
ティーショットの成功率が上がるティーイングエリアの「立ち位置」を解説
ティーイングエリアはどこに立つか?

ティーイングエリアに立ったら、左右、真ん中、どこに立つかを考える
原田 ティーイングエリアに立って、まず考えること。それは真っすぐなボールをイメージすることです。真っすぐなボールを打っていけるように、前回はターゲットに対してスクエアに構えられるように「スパット」について説明しました。
GD スパットに関連することだと思うのですが、実際のコースに行ったときに狭いなと感じるホールへの対処方法を教えてください。
原田 それはね、ティーイングエリアでティーアップするとき、どこにボールをセットするかを考えます。両サイドにあるティーマークのどちらで構えるか。右なのか、左なのか、真ん中あたりがいいのか。基準とするならば、危険ゾーンがある側にするのがいいですね。
危険ゾーン側に立つのがセオリー

川奈ホテルゴルフコース名物の15番ホール(プロの試合では16番)。左サイドが危険ゾーン。この場合はティーイングエリアの左サイドに構えて、右の安全ゾーンを狙うのがいい
GD ということは、例えば右サイドがOBのホールの場合は、2つのティーマークの右寄りにティーアップするわけですね。
原田 そうです。そうすると危険ゾーンがないほうへ向かって構えて打っていけるから、危ない側を消せるんですね。
GD 安全ゾーンへ斜めに打っていくような感覚ですか?
原田 そうです。右が危ないのにティーイングエリアの左側に立ってしまったら、危険ゾーンに向かって振っていく感じになってしまうし、安全ゾーンがすごく狭くなってしまうので、2打目を打っていける場所にボールを置いていくのがとても難しくなります。体も本能的に危険ゾーンに対する拒絶反応を起こしてスムーズに動けませんよね。だから、それは絶対に避けましょう。
GD では、例えば右がOB、左が池というように両サイドともに危険という場合はどちら側に立てばいいですか?
右か左か? ミスしたときに1打でもペナルティが多い側で構える

ゴルフ5レディス(ゴルフ5Cオークビレッヂ)の名物17番パー3。危険ゾーンはグリーン左の日本一アゴが高いガードバンカー。ピン位置にもよるが女子プロはティーイングエリアの左サイドで構えていた
原田 ベースの考え方はミスしたときに1打でもペナルティが多い側を消しますよね。この場合は右のOBを消すのを優先します。でもね、各ゴルファーの得意不得意、好き嫌いがありますから、右がOBでも左サイドに立って右を狙っていくほうが安定したボールが打てる人はそうするのもアリだと思いますよ。
GD もうひとつ質問ですが、ゴルファーにとって一番頭が痛い、向かい風が強いときはどんな対応を心掛ければいいでしょうか?
原田 向かい風のときはまずひとつ注意してほしいことがあります。それはね、風に負けまいとつい普段よりも力が入ってしまうことです。そうすると逆にスピン量が増えてしまって、ボールが吹き上がり前に進んでいかないんです。だからね、力を抜くことが大事です。手、腕、上半身から極力脱力をしてほしいんです。
GD 心当たりがあります。向かい風を切り裂いてやろうとか思って、腕ばかりに力が入ってしまい、逆にまったく飛ばなかった苦い経験があります。
原田 スピン量が多いと上に吹け上がるだけでなく、左右の曲がり具合も通常に比べて大きくなりますから、それこそ危険ゾーンに入ってしまうことがあります。向かい風が強いときこそ手、腕、上半身から脱力をして、いつもより軽く振るイメージが大事です。
GD いつもより軽く振るのですね。でも、強い向かい風が顔に当たっているようなとき、脱力して軽く振るのって難しくないですか?
アゲンストの風が吹いていたら、立ち位置のほかに何を考える?

アゲンストの風が吹いていたら、フィニッシュで静かに止まるイメージで振る
原田 難しいですよ。そういうときはフィニッシュで静かに止まるイメージを持つのがいいです。フィニッシュで静かに止まれれば、腕や体に余計な力は入りにくくなりますからね。
GD 確かに。静かに止まるのはイメージが沸きます。この感覚はアイアンも同じですか?
原田 同じです。プロはショートアイアンで受けているグリーンに向かって打っていくときは、バックスピンのかかりすぎを防ぐため、ひとつかふたつ番手を上げて静かに振っていきます。いきなり強く振らず、等速で振っていくイメージが大切です。そうすればグリーンからバックスピンで出てしまうことがなく、グリーン上にボールを止めることができますから。その感覚と一緒ですよね。
GD では、フォローの風の場合は?
原田 フォローのときは、何も気にせず気持ちよく振っていけばいいと思いますよ。
●原田伝一( 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長)
はらだ・でんいち。1955年、横浜市出身。80〜82年、US・NGFインストラクターセミナー参加。ゴルフ指導者について研究を積む。83年、NGF日本ゴルフ財団チーフインストラクター就任。2010年、一般社団法人 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長に就任。数多くのレッスンプロを世に送り出している