レッスンプロを育成(指導)するレッスンプロの先生が教える「ゴルフの教科書(基本)」。今回は「ドライバーショットのルーティーン」について解説する。【レッスンプロの先生とレッスンプロの教科書から学ぶゴルフの基本73】
画像: コースでドライバーショットを成功させるための方法を解説

コースでドライバーショットを成功させるための方法を解説

スタンスはフェースをターゲットに合わせてからセットする

画像: スタンスはフェースをターゲットに合わせてからセットする

スタンスはフェースをターゲットに合わせてからセットする

GD これまでドライバーショットに成功するためのスウィング作りについて説明していただきました。今回は実際コースでのドライバーショットについて、ティーショットのルーティンから聞きたいです。実際のコースでは、ティーグラウンドが平らなホールばかりではないし、林や池、OBゾーンなど重圧を生み出す景色が目に入ってきます。そういう状況の中で練習通りに体を動かしてショットをするためには、これが正しいというか、自信を持って振っていける、メンタルのよりどころになるようなルーティンが必要不可欠だと思うんです。

原田 そうですね。では、私の場合をお話しましょう。ティーアップをしてから、まず1回素振りをします。それからボールの後ろに立ってターゲットラインを想定します。で、ボールの少し前、大体50センチくらいのところにターゲットライン上に目印、スパットを見つけます。そのスパットにフェースを合わせます。そしてボールの位置を確定するんです。ボールの位置を最終的に確定させながらターゲットラインを想定して「フットライン」、つまり両足の位置を決めるんですね。

GD ティーアップはしている状態だけど、そのボール位置に対して正しいアドレスを作っていくということですか?

原田 そうです。でもね、アマチュアにはボールの位置を決めずにフットライン(=体の向き)を決める人が多いんですよ。

フェースをターゲットライン上のスパットに合わせる

画像: フェースをターゲットライン上のスパットに合わせる

フェースをターゲットライン上のスパットに合わせる

GD なるほど。先に両足の位置(体の向き)を決めてはいけないのですね。

原田 そうするとね、ボールの位置がなかに入りすぎて、体が右を向いてしまう人が多いんです。正しくはまずフェースをターゲットライン上のスパットに合わせます。フェースを目標に合わせてから両足をそろえてボールラインを踵(かかと)と踵の間に決めます。ボール位置を決めたら右足だけを開く。その際にターゲットラインをフットラインが平行になるようにします。

GD 右足だけを開くときの目安は、肩幅くらいでいいですか?

原田 そうですね。ドライバーでもアマチュアはあまり広げないほうがいいです。体重の移動をともなう体の回転がうまくできなくなるから。右に体重が残ってしまいやすいんです。

左肩が右を向かないように注意する

画像: 左肩が右を向かないように注意する

左肩が右を向かないように注意する

GD それでフットラインを先に決める人は肩のラインが正しい方向よりも右を向いてしまうことが多いということでしたが、それはどうしてですか?

原田 これはフットラインを先に決める人だけに限ったことではないんですけど、前傾姿勢を取ったときに視界に入る左肩は目線より後ろにあるんです。自分の目から見たら後ろにあるわけですよ。そうすると自分が左を向いていると勘違いしやすいんです。で、自分は左を向いているから直さなくてはと思って左肩を目標に向けてしまうと体自体が右を向いてしまうわけです。

GD やってみると確かに自分が左を向いているように思えます。つい右向きに修正したくなってしまいます。これはよくいわれる電車のレールの例えと共通しますか? アドレスしたときのボールから目標方向に伸びるラインと自分の肩のラインは2本のレールと同じで、どこまでいっても最初にできた自分とボールとの間隔を保ったままで、決して交わることはないのが正解という例えです。アマチュアは目標方向に肩のラインを向けてしまいがちなので、2本のレールが先にいってから交わってしまい、結果として右を向いて構えてしまうのでしたね。

原田 その例えも間違ってはいませんよ。

GD それでは構えたときには左を向いているように見えるのが正しいのだから、その見え方に惑わされて右を向かないように気をつけることが大事ということですね。

原田 そうです。左を向いているように見える原因はね、構えたときの目の位置と肩の位置が違うからです。目は前にあって左肩が後ろにありますよね。だから左肩が左を向いているように見えてしまうってことです。

スタンスは両足をそろえてから右足だけを開く

画像: スタンスは両足をそろえてから右足だけを開く

スタンスは両足をそろえてから右足だけを開く

GD 一種の錯覚みたいなものなんですね。で、少し戻りますが、ボール位置を先に決めるときは足をそろえてその真ん中にボールがくるようにすればいいのですね。そうすれば左足の延長線上にボールがきます。

原田 足をそろえるときはかかとをつけるんです。で、右足と左足のかかとの間にボールラインがくればいいわけです。

GD そこから右足だけを開くわけですね。ボールをセットしてから左足、右足の順で足をセットするという方法も聞きますけど、そうではない?

原田 それはボールを中に入れるアイアンの場合ですよ。ドライバーは左足の位置はボールラインを決めたところから動かす必要はありません。

GD あ、言われてみればそうですね。あと、スパットの取り方についてです。ボールの前50センチに取るとのことでしたが、ボールの後ろにも取ってもいいですか? 前と後ろの両サイドにあったほうがターゲットラインをしっかり意識できる気がするのですが。

原田 それはよくないですね。なぜかというと、やはり目標方向に振っていきますからね。やっぱりボールより前に目標を置いたほうがいいです。後ろにも置いてしまうと、その意識が欠如する原因になります。左への目標意識が欠如すると、これも身体が右を向く原因になるんです。

GD それはどうしてですか?

出球が安定する意識の持ち方

画像: 出球が安定するには「ターゲットラインに対して正しくスクエアに構えるためにスパットを利用するのが一番大切です」(原田プロ)

出球が安定するには「ターゲットラインに対して正しくスクエアに構えるためにスパットを利用するのが一番大切です」(原田プロ)

原田 ボールより右に目標があるからですね。話は少しそれますが、パッティングのときにね、ボールの後ろにスパットを決めるアマチュアをたまに見かけます。これはNGです。なぜかというとボールの後方にはターゲットがないから。大事なのはボールよりも前にあるターゲットです。これはドライバーにも共通していますよね。

GD もう少しスパットについてですが、プロは出球をすごく意識していると聞いています。出球というのはボールが飛び出していく方向ですね。プロは真っすぐはもちろん、右に出て左に曲がるドローボール、左に打ち出して右に曲がるフェードボールを打ち分けます。その際はスパットを真ん中、右寄り、左寄りに取って、その上にボールを通す意識で振っていくのですか?

原田 確かにそれもありますが、アマチュアの人は、まずはターゲットラインに対して正しくスクエアに構えるためにスパットを利用するのが一番大切です。

GD スパットの効用の一番は正しくスクエアに構えられることで、ボールを打ち出していく方向の目安として使うのは、二義的なものとしたほうがいいということですね。

●原田伝一( 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長)

はらだ・でんいち。1955年、横浜市出身。80〜82年、US・NGFインストラクターセミナー参加。ゴルフ指導者について研究を積む。83年、NGF日本ゴルフ財団チーフインストラクター就任。2010年、一般社団法人 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長に就任。数多くのレッスンプロを世に送り出している

撮影協力/ 東名CC

ドライバーショットでボールを真っすぐ飛ばすための基本を解説

This article is a sponsored article by
''.