ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。今回は2月までまったく知らなかった選手を紹介。デンマーク生まれ、オクラホマ州立大出身の25歳、ラスムス・ニアガード・ピーターセンについて語ってもらった。
画像: 「(ラスムスは)カタールの最終日は強風の中でも力強いスウィングでほとんどパーオン。178㎝と海外選手の中では小柄ながら飛ばし屋の部類には入ります。『いい感じで振るなあ』と思ったのが、今回、ボクが取り上げた理由。おそらくこれはボクだけでなく、プロであれば誰もが感じる印象ではないでしょうか」(佐藤プロ)

「(ラスムスは)カタールの最終日は強風の中でも力強いスウィングでほとんどパーオン。178㎝と海外選手の中では小柄ながら飛ばし屋の部類には入ります。『いい感じで振るなあ』と思ったのが、今回、ボクが取り上げた理由。おそらくこれはボクだけでなく、プロであれば誰もが感じる印象ではないでしょうか」(佐藤プロ)

リー・ハオトン(李昊桐)が優勝したカタールマスターズで、最終日に65をマーク、1打差の2位まで追い上げました。

興味を持って調べてみると、ジュニア時代はデンマークジュニアをはじめ、欧州のいくつかのタイトルを獲得し、オクラホマ州立大に進みます。先輩であるビクトール・ホブラン、マシュー・ウルフとは1年間、同大のチームメートとして戦いました。オールアメリカンにも1度選ばれましたし、確かにいい選手であったことは間違いありませんが、スポットライトを独り占めするエリートではなかったようです。

プロ転向は23年PGAユニバーシティでは22位だったため、欧州のチャレンジツアーに。この年、同制度の1位だったのが、今年のジェネシス招待でPGAツアー2勝目を挙げたテキサス工科大のラドビック・アバーグでした。

ルーキーイヤーの23年は、チャレンジツアーで8試合、レギュラーツアーで5試合に出場。うちトップ10フィニッシュはそれぞれ3回、1回と安定した成績を残しますが、QTで53位と失敗し、24年もチャレンジが主戦場に。

しかし3月のインド、4月のアブダビ、9月のドイツで3勝を挙げて欧州ツアーに昇格しました。同ツアーでの同シーズン3勝は、ニアガード・ピーターセンで13人目。過去にはブルックス・ケプカ、アーロン・ライ、エドアルド・モリナリなどがいます。

PGAツアー下部のコーンフェリーツアーでの同シーズン3勝の選手はその後大成した選手が意外と少ないですが、欧州ツアーではトップ選手への登竜門となっているようです。ドイツで3勝目を挙げた直後からレギュラーツアーに参戦、出場11試合でランク105位となりシード権を獲得しました。

そして迎えた11月から始まる24-25年シーズンは、カタールまで6試合でトップ10が3回。カタールから1カ月後のPGAツアーのプエルトリコでは、最終日に63をマークして2位に。次のバルスパー選手権も予選を通過し、22位に入っています。今後のスケジュールは未定ですが、推薦のいかんによっては早々とPGAツアー切符を手にするかもしれません。

なお、彼の注目ポイントとしては最終日の強さです。2位となったカタールでは65、バルスパーでは63で優勝争いに顔を出しました。昨年のチャレンジでもアブダビでは3打差を、ドイツでは6打差を大逆転。初優勝だったインドでは、日本ツアーでも優勝経験のある地元ラヒル・ガンジーとの一騎打ちで、完全アウェイの状態での勝負強さを見せつけました。実は近年、ゴルフ強豪国として台頭しているのがデンマークです。

4月2日時点で、世界ランク100位以内を国別にみると、アメリカが半分の50人。それに続くのがイングランドの9人。そして5人で3位につけるのがデンマークとカナダです。その中で55位のラスムス・ホイガードに続き、76位で2番手につけているのがニアガード・ピーターセン、79位がニコライ・ホイガード。

もともと地力はあったのでしょう。ただ、彼とデンマークの躍進ぶりは、とても興味深いところです。ちなみにデンマークの人口は約600万人。ゴルフ場は300近くあるそうです。そうした環境に加え、国を挙げてバックアップ体制が整っているのでしょうか。

ライダーカップのキャプテンも務めたトーマス・ビヨーンは、パリ五輪でも監督……日本代表の丸山茂樹ヘッドコーチのような立場……でチームに帯同していました。選手にとって“頼りになる兄貴分”のような存在なのでしょう。その辺の距離感が、選手の強化につながっているのかもしれません。またビヨーンは欧州のチャレンジツアーで自分で試合を設けたこともあり、24年から欧州ツアーのデンマークの試合(デンマークゴルフ選手権)では、大会会長を務めています。

デンマークの練習ラウンドでは、明らかに素人と思えるおじさんがボールを打っていました。後で聞いたら、なんとその正体は国王で、国を挙げてのサポート体制もしっかりしている(?)証拠なのでしょう。

参考ポイント=足踏みを始動のきかっけに。躊躇なく一気にスウィングを始める

画像: ゴルフで難しいとされるもののひとつに、始動のきっかけ。ニアガード・ピーターセンは足踏みしながら躊躇なく一気にスウィングが始まります。これを参考にし、“いい感じで振っている” につなげましょう

ゴルフで難しいとされるもののひとつに、始動のきっかけ。ニアガード・ピーターセンは足踏みしながら躊躇なく一気にスウィングが始まります。これを参考にし、“いい感じで振っている” につなげましょう

さて、アマチュアがニアガード・ピーターセンを真似るとしたら、躊躇なく振り切るあの感じでしょう。

言葉で表現すると、キレがいい、思い切りがいい、ゆるみのないスウィングです。まずは振り切ってみることから始めましょう。

PHOTO/Getty Images、Tadashi Anezaki

※週刊ゴルフダイジェスト2025年4月22日号「さとうの目」より

デンマークのホイガード兄弟

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