
ふだんテレビで観ているPGAツアーを生で初観戦したJGAナショナルチームの竹原佳吾(撮影/岡沢裕行)
「冷静なパット」が証明した、好調な大河
竹原は小林と同じく大学4年生で、今年のセカンドQTに挑む予定のトップアマである。実は、彼は予選会で敗退したため、小林が掴んだ本戦の舞台を、複雑な思いで取材することとなった。しかし、自身を突き動かす原動力は、かつて日本アマを制した大学同期・中野麟太朗から受けた「彼ができるなら、自分にもできる」というモチベーションだったという。今回も、小林の活躍から同様の刺激を受けたいという思いで、横浜CCへと足を運んだのだ。
パッティングを得意とし、ベストスコア63を持つトップアマの竹原は、まず小林が予選会通過やJGTOのファーストQTを2位で通過している「調子の良さ」に着目した。

2番で320Yを超すティーショットを披露した小林大河(撮影/岡沢裕行)
「大河はもともと、冷静なプレーヤー。ショートゲーム、とくにパッティングがうまい選手」だと竹原は評する。ロングゲームが崩れても、なぜかスコアをまとめてくるタイプであり、その真骨頂が早速、2番ホール(410ヤード・パー4)で見られた。
小林はティーショットで320ヤードを超すナイスショットを放ったが、ボールは惜しくも左ラフへ。残り85ヤードほどのセカンド。しっかり狙ったが、グリーンの傾斜と短く刈られた芝の影響で、難易度の高い左バンカーに入ってしまう。「このバンカーはいつも回っていて寄せるのが難しい」と竹原。しかし、小林は見事に1メートルまで寄せてナイスパーセーブ。このパーセーブが、小林の調子の良さを証明していた。
PGAツアーセッティングの壁:硬く速いグリーン
しかし、PGAツアーの厳しいコースセッティングは、すぐに小林に牙を剥いた。
竹原は「いろいろなトップ選手を見て、今回の横浜CCのセッティングはグリーンが硬くて速い」と指摘する。今日はかなりの強風だったためその影響もあるが、「PGAツアーで活躍するプロがウェッジで打っても、ボールがスピンバックせず、コロコロと前に転がっていくほど」だという。
それを決定づけたのが、3番(172ヤード・パー3)だった。3人ともアイアンでティーショットを放ったが、小林のボールは同組のサム・ライダーやイザヤ・サリンダと同じようなところに着弾したが、彼のボールだけグリーン奥にあるバンカーにこぼれたのだ。それほど硬く仕上がっていると竹原は話す。バンカーショットは「さすが大河」という見事なショットで切り抜けたが、1メートル強のパーパットを外し、残念ながらボギーが先行した。
「大丈夫!」に救われたチームプレー
その後、小林はキャディの隅内雅人(日大3年生)とともに、流れを引き戻す。隅内キャディによれば、「5番ホールでは入りかけたのに弾かれた」というイーグルに近いバーディを奪取し、続く6番パー5でもしっかりとバーディとし、スコアをアンダーに持ち込んだ。

小林のキャディである隅内雅人の働きをねぎらう竹原
ラウンド後の囲み取材で、竹原は小林に対し、大学の部活のような「チームプレー」の戦いに見えたと質問を投げかけた。
「舞台は違いますが、大学の部活のときのように小林選手は一人で戦っているのではなく、キャディの隅内君と一緒に戦っているように見えました。隅内君の働きはどうでしたか?」
これに対し、小林は「確かにそのとおりです。厳しい時でも『大丈夫!』と励ましてくれ、かなり救われました。隅内と一緒に戦えることは心強いです」と回答。慣れないPGAツアーの舞台で後輩である隅内キャディの存在が、小林を精神的に支えていたことがわかる。
盟友に与えた強烈なイメージとモチベーション
その後、難しいインコースで残念ながらダブルボギーが2つあったものの、竹原がグリーンサイドで見守った18番では、セカンドを4メートルにつけ、ナイスバーディで締めくくった。
竹原は、盟友のプレーを間近で見て、「PGAツアーに選手として出場していることをうらやましいと思う反面、『大河ができるのであれば、自分にもできるかもしれない』と、モチベーションを上げてくれる活躍でした」と正直な思いを明かした。それは、2年前に大学同期の中野麟太朗が日本アマを制したときと同様の感覚だという。
小林の活躍から「いいイメージ」ができた竹原は、来週の日本オープンに向けて、「出場するからには優勝が目標! といいたいところですが、まずはしっかりローアマを獲得して、サードQTの権利を得たい」と、自身の目標を誓った。
「大河、2日目以降も頑張って!」
盟友からの熱いエールとともに、小林大河の2日目以降の奮闘に期待したい。
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JGAナショナルチーム・竹原佳吾が観た「ベイカレント C レクサス」詳報は10月21日に発売する『週刊ゴルフダイジェスト』にて掲載予定です。こちらも乞うご期待!