
わずか8センチのパットを外したトニー・フィナウ
第3ラウンドの15番パー3は122ヤード。それなのに平均スコアは3.3で多くのトッププロが苦戦した。そのホールでフィナウはピンまでおよそ12メートルにワンオン。ショット分析システムのショットリンクによると、ファーストパットを1メートル強に寄せている。
楽々パーセーブかと思われたがパットを引っかけリップアウト。タップインしようとしたがわずか3インチ(8センチ弱)をミスして1オン4パットのダブルボギーを叩いてしまったのだ。幸か不幸か一連のシーンは生中継されなかったがミスの場面は録画されていた。3インチのミスパットは本当に史上最短なのか? という議論が巻き起こった。
アメリカのゴルファー界隈が検証に乗り出したところ、実例が示されたのは23年の7月コーンフェリーツアー(下部ツアー)のトム・ホイットニーが記録した約10センチと言われるミスパット。パターの先端で雑にタップインしようとしてリップアウトしてしまったのだ。
記憶に新しいのは22年のアーノルド・パーマー招待でLIV移籍前のジョン・ラームが1メートル弱のパットを空振りしたシーン。テレビ中継のアナウンサーが「いったい何が起きたのでしょうか? わかりません」と言った不可解な空振り。
しかしこれは最短ミスとはいえない。歴史をさかのぼると83年の全英オープン(ロイヤルバークデール)でベルンハルト・ランガーに抜かれるまで長年米シニアツアーの最多勝利記録を保持していたヘイル・アーウィンがグリーン上で空振りしていることもわかった。
空振りを除けば最短ミスはフィナウかホイットニーかだが、ツアー6勝のフィナウに敬意(?)を表し彼をゴルフ史上最短ミスパットの人物と認定すべきか。ショートパットを侮ってはいけない。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年4月22日号「バック9」より