FWのロフトの頭が16度、17度になりつつある。
GD 「3番ウッド」がバッグから消えることってありますかね?
長谷部 3Wが消える可能性はあると個人的には思います。というのは4番ウッドがちょっと見直されてきていて、「3HL」(ハイロフト)だったり4W、要するにロフト16度、17度が求められてくると、14度、15度の3Wは徐々に3HLとか4Wにスイッチしていくんじゃないかなと思います。
ドライバーを飛ばしたい、ボール開発も低スピン化が盛んじゃないですか。その煽りを3Wが受けるんじゃないかなと。
GD 3Wでは球が上がりきらない?
長谷部 上がらないから上げたい。地べたから打つロングショットが飛びすぎるのも困る。自分の意図通りの飛距離調整ができない。そのためにハイロフトが必要になってきていることも一因に考えられます。
GD ドライバーを除くウッド系の頂点が16度、17度になった場合、今度そこを出発点に5番アイアンまでの間を決めていかなきゃいけないわけですよね。
長谷部 そうするとロフト18度の5Wとの間隔が狭まってくるので、5Wが邪魔になってくる。「じゃあ7番ウッドか?」という発想になってくる。シェフラ―もそう考えたかもしれません。9Wをトライする「テーラーメイド」の選手もいたと聞きますが、プロが250ヤード前後の距離をロフト何度のクラブで打つかみたいな話になってくると、まだ選択肢がそんなに多くありません。
ユーティリティで考えれば19度とか17度だったりするんですけど、安定性に欠けるので、そうなるとフェアウェイウッド系の20度付近が気になりますよね。
GD 昔から17度とか、19度のユーティリティはありましたけど、ロフトが立つと球が上がりきらない、打球が強すぎることが要因で定着しなかったことがあります。それとボールのロースピン化が重なってくると、「7番ウッド」という選択肢が出てくる可能性がありそうですね。
長谷部 以前からいろんな機会で、「7W注目だよね」って言っているのは、どうしても3Wの流れで形状とか機能を考える作り方を、どのメーカーもまだやっていることだと思います。7Wに必要な機能とサイズは何か?を見直した時に、まったく違う発想も出てくるはずです。
5Wとか7Wが起点になって、上下を考えるようなことがあると、新しい取り組みができるんじゃないですかね。
GD その下にくるとアイアン型ユーティリティという発想も出てきて、ウッド型ユーティリティ、アイアン型ユーティリティ、またはやさしいキャビティなど選択肢が増えてきます。この距離をカバーするクラブで、今姿を消しているのがアイアン型ユーティリティです。
昔、ロイヤルコレクションが作った「中空のタラコ」のような機能のユーティリティが姿を消しているかと思うんですけど、それってなんでなんですか?
長谷部 先ほども言ったように、ボールの進化によるロングショットのスピン性能の変化は否めないのかなと思います。あとは5番アイアンがストロング化していることももちろんあるし、あえて中空構造にしなくても、キャビティで十分やさしいものが作れるようになっている。ただアイアン型の中空だとそれほど重心が深くできないので、本当に必要なスピン量が出せない。
昔はチタン素材で作ったり、いろいろハイブリッドでやったりしたんですけど、単純に「鉄」だとそれほど機能アップできないところがあって、だから5番アイアンを2本入れているプロが最近増えて、4番アイアンを2本入れているプロもいます。キャビティアイアンと中空っぽい別のセットのアイアンをコンビネーションさせて、番手表示は同じなんだけど違う距離をカバーしている。
GD 飛ぶ4番と飛ばない4番。
長谷部 金谷拓実プロとかが、そういう組み合わせをしているのを見ると、プロでもまだいいクラブ選びができてないように感じます。