国内女子ツアー第4戦「ヤマハレディースオープン葛城」はプレーオフの末、穴井詩が全美貞を退け今季初優勝(通算6勝目)を飾った。みんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファーの中村修が現地からのレポートをお届けします。

気温12.8度と肌寒く、朝から雨の降るコンディションの中、上位陣はスコアを着実に伸ばします。最終組から2組前の桑木志帆選手は前半を33、1組前の小林光希選手は34でターンし、トップの穴井詩選手を追い上げます。

画像: 「ヤマハレディースオープン葛城」で全美貞とのプレーオフを制し今季初優勝(通算6勝目)を飾った穴井詩

「ヤマハレディースオープン葛城」で全美貞とのプレーオフを制し今季初優勝(通算6勝目)を飾った穴井詩

最終組の穴井詩、全美貞選手も34と2つスコアを伸ばしてサンデーバックナインに入ると、雨が強くなったこともありスコアは小康状態に。13番を穴井選手がボギーとし、混戦に。やはり勝負のカギはパー5といわんばかりに、15番(インコース最初のパー5)でスコアが動きます。先を行く桑木、小林もバーディ、最終組は全員バーディ、打ち下ろしで左右が狭い16番パー4を桑木選手が連続バーディで13アンダーに。

藤田選手は16番で左に曲げボギーとし一歩後退、穴井選手は完璧なドライバーショットでフェアウェイを捉えますがバーディは奪えず。17番パー3は、桑木選手がグリーン奥に外して痛恨のダブルボギー、小林選手もボギーで後退。全美貞選手がバーディで首位の穴井選手に並びます。

72ホール目の18番パー5で小林選手がバーディとし、12アンダーでクラブハウスリーダーに。最終組の3名のスコア次第で優勝かプレーオフが決まる展開になりました。穴井選手はボール初速69m/sとアマチュア男子の飛ばし屋と同じくらいのスピードで打ち出すとややドローが強く左ラフ。2オンを狙わずに全美貞選手と藤田選手と同じく3打目勝負としてフェアウェイにレイアップ。

画像: 豪快なドライバーショットとパーオン率の高いアイアイショットで難易度の高い葛城GC山名Cを攻略した

豪快なドライバーショットとパーオン率の高いアイアイショットで難易度の高い葛城GC山名Cを攻略した

穴井選手の3打目はピン奥からバックスピンで戻すもピンから遠ざかり2.5mのやや下りのラインに止まると、42歳の全美貞選手はピン横80センチにピタリと寄せます。藤田選手が先にバーディを決めて12アンダーでホールアウト、穴井選手はわずかにカップに嫌われパーで終え、13アンダーでホールアウト。勝負の行方は全美貞選手のバーディパット次第に。誰もが沈めると思った80センチのパットを外し、まさかのパー。穴井選手と全美貞選手が13アンダーで並び、プレーオフに。

画像: 午前中の降りしきる雨の中、スコアを伸ばした

午前中の降りしきる雨の中、スコアを伸ばした

プレーオフ1ホール目も3打目勝負となりますが、全美貞選手はディボットにかかるアンラッキーなライ。そこから少し引っかかってピン左約5mのスライスラインに。対して、穴井選手は右のラフからの3打目をピン横1m強の上りのラインにナイスオン。

全美貞選手のパットは1mは曲がるようなスライスラインからカップをわずかにオーバーしパー。穴井選手がウイニングパットをしっかりと決めて今季初優勝を飾りました。

「ゴルフは最後まで何があるかわからない」と選手たちは口にしますが、最後まで集中力を切らさず、守りながらも攻めるベテランらしいプレーで、23年にも制した今大会でトーナメントレコードを更新して6勝目を挙げました。

優勝会見では「大先輩二人とのプレーで良い緊張感を一日中保てた。バーディを取っていかなければ勝てないと思っていた」と話し、正規の18番の3打目では「54ヤードで奥からバックスピンで戻り過ぎたのでプレーオフでは64ヤード(70ヤード残したかったが)のラフにあったことでラッキーでした」とスピン量を上手くコントロールすることができ、ピンそばに止められたと教えてくれました。

このオフは「トレーニング期間を長く取ったことで体力がついて来ている」とも話し、どれくらい?との質問に「18ホール終わってからホテルに戻って縄跳びを高速で7分間跳べるくらい」と37歳になって初めて専属のトレーナー兼ケアを担当する勝城誉伸トレーナーを隔週で帯同させていることも早速の成果につながったようです。

次の目標は「メジャーを獲ること」と、1カ月後の「ワールドレディスサロンパスカップ」に向けて準備したいと締めくくりました。昨季は30歳以上の優勝はイ・ミニョン選手の1勝だけでしたので、上位で終えたベテラン勢の活躍も期待できそうです。穴井詩選手の豪快なプレーに引き続き注目していきましょう。

写真/有原裕晶

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