
ハーバードビジネススクール(マサチューセッツ州)でMBAを取得。22年間にわたりNFLにおけるビジネスを構築してきた(PHOTO/Getty Images)
ロラップ氏はハーバードビジネススクール出のエリート。アメリカンフットボールのNFLの副代表で、次期コミッショナーの噂もあった人物。NFLでは、テレビ放映権などメディア関係の交渉を仕切っていたと伝えられている。動かす人も金も桁違いのNFLからPGAツアーに来るのだからPGAツアーのトップに立つ資格は十分すぎるほど。そう聞くと不思議に思う向きもいるかもしれない。
というのもPGAツアーのトップはコミッショナーであり、CEOという立場はこれまで存在しなかったからだ。ロラップ氏はPGAツアーの営業・ビジネス部門を統括することになり、PGAツアーエンタープライズのCEOということになる。
もともとはPGAツアーとLIVゴルフとの和解・枠組み合意の中で生まれたPGAツアーエンタープライズ。当初の構想では、ジェイ・モナハンコミッショナーが、この組織のトップになる一方、サウジアラビアのPIFも発言権を持つはずだったが、枠組み合意がほぼ空洞化し、そこにスポーツの球団オーナーなどが集まるSSGという組織が資金提供を行いこの組織が作られた経緯がある。つまり、CEOのロラップ氏はSSGの投資に対する配当・利益を生み出さなくてはならなくなっているというわけだ。
一方、2017年1月に就任したモナハンコミッショナーは、来年末の10年の節目で退任する噂も出ている。となればロラップCEOがツアーのコミッショナーをしのぐトップということになりそうだ。また、そうでなければロラップ氏がCEOの職を受け入れることはなかったはず。CEOのもとでPGAツアーの体質が大きく変化することは間違いなさそうだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年7月8日号「バック9」より