
悲願のマスターズ初制覇を果たしたローリー・マキロイ(撮影/Yoshihiro Iwamoto)
「14年前、僕は世間知らずの若者でした」(マキロイ)

2011年マスターズ最終日、最終組で回ったマキロイとカブレラ(撮影/姉崎正)
「カブレラとは14年前のマスターズで最終日最終組を一緒に回ったんです。うれしい気持ちと同時になんだか感慨深いな、と思いました」
まだメジャー無冠だった11年、ネクストタイガーと呼ばれた21歳の若者は最終日を4打リードで迎えていた。前半は順調だった。ところが10番でエアポケットにハマった。ティーショットを大きく左に曲げると冷静さを失いトリプルボギー。そこからは坂を転げ落ちるようにスコアを崩し15位タイに終わった。
悪夢のあの日から14年の歳月が流れた。またすぐにチャンスは訪れると思ったがタイトルは遠かった。
「毎回出場するたびにできる限り前向きな姿勢で臨むよう心がけてきました」
しかし何度挑んでも跳ね返されるばかり。そして重圧は増していった。それでもマキロイは諦めなかった。一歩ずつ前進し続けてついに戴冠を果たした。
「14年前、僕は世間知らずの若者でした。学ぶべきものがたくさんあった。でもあの頃は自分自身のことさえ理解できていなかったかもしれません。なぜ好位置にいられたのか? なぜチャンスを逃してしまったのかもわかっていなかった」
その苦い経験、厳しい敗北を経てグリーンジャケットを獲得したマキロイは14年前の自分にこう言いたいという。
「とにかく道を進み続けろ。信じ続けろ。そして僕の話を聞いている若者たちにこんな言葉を送りたいです。自分の夢を信じろ。そして精いっぱい努力すれば望むものはなんでも達成できる」
子供の頃からの夢を叶えた今、彼は胸を張って「決して諦めなかった自分を誇りに思います。何度も立ち直り気持ちを切り替え、失望に打ちひしがれながら戦い抜いたことを誇りに思います。今日はゴルフ人生最高の日です」。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年5月6日号「バック9」より