6月18日〜20日に福岡県にある福岡雷山ゴルフ倶楽部で開催されるACNツアー第6戦「ジャパンクリエイトチャレンジ in 福岡雷山」。この試合に出場する注目選手を紹介! ナビゲーターは昨年まで実況や現地リポーターとして7年間ACNツアーを観てきた萩原菜乃花だ。
画像: 昨年まで下部ツアーなどの実況や現地リポーターを担当していた萩原

昨年まで下部ツアーなどの実況や現地リポーターを担当していた萩原

はぎわら・なのか。名門日本大学ゴルフ部に所属して腕を磨き、ベストスコアは75。学生時代から週刊ゴルフダイジェストなどに登場。大学卒業後はライムライト所属のフリーアナウンサーとして活動中。

ベテランの内藤寛太郎が11年ぶりに下部ツアー優勝を果たした昨年の今大会。萩原が注目したのは内藤を上回るベテランたちだ。

画像: 左から高山忠洋、小林正則、増田伸洋

左から高山忠洋、小林正則、増田伸洋

「以前小林正則選手に、『40代の選手たちは狭間(レギュラーやACNツアーには若い選手たちがどんどん出てきて、シニアにはまだ数年ある時期)で1番モチベーションの保ち方が難しい』と聞いたことがきっかけです。今回はベテラン選手たちも多く出場することから、シニアでも活躍する増田伸洋選手、来年からシニアツアーの小林正則選手、シニアまではあと3年の高山忠洋選手に取材しました」

ちなみに、今年からレギュラーツアーが開催されていない週に限り、シード選手が出場することができる出場枠(最大5枠)が設けられこの新制度を利用して、稲森佑貴と杉山知靖が出場。なお、当該選手には賞金の配分はあるが、ポイント及び優勝特典はないというレギュレーションだ。

ツアー5勝・高山忠洋

まずは、シニアツアーまであと3年に迫ったツアー5勝の高山忠洋選手。小林選手が“狭間”と言っていたまさにドンピシャの年齢だ。

画像: 高山忠洋はまだまだレギュラーツアーで活躍も可能なアラフォー筆頭だ

高山忠洋はまだまだレギュラーツアーで活躍も可能なアラフォー筆頭だ

高山選手は高校卒業後に研修生でゴルフをはじめ、1999年にプロ転向。02年に初シード、05年に初優勝と順風満帆のゴルフ人生を送っていた。ところが、その年の暮れに2勝目を挙げた後に左手親指の痛みが激しくなり、08年は一時ツアーから離脱。トレーニングと治療の甲斐あって、10年に復活優勝、17年まで16年連続でシードを維持した。18年は目の病気で夏場から休養。特別保障制度と推薦でシード復帰。22年は胸膜炎、23年はわき腹を痛めるなど、怪我との戦いが続く。なお、25年は昨年から引き続きACNツアー特別保障制度が適用され、その資格で出場中。

「この歳になると痛みとの勝負だから」と笑いながら話す。とはいえ、怪我との戦いで培ったトレーニングのおかげか「自身の飛距離は変わっていない」というが、「それ以上に若い選手たちの飛距離が伸びたことで置いてかれるように。30代まではしっかりやっていたウェイトトレーニングも年々セーブをしていき、いまはインナーマッスルを柔らかくするような方法に変更した」。長年悩んでいる怪我をしないような身体作りを模索中だという。

ACNツアーについて聞くと、乗用カートに全員のキャディバッグを積んで選手がリモコンでカートを操作する方式にまだ慣れないようで、「レギュラーでは帯同キャディがいてすぐ隣にキャディバッグがあるので自分が打つまでに自分の時間を作ることができたけど、ACNツアーではまずボールまで歩いていき、距離を計測してからカートにクラブを取りに行くので、自分のペースを掴むのが難しい」と話す。

シニア入りまで3年あるが、「怪我や病気もあって、シードを失ってから『シニアもあるぞ』と声かけられることが多くなった。でも、まだまだレギュラーでやりたいと思っているぶん、シニアの話をされると悔しい。もう一度レギュラーで復活して、花を咲かせてからシニアツアーデビューしたいし、そういう強い気持ちを持たないと心の体力が減っていってモチベーションが保てない」とレギュラーで活躍したいという強い想いを口にした。

「応援してくれる人たちに恩返ししたい」という高山選手の初日は、10番ホールから13時05分のスタート。石塚祥利選手、原田大雅選手と同組。

日本オープンを含む3勝・小林正則

続いては、このテーマのきっかけとなった来年2月で50歳を迎える小林正則選手。

画像: 小林正則は早生まれなため、シニアツアーデビューは来年から

小林正則は早生まれなため、シニアツアーデビューは来年から

高校、大学と大きなタイトルはないが、長身を生かした飛距離を武器にツアーデビューした1999年は出場6試合でシード獲得にあと一歩に迫る。翌00年には下部ツアーで2勝を挙げて賞金王に。02年初シード。ショットイップスに苦みながら、11年に初優勝、13年『日本オープン』で3勝目を飾った。

