正面を向けるのがポイント
原田 前にも説明しましたが、8時~4時から9時~3時への移行がイメージクロックの一番大事なところです。これは真下6時で両手を合わせたら右手を9時の位置、左手を3時の位置へ持っていきます。大体腰の高さですね。このとき両手のひらは体の正面を向き、手首が甲側に折れてひじが曲がってわきが締まります。次は左手だけをいったん6時の位置に戻してから動かして手のひらを右手のひらに合わせ、左手のひらで右手のひらをパンパンとたたきます。これでハーフスウィングのトップの位置が確認できます。この段階では体の回転、体幹ターンが入ります。でないと右手が左手に届かないのでね。次は両手を9時~3時の位置にセットし直します。で、右手だけを6時の位置に戻してから左に動かして手のひらを左手のひらに合わせ、右手のひらで左手のひらをパンパンとたたきます。これでハーフスウィングのフィニッシュの位置を確認できます。
9時~3時のハーフスウィングから体重移動と体の回転を加える

9時~3時はハーフスウィング。10時~2時はスリークォータースウィング、11時~1時はフルスウィング
GD なるほどです。確かに体の回転を入れないと手が届きません。このことからも体の回転、体幹ターンの大切さが分かりますね。でも、9時~3時からは片方の手をいったん6時の位置に戻してから動かすのはなぜですか?
原田 それはね、動かすほうの手をいったんアドレスの位置に戻したほうが、実際のスウィングの感覚に落とし込みやすいからです。次はスリークォーターとなる10時~2時です。両手を真下6時の位置で合わせたら右手を10時の位置、左手を2時の位置に持っていきます。おおよそ肩の高さで、手首が甲側に折れて両わきが締まりひじは下を向きます。この形から左手をいったん6時の位置に戻します。次に体感ターンを使って左手を動かし、手のひらを右手のひらに合わせたら手のひらで右手のひらをパンパンとたたきます。これでスリークォーターのトップ位置が分かります。次に両手を10時~2時の位置に戻します。ここから右手を6時に戻してから動かして手のひらを左手のひらに合わせ、手のひらで右手のひらをパンパンとたたきます。これでフィニッシュ位置が体感できます。
GD で、最後が11時~1時ですね。
フルスウィングの手と体の動きを体感するドリル

手と腕のポジションを覚えながら、体重移動と体の回転を同時に行い、アドレスからフィニッシュまでの一連のスウィングの動きをマスター
原田 そう。これはフルスウィングの位置ですね。両手を6時の位置で合わせたら右手を11時の位置、左手を1時の位置に持っていきます。両手が耳の横で手首が甲側に折れて手のひらがやや上向きになります。両わきが締まってひじが下を向きます。ここから左手だけを6時に戻します。体幹ターンを使って左手を右に動かして手のひらを右手のひらに合わせてからパンパンとたたきます。これでフルスウィングのトップの位置が確認できます。次に両手を11時~1時の位置にセットし直してから右手だけを6時に戻し、左へ動かして手のひらを左手のひらに合わせ、パンパンとたたきます。これでフィニッシュ位置が分かります。
トップの11時は右手首の角度をチェック

11時では右手首が甲側に折れる。この形もチェックしよう。9時、10時でも同様だ
GD このエアドリルに取り組むと、手、腕の正しいポジションがすごく分かりやすいです。アマチュアはどこに手を上げたらいいのか、どう振ったらいいのか分からなくなることがしょっちゅうありますけど、このドリルをやれば正解が分かりますね。スウィングの大きさもわかります。はずかしいですが、自分のフルスウィングは10時~2時まででした。トップもフィニッシュも11時~1時になってはいませんでした。だから飛ばないんですね。
クラブを持たないエアドリルからクラブを持ったエアスウィングへ

クラブを持たないイメージクロックをマスターしたら、次はクラブを持って「イメージクロック」に挑戦。次回はその詳細を解説
原田 そうですよ。力いっぱい振ろうとか、体の動きを使って飛ばそうとかしてもボールは飛びません。11時~1時の手のポジションを理解してからクラブを振ることを覚えることが、飛距離アップや真っすぐボールを飛ばすことへの最短距離。手のポジション、わきの締め方、ひじのたたみ、スウィングの大きさは、このイメージクロックがすべて。7時~5時から11時~1時まで、細かく説明したのは、スウィングを作るうえで大切なことだからです。クラブを振らないから安全だしね。次回はクラブを持ってのイメージクロックを説明しましょう。
●原田伝一( 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長)
はらだ・でんいち。1955年、横浜市出身。80〜82年、US・NGFインストラクターセミナー参加。ゴルフ指導者について研究を積む。83年、NGF日本ゴルフ財団チーフインストラクター就任。2010年、一般社団法人 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長に就任。数多くのレッスンプロを世に送り出している。
撮影協力/ ENゴルフレンジ