DPワールド(欧州)ツアー参戦7年目、先日ツアーに復帰した川村昌弘と早稲田大学出身として国内女子ツアー史上初の優勝を挙げた稲垣那奈子。「週刊ゴルフダイジェスト」9月23日号には自分のレールを敷いて進んできた2人への特別インタビューを掲載している。「みんなのゴルフダイジェスト」でもお届け!【稲垣那奈子編】

プロ2年目で優勝! 「直近」と「将来」の目標とは?

画像: 25年「リゾートトラストレディス」で優勝。96期生では初優勝だった(撮影/大澤進二)

25年「リゾートトラストレディス」で優勝。96期生では初優勝だった(撮影/大澤進二)

そして今年は気合を入れ直した。出られるレギュラーの試合で成績を出して、シード権を取ることが目標だった。そんななか、5月のリゾートトラストレディスでの初優勝が早くもやってきたのだ。

「優勝した試合で冷静でいられたのは、ショットに自信があったから。コーチとショット力をここまで持ってきたんです」

稲垣の現在のコーチは坂詰和久だ。

「大学3年まで習っていた眞田雅彦コーチは、私の土台みたいなものを作ってくれた方。坂詰コーチはすごく理論がわかりやすくて、一貫性があって明確。今の私のなかに結構スッと入ってくるんです。調子が悪くなっても、作ってきた“軸”に立ち戻れば自分でなんとかできるようになりました。クラブもすごく信頼できます。ミズノさんはジュニア時代からサポートしてくれている。実は他のドライバーを打ってみたいと思うこともあったけど、実際打ったら飛距離がミズノのクラブほど出なかった。アイアンはもちろんいいですしね。技術やクラブは、まだそんなに知識はないけれど、頭で理解したいとは思っています」

稲垣は、今まで乗ってきたレールの先に、自分でレールを敷き続けているのだ。

「自分では、初優勝は早かったと思っています。でも最近、成績がいいか悪いか、になっている。そもそも自分のレベルがまだ足りていないと思うんですよ。だから波がある。自分の基盤をもっと上げていかないと。やっぱりショートゲームです。“取りこぼさない”ゴルフがしたいんです」

連戦はやっぱり疲れる。友だちとご飯を食べに行く時間もなかなか取れない。しかし今は、試合で戦えることが嬉しい。

「ギャラリーの皆さんが声をたくさんかけてくださいますし、本当にありがたいです。今後の試合は一応全部出るつもりです」

今も帯同してくれる母には感謝している。

「母は私がゴルフを真剣に始めてから10年近く、ラウンドはしていないと思います」

その母は、娘の活躍を見ながら、「楽しませてもらっています」と目を細める。そして、仕事の合間を縫って応援に駆け付ける父は、稲垣の一打一打を一喜一憂しながら見守るのだ。

直近の目標はもう1勝すること。そして、もし優勝がなかったとしてもシードが取れる位置にいたい。

「予選を通過して常に15位以上にいるような安定した選手になりたいですし、平均ストロークも70を切りたい。データは、特にパーオン率をチェックします。やはり、自分で自信があるところは確認したいですから。最近、練習場でいい球を打っても結果に反映されないこともあって。やっぱり狙った場所に打っていく技術と集中力を持ちたいですね。飛距離には自信はあるけど、もっと伸ばしたい。スウィングを変えるのではなく、体を強くしたりキレを向上させたり、体の面を鍛えればスウィングスピードはもっと出るはずで、それは伸びしろだと思っています」

稲垣のレールはもっと先へと続いていく。

先の目標は米LPGAツアーに行くこと。

「すず夏が刺激をくれて、自分でも海外の試合を経験してそう思えるようになった。日本でメジャーに勝って複数年シードを持って行くのが最高なんですよね。日本でしっかり成績を出せれば向こうでも戦えるはず。なるべく早めに海外に行けるように頑張りたい」

ひとつ、聞きたかったことがある。下の世代がアメリカで大活躍している姿を見て、大学に行ったことに後悔はないのか?

「まったくないです。あの4年間は自分を強くしてくれた。すごく必要な時間だと思っているので、遠回りだったとは思っていません。就職した仲間もそれぞれ頑張っています。ゴルフって、就職してからも役立ちますし(笑)。もちろん皆、つらいこともあると思いますけど、それはどの職業も一緒。私もやっぱりゴルフが好きで、それを職業にできているのは最高だと思っています。自分のゴルフ人生の中で早めに次のステップに上がりたいので、今、しっかりできることはしないと」

稲垣に趣味を聞くと、「ゴルフです」という言葉が返ってきた。

「飽きないです。毎日毎日本当によくやるなと思う(笑)」

これからも、新しいレールを敷き続ける稲垣那奈子に注目したい。

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