
内山遥人(うちやま・はると)。24年ABEMAツアーでは地元福岡開催のジャパンクリエイトチャレンジ in 福岡雷山で2位タイに入るなどトップ10が4回。賞金ランク15位の資格でリランキングまでレギュラーツアーの出場権を獲得
49歳でQT1位になり、初シード権獲得のツアー最年長記録を更新した海老根文博や、女子で初めてJGTOのツアープレーヤーとなった寺⻄飛香留の出場で、話題性が多い開幕戦。みんゴルでは昨年のABEMAツアー取材の経験から、若手に注目。
パッティングに定評のあり、日大ゴルフ部で杉浦悠太の一学年上のキャプテンだった古川龍之介や、米LPGAツアーではジュタヌガーン姉妹、イ・ジョンウン6などのメジャー優勝者やPGAツアーではイ・キョンフンを指導するクリス・メイソンに指導を受ける逆輸入プロの山脇健斗など、過去に紹介した若手選手の多くがレギュラーツアーにいるのは嬉しく、彼らにも注目してほしいが、今回、これまでに取り上げたことのない若手プロをピックアップ! それは福岡県出身の22歳・内山遥人。
取材前に、男子プロだったらJGTOの、女子プロだったらLPGAのプロフィールを確認するが、それと併せてJGA(日本ゴルフ協会)のプロフィールも確認する。ジュニア時代の戦績が掲載されており、取材対象者の成績が把握でき、そこから話が膨らむからだ。
複数人の関係者から「内山遥人が面白い」と話を聞き、いつものようにJGTOとJGAのプロフィールを確認すると、JGAでは写真はおろか、戦績の記載がない。一瞬、「同姓同名の別人か?」とも思ったが、生年月日はJGTOと同じなので今回のターゲットである内山遥人その人だ。
内山にその話を聞くと、「全国大会の経験だけでなく、高校時代までは九州の大会でも上位に入ったことがないからだと思います。福岡県の強化選手に高校3年生で1回選ばれたけど、ちょうどコロナで大きな試合がなくなっちゃったので……」と理由を話す。
「高校卒業後にいまも所属している芥屋ゴルフ倶楽部に研修生として入りました。21年に2回目のプロテストで合格。プロテスト合格がまず目標だったので、合格までQTは受けていません。22年のQTはファーストで落ちて、翌23年にサードまで行って、その資格で昨年ABEMAツアー(現・ACNツアー)に参加して、賞金ランク15位に。それで今期は開幕からレギュラーツアーに参戦です」
コロナ禍とはいえ、全国的にまったくの無名な選手が、高校卒業からわずか4年でレギュラーツアーに参戦しているのは異例な気がする。内山本人も「高校時代の自分の立場から考えたら、ここまで来るのは早いなと思いますね」と話す。

180cmの長身と中学時代に陸上部で鍛えた足腰で繰り出す300Y超えのビッグドライブが武器。ヘッドは『パラダイム Aiスモーク ♦♦♦』を使用中。コース内にある満開の桜のように、花を咲かせられるか注目だ!
そんな内山はドライバーとパッティングが得意で、ドライバーの飛距離は300ヤードを超す。180cmという高身長だけあって、高校時代からも飛んでいたかと思いきや、「高校時代は全然でしたね。球質的にスピン量が多いタイプで、吹き上がっていたのを、クラブを変えたり、スウィングを変えたりしたら、飛距離が出るようになりました。研修生時代から、小田孔明さんの『チーム孔明』に入れていただいて、そこに参加しているプロのクラブを打ったりして、自分に合うシャフトとヘッドを見つけたら飛距離が伸びました」という。プロになるレベルでも、やはり自分に合ったシャフト、ヘッド選びが重要だということは、ゴルフにおいて“弘法筆を選ばず”はないのだろう。
ギャラリーに自分のどこを見てもらいたいかを聞くと、「ドライバーの飛距離はぜひ、観てほしいですね。あとはパッティングも得意なので、そこも見ていただけたら。もちろん、入る入らないはあるんですけど(笑)。東建多度CCははじめて練習ラウンドで回りましたが、ティーショットのプレッシャーは思っていたほどないので、ドライバーは気持ちよく振りぬけそうです。綺麗なコースなので楽しみたいです」。
いまはまだ無名な存在だが、今年、大きく化ける可能性を秘めた逸材とみている関係者は多い。初日は11時45分にIN(10番)から岡田絃希、大澤和也との組み合わせ。内山遥人、覚えておいて損はないゴルファーだろう。
撮影/岡沢裕行