
AIを導入した明徳義塾高校女子ゴルフ部
そもそもスポーツ技術の向上を目的にAIを役立てようとするプロジェクトが発足したのは高知工科大学のデータ&イノベーション学群においてだが、その解析の対象に選ばれたのが明徳義塾高校のゴルフ部だった。
解析は、5月中旬以降、心拍数を測る端末を腕に付けて、日常や練習ラウンド中の緊張度の変化を測っておき、さらに6月10日に開かれた女子のアマチュアゴルフの公式戦で、対象選手2人のスウィングをタブレット端末のカメラで撮影。併せて選手の腕に端末を付けて心拍数も記録し、動画と心拍数のデータを解析して、結果を発表するとともに、AIによるアドバイスも行っている。
動画は、スウィングに影響する頭のブレや肩、腰の開き、両手などの骨格と軌道の動きを抽出・解析し、その動きとメンタル面の修正点を心拍数とも相関させて、AIが言語化してアドバイスする仕組み。
実際にAIのアドバイスを聞いた三木監督によれば「調子を落とした選手にとっては、何が原因かを映像と数字で指摘されるのは、すごくわかりやすい。例えば腰の開きなど、従来は見た目の感覚で伝えるだけだったが、30度開きすぎ、みたいに数値化され、それをAIが言語化して伝えてくれるので指導上の参考になる。一方で、体全体の動きや、それぞれの部分の繋がった動きは、まだわからないので、これからの課題かなと思います」
これに対し、工科大の学生を指導する同大データ&イノベーション学群長の古澤浩教授は「従来も体の動きやスウィング軌道を示す動画などはありましたが、それをAIが解析して改善点を指摘するシステムは今回が初めて。改善点などを監督に聞いてみたところ、妥当だということなので、今後よりよいものになる手掛かりはつかめたと思っています」。いずれにせよゴルフスウィングの指導に新たな視点が加わることだけは間違いなさそうだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年7月8日号「バック9」より