「長谷部祐とギア問答!」は、国内外大手3メーカーで、誰もが知る有名クラブの企画開発を20年超やってきたスペシャリストの長谷部祐氏に、クラブに関する疑問を投げかけ、今何が起こっているのか? その真相を根掘り葉掘り聞き出すものです。クラブ開発の裏側では、クラブ開発の裏側では、こんなことが考えられているようです……。

2023年、シニアツアーで突然わいた「コブラ人気」

GD 「コブラ」のドライバーが2023年頃から密かにシニアツアーで話題になっています。2024年もその人気が続いていた感じですが、なぜシニアプロがコブラのドライバーに注目したと思われますか?

長谷部 「コブラ」は一歩先の新しいチャレンジをしているメーカーだと自分には見えています。2023年の『エアロジェット』の前から女子プロも使っていて、原英莉花プロが使っているということもあって一時話題になりました。基本的には、初速性能の高い製品を生み出しているような気がします。
 
ヘッドスピードが遅くなってきているシニアプロや、ヘッドスピードが遅い女子プロに初速性能の高さが受けたのだと思います。コブラは「LSモデル」を積極的に出していて、ウェイト配分をフェース寄りに置く設計もいち早く取り入れています。「テーラーメイド」がスライド式を採用していた頃、コブラは固定のウェイトを採用していました。
 
ヘッド形状に関しても、低重心を狙うとお尻が下がるストレッチバックになりやすいところを、コブラは一生懸命我慢して、ハイバックのものをシリーズの中に1つ残しているというところもあって、そういったことがシニアプロに受けた要因のひとつだと思います。シャローバックやストレッチバックが受け入れられないところに、形状の好みがマッチしたことがシニアプロのコブラ人気になった点だと思います。

GD この連載が始まって1年が経ちましたが、やっと答え発表のような機会になりました。みんなのゴルフダイジェスト「ギア問答」のバナー画像に『コブラ エアロジェット』を使用して、「この形状すごい!」とありますが、あの形状に何を感じていたんですか?

長谷部 自分はシャローバックに対して、構えた時に違和感のある年代なんですよ。パーシモンでゴルフを始めたこともあるし、ディープバックがいいと言われていた時代を経験しているので、どうしてもヘッドの右側が下がっていることに違和感を覚えます。空力特性を上げるためにお尻を上げるっていうのは、どこのメーカーもやっていることなんですけど、それをきちんと維持してやり続けているところが、「コブラ」が他のメーカーとはちょっと違うポリシーとか、独自性のようなものを感じます。

GD 「コブラ」は歴史あるメーカーで、プロ転向直後のタイガー・ウッズがドライバーを使っていたり、タイガーが登場する前の時代は、長らく世界ナンバー1だったグレッグ・ノーマンがフルで使用していたメーカーです。他にも松山英樹プロが使うゲタ履きソールのフェアウェイウッド、トラスティーウェッジというヒット商品も生んできました。無名ではないけどメジャーではない感じのブランドですが、アメリカ市場ではどんな立ち位置なんですか?

長谷部 アメリカ国内のトップブランドが「タイトリスト」だとすると、それを追うのが「キャロウェイ」、「テーラーメイド」だったりするんですけど、第2グループまでは規模的にいっていないとしても、第3グループでしっかり存在感を出しているブランドだと思いますよ。日本においては知ってはいるけど興味を持たれないブランドになっているかもしれませんが、今後じわじわとユーザーが広がる可能性があるし、相変わらず独自性を貫いているので新製品が出るタイミングではいつも興味深く見ています。

GD 看板選手として日本でもファンの多いリッキー・ファウラーがいますが、日本のゴルファーになかなか浸透しないのは何なんでしょう?

長谷部 話題性がないわけではなんですけど、ここは販売戦略とかが影響してか、ちょっと一歩引かれて見られてしまっているところがあると思います。あともう一歩だと思うんですよ。
 
ただどうしてもパワーマーケティングの「テーラーメイド」、「キャロウェイ」の話題が先行して、今年は「ピン」がトップを走っている状況の中で、せっかくスリーブを細かく調整できるモノに変更したのに存在感がまだまだ出てきていないような気がします。宣伝量と販路というところで、もう一歩情報が届きにくいのかな?という気がします。

▶▶▶シニアで「コブラ」や「ミニドライバー」が人気なのは同じ理由というが……

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