10月の大会開催に向けて、PGAツアーの芝のスペシャリスト、ジム・アベイト氏が来日、横浜CCを訪れた。酷暑が続いている日本だが、芝の状態はどうなのか? レックス倉本が聞いた。
「昨日、コースを歩いてきました。ここではグリーンに寒冷地型のベント芝、フェアウェイには暖地型のコーライ芝が使われていますが、フェアウェイはすごくいい。ベント芝のグリーンが夏をいかに乗り切るかが課題になってきますが、こちらも横浜CCのコース管理者たちが本当にいい仕事をしてくれています」(ジム・アベイト氏・以下同)
「横浜は、8月にフェデックスセントジュード選手権が開かれたメンフィスとほぼ同じ緯度にあり、メンフィスにもコーライ芝のフェアウェイがあります。私はコーンフェリーツアーの試合でコーライ芝のフェアウェイとベント芝のグリーンの組み合わせを担当したことがありますが、基本的にはここと同じで類似点がいくつもありました」
「昨年までZOZOチャンピオンシップを開催していたアコーディア・ゴルフ習志野はフェアウェイが狭いコースでラフを深くしましたが、横浜CCはフェアウェイが広く、ラフも少ない設計になっているので、昨年までとはスタイルががらりと変わった設定になります」
「ここではアングルとボールの転がり方、セカンドショットが重要になります。ラフは昨年までのほうが効いてくる設定でしたが、大会までにその最適解を見つけるつもりです。秋になって涼しくなるとグリーンスピードが速くなることもありますが、基本的にはそのコースの特性に合わせて決めていきます」

PGAツアーでインターナショナル&TPCアグロノミーのシニアディレクターを務めるジム・アベイト氏。AT&Tペブルビーチプロアマやトラベラーズ選手権など10試合を担当している
「このコースの地形やグリーン形状であれば11〜11.5フィートくらいにすると思います。難しくし過ぎてもコースのポテンシャルを出し切ることができないので、適切な速さに、ということが一番重要です」
「そのうえで私たちが目指すのはできるだけ硬いグリーンです。ボールがグリーンでバウンドすれば、それを見たギャラリーが沸きますし、戦略のひとつです。グリーンは速ければ速いほどいいとは思っていません。それよりも各ホールで違いがないことのほうが重要です。10月の大会を楽しみにしていてください」
※週刊ゴルフダイジェスト2025年9月2日号より(PHOTO/Takanori Miki)