やさしさとカッコよさのバランスを追求した『i240アイアン』

『i240アイアン』の7番
2016年に『S55アイアン』の後継モデルとして発売された『iブレード アイアン』に端を発する『iシリーズ(※)』。これまで、ピンゴルフからも「上級者向けのアイアン」としてプロモーションされてきた『iシリーズ』だが、今作から「中級者へターゲットを拡大」したという。
※14年に『i25アイアン』、15年に『iアイアン』が発売されているが、『i240アイアン』に繋がるのは16年『iブレード アイアン』から
そのため、前作までは上級者の心に刺さるコンセプトを掲げていたが、今作『i240 アイアン』は「美キャビティ」。シャープで美しいヘッド形状は、上級者が求める構えやすさを提供しつつも、キャビティ構造がもたらす高い寛容性があると謳う。
その証拠としてピンゴルフジャパンの担当者によると「弊社で調べた限りでは、今回発表した『i240』のサイズ感で『i240』ほどの慣性モーメントを持っているアイアンは中空構造モデルしかありません。中空構造では、『i240』のキャビティ構造のようにスッキリとはしないので、“やさしさとカッコよさのバランス”を極限まで高めたアイアンといえます。また、同サイズのモデルと比べてどれほどやさしいのかというと、慣性モーメントが約15%高いという数字が出ています。これは、他社のエントリーモデルと同じくらいの慣性モーメントになりますので、簡単にいえば、大型ヘッド級のやさしさがこの『i240』に凝縮されているといえます」と話す。
「新バッジ構造」と「新キャビティ構造」
前作『i230』はブレードっぽさのあるセミキャビティであったが、『i240』は完全なキャビティ。またキャビティ部分を覆う「バッジ」は、前作がステンレススチールを採用したが、今作はABS樹脂とカーボンの複合素材。その結果、バッジ重量を約60%軽量化することに成功。これにより、ヘッドの低重心化と大慣性モーメント化が実現し、ミスヒットでも安定した飛距離と方向性を実現したという。
また、バッジ内部には軽量のCTPという樹脂を採用することで、重量を周辺に配置できるだけでなく、インパクト時の振動を抑え、打感と打音の良さに繋がっているという。前出の山崎氏は「とくにロングアイアンではヘッド長が大きくなるので、CTPやバッジの面積も広くなります。そこの重量が減ることで、さらに球が上がっていき、ミスにも強くなっています」。

赤い部分がCTP樹脂。ロゴが入っている部分はABS樹脂とカーボンの複合素材が使用されている
キャビティ自体にも新構造を採用しており、より深重心かつ低重心設計を実現し、7Iでは重心が約3%深く、約1%低くなっている。これにより、ボールの上がりやすさと直進性が向上し、やさしさが進化。これらの構造により、セット全体での左右方向の慣性モーメントは前作比で約4%向上し、プレーヤーテストではショットのバラつきが約11%削減されたという。
なお、ヘッドサイズやソール幅は『i230』から変更はないが、フェース面の溝の本数を減らす(7Iは18本から13本に)ことで、アドレス時の安心感を高める工夫も施されている。さらに、ロフト角は7番で31.5度と1.5度ストロングロフトにしている。
番手 | ロフト角 | ライ角 | バウンス角 | スチール標準クラブ長 |
---|---|---|---|---|
3I | 19度 | 59度 | 5度 | 39インチ |
4I | 22度 | 59.8度 | 5.5度 | 38.5インチ |
5I | 25度 | 60.5度 | 6度 | 38インチ |
6I | 28度 | 61.3度 | 6.5度 | 37.5インチ |
7I | 31.5度 | 62度 | 7.5度 | 37インチ |
8I | 35.5度 | 62.8度 | 8.5度 | 36.5インチ |
9I | 40度 | 63.5度 | 10.5度 | 36インチ |
PW | 44.5度 | 64.1度 | 12.5度 | 35.5インチ |
UW | 49.5度 | 64.1度 | 12.5度 | 35.5インチ |
価格は1本あたり、カーボンシャフトで3万4100円(税込)、スチールシャフトで3万1900円(税込)。
“エアバック”と“梁”で打感・打音が向上『iDi(アイドライビングアイアン)』

『iDi』の3番
前作の『iクロスオーバー』はそのネーミングからわかるように、ウッド系ユーティリティとロングアイアンの中間を埋めるために開発され、グリーンを狙えるような重心設計だったが、使用用途を調査したところ、#2と#3は主にティーショットで狭いホールのドライバー変わりに、#4はロングアイアンの代替クラブとして使用傾向が強く、180~200Y前後の距離を狙う場面が多いということがわかった。つまり、使用ゴルファーは高さよりも飛距離を重視しているという現状から、開発コンセプトを刷新し、名前も『iDi(アイドライビングアイアン)』に変更した。
「inR-Airテクノロジー」と「i-Beamテクノロジー」
『iDi』の新テクノロジーは2つあり、ひとつがミスに強く、心地よい打感・打音を実現する「inR-Air(インナーエア)テクノロジー」だ。『iDi』は『iクロスオーバー』同様に中空構造だが、その中空部分にエアバックのような空気の袋を詰めることで、従来のEVAポリマーと比較して約40%の軽量化を実現。#4では前作比で左右方向の慣性モーメントが約15%も向上するという。また、EVAポリマーはヘッド下部に集中していたため、結果的に空洞になるヘッド上部で高音が反響していたが、「inR-Air」は中空全体をカバーしているため、高音領域が鳴らなくなった。そのため、金属音がなくなるので上級者が求める打音に近づいているという。

中空部分にエアバックのような素材を詰める「inR-Airテクノロジー」が鍵となる
2つめは「i-Beam(アイビーム)テクノロジー」だ。ヘッドがボールとインパクトしたときに、振動が一番集まる箇所を探し、そこに「Beam」という梁をつけることで振動を抑制。その結果、打感・打音が良くなったという。

ボディに付けられた梁=Beamが振動を抑制する
形状は前作よりもフェース長は短くなったぶん、操作性がアップしており、またフェースは約5%薄くなったことで、ボール初速の向上と飛距離アップに貢献している。とはいえ、飛距離だけを求めるのではなく、バウンスは5度増え、ソール幅も広がってことで、ダフリに対するミスに対しての寛容性も高くなっている。
ドライビングアイアンということで、#2のロフト角は前作よりも1度ストロングに、逆にロングアイアンの代替クラブとなる#4は0.5度寝かせている。全体的にシャフト長をわずかに短くなり、芯にボールを当てやすくなっている。
番手 | ロフト角 | ライ角 | カーボン標準クラブ長 | スチール標準クラブ長 |
---|---|---|---|---|
#2 | 17度 | 58.5度 | 39.75インチ | 39.25インチ |
#3 | 20度 | 59度 | 39.25インチ | 38.75インチ |
#4 | 23度 | 59.5度 | 38.75インチ | 38.25インチ |
『iDi』はカーボンシャフトが5万2800円(税込)、スチールシャフトが4万9500円(税込)。
※2025年7月9日17時48分、一部加筆修正しました。