「40代は、痛いところは出てくるし治らないしでツラい。痛いところがあるとスウィングに影響が出てくるから、マイナーチェンジを繰り返し、クラブも変更してと、いかに敏感に自分を捉えていくかが大事。だから、痛みとうまく付き合っていくしかないよね。
 
ここ2年で飛距離が落ちてきたという自覚はある。トレーニングは続けていて、昔はジムに行ったらパワーをつけるために体を大きくすることがメインだったが、今は俊敏性を意識して、早く動けるようにしている。あとは健康的な体づくりかな(笑)」

小林選手は後輩から慕われており、前回取材した松田一将選手もその1人で、「ちゃんと怒ってくれる先輩。ありがたい」と話している。

後輩にはどんなことを声かけるのかと聞くと、「ゴルフもゴルフ以外もですね。松田に関しては『競技ゴルフは不公平なスポーツ』ということを自覚しなさいといいました。午前スタートと午後スタートで天気がガラッと変わったりするのはよくあること。プロゴルファーとしては言い訳したくなるのはわかるけど、それは全選手に起こることで、各々、飲み込んでいるんだから、そこに言い訳はしないほうがかっこいい。そんなことを教えていました」と兄貴肌を見せる。

シニアツアーについて聞くと、「去年から意識している」と即答。「この2年をどう過ごそうか考えていて、シニアの試合を見れば見るほど先輩たちの上手さを痛感する。それに喋りも上手いしね(笑)。だから、楽しみ半分、緊張半分。先週(スターツシニア)、岩本(高志)さんの優勝はすごい。高校の1学年上の先輩だからジュニア時代から一緒だし、一昨年くらいまでは試合も一緒に頑張ってきた。苦労していたことも知っているし、嬉しいけど、(シニアで先に優勝されて)ちょっとイラッとくる(笑)」と笑いながら優勝を喜んでいた。

「スウィングもシニアに向けて変えてみようかなと思っていてて、パターも先週のACNツアーから長尺を試している。ゴルフを長くやっていると、手と脳の距離が近くなって、脳で感知したら即座に手が動くようになる。でも、ゴルフは手先ではなく身体で動かしたほうがいいんだから、鈍感のほうがいい。それが長尺だと鈍感になるので、いままでになく、いい感じで打てている」

シニアツアーを見据えてスウィングやクラブ変更に余念がない小林選手。初日は1番ホールから7時20分スタート。玉城海伍選手、詹 耀淳(チャム・ニクラウス)選手と同組。

日本プロシニアを含むシニア3勝・増田伸洋

高校まではラガーマンとして名を馳せた増田伸洋選手は、高校卒業後にゴルフをはじめ、プロ入りまでは7年、初シードまで5年と時間はかかったが、着実にステップアップを続け、2006年の『マンダムルシードよみうりオープン』で初優勝。16年まで通算12季、賞金シード入りしたベテランは、今年でシニアツアー3年目となり、日本プロシニアのビッグタイトルを含む3勝を挙げている。2024年はサンコーCC東コースで実施されたサードQTをトップ通過してツアーメンバー入りした。

画像: シニア3勝の増田伸洋もACNツアーで腕を磨いている

シニア3勝の増田伸洋もACNツアーで腕を磨いている

まずはシニアツアーについてと聞くと「楽しい!」と即答。「先輩方がつくってきた『飛距離落ちても口数は減らない』雰囲気が最高で、みんなで盛り上げようという感じがしてすごくいい。」と話す。では、なぜ毎年、レギュラーツアーのQTに参戦しているのだろうか?

「レギュラーやACNツアーにはどんな子がいるんだろう、という楽しみがあるし、最近の若手プロは上手いから、吸収するところが多い。昔に比べて全体的なレベル上がっていて、ポテンシャルがある選手はたくさんいる。とくに細くて小柄な選手たちの飛距離には驚いていて、何が違うんだろうとスウィングを見ながら研究している」

若手プロから学ぶ姿勢がシニアでの活躍とリンクするといい、「もちろん若い頃に比べれば飛距離は落ちます。そこは認めざるを得ないですよ。オフにレギュラーツアーでも飛ばし屋の坂本雄介プロと一緒に練習すると、『どこまで飛ぶの⁉︎』って。ただ急激に落ちないように30代よりトレーニングの負荷重量は軽くはなったけど、自転車を漕いだりして、トレーニングやメンテナンスをしっかりしてやっています」。

また、シニアに入る前年に下部ツアーにフル参戦できたことが、シニアの戦績にも繋がっていると話す。

「シニアに入る前、47歳ごろはレギュラーで戦おう、最低でも下部ツアーには出ると意気込みでQTに臨んでいました。その心境でないと、いざシニアに入った時にうまくいかないと思ったんです。その証拠にシニアに入る前年に下部ツアーにフル出場できたのから、いい流れが生まれたと思いますね」

25年はレギュラーツアー、ACNツアー、シニアツアーと大忙しの増田選手の明日の初日は1番ホールから8時20分スタート。若手の福住修選手、原敏之選手と同組だ。

撮影/有原裕晶

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