打感が良くて飛ぶ、だけではスコアはまとまらない
アイアン選びで大事なのは“3D”
タイトリストがなぜ、PGAツアーで独占的な信頼を勝ち得ているのか?
「アイアンがカバーする飛距離領域は200ヤード超からグリーンサイドまでと実に広範囲。使用頻度が高ければその成功確率がそのぶんラウンドスコアに反映されてきます。つまり、信じられるアイアンを選ぶことはベストスコアを選ぶことになるのです」(真野氏)
タイトリストは初代Tシリーズからアイアンの『3D弾道』の重要性を説いているが、それについても国内ツアーでプロサービスの指揮を執る、同社の真野義英氏は次のように説明する。
アクシネットジャパンインク
真野義英さん
国内ツアーのプロサービスの陣頭指揮を執るリーダーシップ部門の責任者。スウィングやギアの知識が豊富なスペシャリスト
「直接グリーンを狙っていくからには、単に飛べばいいでは済まされません。縦距離だけでなく横方向へのバラツキ、グリーンにしっかりと止まる高さが伴ってこそ、カップ際にボールを止めることができる。それが開発チームが目標にしている理想の3D弾道です」(真野氏)

3Dの考え方
3D1 飛距離の精度 DISTANCE CONTROL
番手間の初速差を均等(2.24m/s)にするのが理想
ヘッドスピードによっても違うが、各番手間のギャップを10ヤード前後に設定。そのよりどころになるのがボール初速で、1番手アップするごとに2m/sは上げておきたい。初速に大きく関わる要素がインパクトロフトだ。
3D2 ばらつきの抑制 DISPERSION CONTROL
アイアンショットはいかに狙った「枠」へボールを入れるかが重要
カップに近いほど1パットで決まる確率が上がると考えれば、アイアンは常に狙ったエリア(枠)に打っていくことが絶対条件となる。理想としては10ヤードの範囲内に収めたい。そのためには高い許容性が必要だ。
3D3 落下角度 DESCENT ANGLE
もっとも理想的なのは全番手が同じ高さになること
グリーンの硬さにもよるが、ボールが最高点からグリーンに向かって落ちてくる角度を45度以上にすることでグリーン内にボールが止まりやすくなる。ロングショットになればなるほどスピンではなく高さで止まり方が決まってくる。
プレーヤーごとの不足を補い、アイアン全番手で理想のベタピンショットを追求する。それがTシリーズの根幹発想と言えるだろう。
Tシリーズ ブレンドセットでテスト

テスター 鈴木悠介プロ
正確なショット力で細かなクラブの違いを感じ取るプロ。ギアへの造詣も深い
【T100アイアンでテスト】5Iと6Iで高さが足りずランが伸びた
7Iまでは弾道の最高到達点が22ヤードで揃っていたが、6Iでは2ヤード、5Iになると3ヤードも低くなった。これにより落下角が緩やかになりランが増えてしまった。

T100のみで5I~PWをテストしたときの弾道図
【5I&6IをT250に変更】しっかり高さが出た
5I、6IをT250に替えてみると最高到達点は20ヤード以上に。落下角も40度以上と鋭角になった。プレーヤー側が何も変えなくてもアイアンモデルを替えただけで結果が変わることが実証された

5I&6IをT250、7I~PWをT100でテストしたときの弾道図
「ロフトとシャフト長だけでは距離の階段を作りづらいんです」(真野氏)
「Tシリーズはそもそもモデルごとに適切な番手間ギャップが生まれるように重心設計、ロフト設定、長さのフローが最適化されています。まず自然なスウィングで適切な番手別飛距離が得られるモデルを特定し、不足があればブレンドセットで対応するのが基本になります」(真野氏)
使用プロの8割はブレンドセット アマチュアはなおさら取り入れるべき

ブレンドセットの一例。ロングアイアンはやさしさのある「T250」、ショートアイアンは操作性の高い「T100」は王道に近いセットだ
「プロも5Iよりも上の番手を違うアイアンにする『ブレンドセット』の印象が強いです」(真野氏)