DPワールド(欧州)ツアー参戦7年目、先日ツアーに復帰した川村昌弘と早稲田大学出身として国内女子ツアー史上初の優勝を挙げた稲垣那奈子。「週刊ゴルフダイジェスト」9月23日号には自分のレールを敷いて進んできた2人への特別インタビューを掲載している。「みんなのゴルフダイジェスト」でもお届け!【稲垣那奈子編】

なぜ高校即プロではなく、早稲田大学に入学したのか?

稲垣はレールを自分で敷いてきたのだ。早稲田大学への進学もその一つだ。

画像: 優勝して、いいペアリングに。「皆さんショートゲームがすごく安定している。先日、安田祐香ちゃんと回ったけど、ショットが曲がってもアプローチ・パターに自信を持っていて、どこからでも寄せてくる感じです。私にもああいうところが必要です」(撮影/大澤進二)

優勝して、いいペアリングに。「皆さんショートゲームがすごく安定している。先日、安田祐香ちゃんと回ったけど、ショットが曲がってもアプローチ・パターに自信を持っていて、どこからでも寄せてくる感じです。私にもああいうところが必要です」(撮影/大澤進二)

「高校卒業後、プロテストを受けようともしたけれど、同世代に安田祐香ちゃんなど上手い子がたくさんいたし、私たちのときから下の学年もプロテストを受けられるようになったんです。それが山下美夢有ちゃんなどがいる強い世代。まだまだ自分は実力が足りないなあと。それに、中3で痛めた腰痛がかなりひどくなった。アスリートとしてやっていくにしても、自分で自分の体のことをわかっていないとちょっと気持ち悪いなと思って。勉強するため大学に行くのもアリかなと考えました」

冷静に自己分析ができるから、選択を間違わない、いや、自分で選んだ選択に後悔がないから、どんどん前に進んでいける。

スポーツに特化した学部を探し、当時通っていた病院の先生が教師としても授業する早稲田を選んだ。大学時代の“文武両道”は大変だったけれど楽しかった。“部活”としてのゴルフ部は、きついことも多くあったが、団体戦や自主的な活動が楽しかった。

画像: 早稲田の後輩へのコメントを求めると「私の後輩たち、しっかりしていて、上下関係もいい意味で厳しくやってくれているから嬉しいです。男子は全国で優勝するレベルですごい。態度や規律だけでなく実力も伴っているのは素晴らしいことです」

早稲田の後輩へのコメントを求めると「私の後輩たち、しっかりしていて、上下関係もいい意味で厳しくやってくれているから嬉しいです。男子は全国で優勝するレベルですごい。態度や規律だけでなく実力も伴っているのは素晴らしいことです」

「私が入学当時はBブロックだったのをAに上げました(笑)。まだ1年生でしたけど嬉しかったですね。練習メニューも自分たちで作っていて、私が主将だったときは、自分が作ったメニューを後輩も取り組むので、きつくてもしっかり意味のあるものにしたり。トレーニングメニューを作ったりすること、好きなんですよね」

1学年に経験者が1人しかいないような部活だったが、マイナス面はなかった。

「プロになるために必要な練習は部活以外でやろうと決めていました。それに、初心者だって皆上手くなります。人によって成長速度は違いますけど、きちんと取り組むから本当に上手くなる。教えていて、私自身が気づかされることもたくさんありました」

腰痛などの勉強も、今の自分の土台となった感覚がある。

「スポーツ科学全体を勉強できてよかったですし、3年で主治医の先生のゼミに入れた。腰痛の権威の方なんですよ。論文は、悩んでいる人が多い、腰痛とゴルファーの関連性に取り組もうとかなり早くから準備したんです。機器を使ってデータ計測する研究をしたかったけれど、試合とプロテストで忙しすぎて、計画を全部変えてアンケート形式の研究にしました。それでも、SNSなどで他の大学のゴルフ部の選手などからたくさん回答が集まって、めっちゃいい内容になったんですよ」

今、自身の腰の調子は、ほぼ問題ないという。

「ジュニアにも結構、腰痛で悩んでいる子はいると思います。プロならお金を出してトレーナーさんを雇えるけど、アマチュアは難しいから、そのなかでムリしてしまう。でも、10代の頃から正しいセルフケアを日々続けていると、だんだん痛みも取れてくる。痛みは筋肉が固まって引っ張られて変な動きになるから起きるんです」

“就活”はまったく考えなかった。大学3年時にJGAのナショナルチームに入れたことも大きい。心技体の鍛え方を学べたことはもちろん、プロテストを最終から受けられる権利をもらえたからだ。

「プロテストは1回目は落ちたけど、次も2次から受けられた。プロテストって、本当にそのときの調子や運もあります。でも、合格したときは全然実感が湧かなくて。それでもホッとしたんでしょうね。その後のQTでは、準備はしたけど気持ちが入っていなかったのか、1次で落ちてしまいました。『もっとちゃんとしないと!』と思い、『1年目はステップ・アップ・ツアーで勝負する!』とすぐに気持ちを切り替えたんです」

優勝はなかったものの年間ポイントで5位。

「ステップも結構レベルは高いんですよ」

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