
「SkyRKBレディスクラシック」で2年ぶりにツアー3勝目を飾った神谷そら(撮影/岡沢裕行)
上がり4ホールで5つ伸ばした

最終ホールのパー5でイーグルパットを沈め逆転勝利を飾った(撮影/岡沢裕行)
劇的な幕切れだった。
神谷、金澤、小祝の最終組が最終18番パー5に臨む時点で、金澤が通算13アンダーで首位を守り、小祝と神谷は通算12アンダーで2位。勝利の女神が誰に微笑むのかまったく予想ができない状況だった。
この大混戦の中、女神を振り向かせたのは神谷だった。
ドライバーの第1打でフェアウェイをとらえると、自慢の飛距離にモノをいわせ、ピンまで残り207ヤードを4番ユーティリティーでピン6メートルに2オン成功。決めれば優勝の重圧がかかるパットだったが、しっかりと沈めて激戦にピリオドを打った。
グリーンサイドに陣取ったギャラリーがどよめく中、会心の笑みを浮かべながらキャディとハイタッチ。グリーンサイドで見守った仲間たちのハグを受けたときには涙を流して喜びに浸った。
「(最後のパットを)打つ前はこれが入ったら勝つんだなと思っていたけど、入った瞬間は、あれっ、これどうなるんだっけ? と混乱していました。キャディさんの顔を見て勝ったんだなと。(18番のティーグラウンドでは)プレーオフには持っていきたいなと思っていました。唯一気持ちよく振れるホールなので最後は気持ちよく振りたいと。今日イチのショットだったと思います」

小祝さくらと金澤志奈との戦いを制した神谷(撮影/岡沢裕行)
最終18番のイーグルが際立つ最終日だったが、そこまでの猛チャージも素晴らしかった。この日は金澤、小祝と並ぶ通算9アンダー首位からスタート。9番でダブルボギー、11番では第1打をOBとしてボギーをたたき、一時は通算9アンダーまで後退したが、集中力を失うことはなかった。
15番パー4で残り82ヤードの第2打を2メートルにつけてバーディを奪うと、16番は5メートルを沈めた。17番も左手前5メートルを決め、最終18番のイーグルにつなげた。
最終日の上がり4ホールで5打を縮める異次元の追い上げとなったが、今週はソフトウェアコンサルティング大手のSkyの主催。神谷は名前が「そら=Sky」で開幕前から縁を感じていたという。
「キャディさんからコースが短いから(飛距離が出る)そらちゃん向きじゃないよと言われていました。でも、名前は縁があるので、何か感じる部分はあると思っていました」
左足首痛から復活

左足首痛から復活。ドライビングディスタンスでトップに立った(撮影/岡沢裕行)
仲がいい菅沼菜々が前々週のパナソニックオープンレディースで復活優勝を果たしたことにも刺激をもらった。
「(勝てない間は)つらかったよね、とか話していました。朝ごはんを一緒に食べたりして仲良くさせてもらっています」
神谷は2022年11月のプロテストに合格。新人だった2023年には国内メジャーの日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯を制したが、昨年は左足首痛に苦しんだこともあり未勝利に終わった。今週はそのトンネルから抜け出しての復活V。
「今年はまずは優勝争いに加わる回数を増やしたいと思っていた。こんなに早く勝てるとは思っていませんでした。今季はまだたくさん試合があるので、4勝目、5勝目を目指して頑張りたいです」
涙が乾いた目は早くも未来を見据えた。