まず、コースに入って、最初に発したのは、ラフの長さについて。

No.1(475Y・P4)。均一に駆られたラフが選手たちにフェアさを生み出すだけでなく、ギャラリーには景観と歩きやすさを感じさせてくれる
「ラフの長さを統一しているのがPGAツアーらしいですね。これは、プレーするところもしないところも同じです。選手にはフェアでもあるし、ギャラリーの方も歩きやすいですし、景観もよくなるんです。PGAツアーが行われるコースに立つと『うわぁ、きれいだぁ』という感想を持つのはこのためです。
そもそも、ベン・クレンショーとビル・クーアが手掛けたコースということで貴重。日本にないタイプのコースに仕上がっていて、フェアウェイは広いけどバンカーもしっかり効いていて、景色を含めてホールにバリエーションがあります。グリーン周りなんかは刈りこんでいて、いかにもクレンショーらしい。ほとんど土を動かさない、自然のままの地形を使っていますしね。全体的に欧米っぽいコースデザインのなかで、竹や松など日本らしさもあるのはシンプルにいいなあと感じます」

No.2(418Y・P4)のグリーンで。佐藤信人がピンポジを決めるとしたら……「右手前、左手前、段を上がったすぐの左、あとは奥のどこかですね」
本大会用にティーイングエリアを新たに作ったホールも多く全体の距離は伸びたが、パー5はアウトコースに2つ、パー3はアウトに3つ、インに1つ。全長7315ヤード、パー71の舞台となった。

No.16(237Y・P3)。PGAツアーでも有名なフェニックスオープンの16番パー3のように……大ギャラリーの声援が飛び交うことを期待したい。「特に16番はPGAツアーの大会でプレーしているような気分になるのかな」と語る松山。「距離はあまり長くないので、ショートアイアンの距離感や横幅の精度が要求されるのではないかと思います」(佐藤)
2018年の日本オープンのときに18番・パー3として使用したホールは16番・パー3(237Y)となり、“スタジアムホール”のような作りに。
また、13番(337Y・P4)や15番(387Y・P4)などは、ティーイングエリアを前に出すことも含めて、“ワンオン”も狙えるホール。練習ラウンドでも選手たちは落としどころのチェックをしていた。
その他にも随所にPGAツアーらしさがみられるという。
「6番と15番のようにティーグラウンドが交差している感じや、3番と16番のパー3を両方見ることができるホスピタリティテントがあったり、楽しい雰囲気が満載ですよね」
佐藤を含め、選手やキャディに聞いても「難しいけれどフェア」「メリハリがある」などの声が聞かれる。
長年にわたりPGAツアーで戦い、今シーズン日本ツアーでも優勝した小平智はコースについて、セッティングと整備の素晴らしさを語り、「ラフに入ったら均一ですし、フェアウェイは広いですが、曲げたら難しい。PGAツアーというよりは、日本のコースでフェアなセッティングにできるんだなと。グリーンもそうですし、グリーン周りのバンカーとかフェアウェイとか上手く打たないと寄らなかったり、そういうゴルフ心をかきたてられます」。
ズバリ、優勝予想は?
「アイアンの精度がすごく問われます。ピンが手前でも奥でもすごく狭いスポットに打たないとチャンスに付きません。そこそこ広いけれど傾斜は多いし、どの飛距離の選手にも罠がある。セカンドショットが重要です。グリーン周りは刈ってあるし、ボールが落ちるようになっていて、短いフェアウェイからのタイトなアプローチが残る。いろいろなバリエーションのアプローチ、上げる、転がす、スピンをかけるなどが必要になります。ストロークゲインドの数値でいうと、アプローチ・ザ・グリーンとアラウンド・ザ・グリーンの上位の選手に注目。松山くんはどちらも上位ですからね。楽しみです」(佐藤信人)

金谷拓実の練習ラウンドに付く佐藤。「調子は良さそうですね。振れています。自分のスウィングと向き合あうのではなく、コースを回っているという目線が感じられていいですね」
我々ギャラリーも、ゴルフ心をかきたてられながら、シード権争いの真っただ中にいる選手たちの戦い、そして日本選手とのトッププロたちとの優勝争いを楽しみに観戦したい。