
アルドリック・ポトギーター。ドライバーのスペックは「GT2(ロフト8度・D1ポジション)」×ベンタスブラック(7X)だ!
「最長」と「最短」の対比が生んだ衝撃の現実
大会開幕前日の8日、プロアマが開催された横浜CCで、ポトギーターの規格外の飛距離を目の当たりにした。
舞台となったのは、アウトコースで最初のパー5ホールである4番ホール。このホールで、我々はポトギーターと、対極に位置する選手のショットを約10分違いで比較できるという、貴重な機会に遭遇した。

バンカーにつかまったブライアン・キャンベル。バンカー近くのスプリンクラーを見に行くと、グリーンまで「264Y」の文字が
“最強の飛ばし屋”ポトギーターの1組前に、ドライビングディスタンス170位(平均279.3ヤード)のブライアン・キャンベルが登場。風はほぼ無風という絶好のコンディションのなか、キャンベルはややドローがかった弾道でショットを放った。結果は、越えるのに310ヤードが必要なバンカー(290ヤード地点)に転がり込む、ランを含めて約300ヤードのショット。彼の平均飛距離から見れば、「かなり飛ばした」部類に入る。
予測を裏切り、ドライバーを強振!
キャンベルのショットから約10分後、風向き、風速が変わらないまま、ついにポトギーターの登場。
一緒にいた月刊ゴルフダイジェスト、週刊ゴルフダイジェストのツアー担当、ベテランゴルフカメラマンと、ポトギーターとキャンベルの飛距離の対比の面白さについて話が持ち切りになっていた。4番ホールはやや左ドッグレッグになるため、3番ウッドでも300ヤードほど飛ばせるポトギーターなら、安全策として3Wを握るのではないか、という見解で一致していた。
しかし、我々の憶測は見事に裏切られた。キャディと話したポトギーターが抜いたのは、迷うことなくドライバーだった。
そして振り抜かれたドライバーショットは、我々の予想を上回る高い弾道で、ティーグラウンドから見て左の林を完全に飛び越え、そこからフェード弾道を描きながら落ちていった。
衝撃の着弾点、そして8番アイアンで200ヤード

ポトギーターのセカンド位置と、近くのスプリンクラー。このスプリンクラーよりも歩測で9歩(9ヤード)ほど手前がポトギーターのいる位置
「ちょっと見てくる!」と、居ても立っても居られずポトギーター組について行ったが、そこで見たのは驚きの結果だった。
ポトギーターのボールは、なんと360ヤード地点にあった。4番ホールはキャンベルがつかまったバンカーを越えたあたりからグリーン方向に向かって下り傾斜になっているためランが出るとはいえ、高いフェード弾道だったため、ランは抑えられているはずだ。
そしてさらに衝撃的だったのは、セカンドショットである。
グリーンセンターまで残り185ヤード。ポトギーターはキャディと話し、手にしたアイアンを振り抜くと、奥目のピンと同じ段に見事に着弾させた。一緒にラウンドしていたアマチュアが「何番?」とキャディに尋ねると、返ってきた答えは「エイト(8番)」。
約200ヤードを8番アイアンでピンに絡めるという現実離れしたプレーに、ティーグラウンドにいた取材班と「ポトギーターにとって、ここはパー5じゃなくてパー4じゃん」と、全員が納得の見解で一致した。
“規格外”ゆえの難しさも
ただし、ポトギーターの圧倒的な飛距離が必ずしも有利に働くわけではない、という別の側面も。
インコーススタートのポトギーター組、前半にワンオンが可能なパー4ホールである13番(337ヤード)が終わっているので、横浜CCのハウスキャディにポトギーターの様子を聞くと、意外な回答が返ってきた。
「ワンオンはしていませんよ。彼のドライバーの飛距離だとグリーンをオーバーしてしまうし、3Wだと届かないようでした。ドライバーをカットに打って距離を合わせていました。でも、グリーン右に外していました」とのことだ。
また、日本アマではティーグラウンドが20ヤードほど前にあった際にワンオンを狙う選手もいた8番パー4(357ヤード)でも、ポトギーターは果敢にドライバーを振り抜く。ボールがつかまりすぎ、グリーン左にあるバンカーのさらに左のフェアウェイに着弾。距離的には十分に届いていた。
圧倒的な武器である飛距離も、セッティングによっては“飛びすぎる”という難しさに直面するポトギーター。しかし、4番ホールで見せた「パー5をパー4に変える」驚異のプレーは、今大会で彼を追う価値が十分にあることを証明してくれた。
ポトギーターのドライバーは一見に価値あり! 明日からの本戦で、彼の規格外のプレーから目が離せない。
なお、明日は天候不良が見込まれるため、当初の予定より全組2時間早くスタート。注目のアルドリック・ポトギーターは8時46分に1番ティーからスタートする。なお、その11分前の8時35分に日本のエース・松山英樹がコリン・モリカワ、クリス・ゴッタラップと出る。できればその組に付いていかず、ポトギーターのスタートを見てほしい。2番ホールは折り返しになるので、松山組は3番のパー3からゆっくりみることができるので。