
日本オープンの練習日に、師匠と仰ぐ中島常幸と一緒に写真に納まる長﨑煌心(左)と長﨑大星(右)
兄弟が肌で感じた「日本オープン」の難易度
長﨑兄弟が口を揃えたのは、「コースセッティングの難しさ」だった。
兄の長﨑煌心は、今年だけでレギュラーツアー3試合目となるが、「ラフの長さやピンポジション、コース自体の距離の長さも長いですし、コースコンディションが非常に難しい」と分析。雨が降った初日と比べて2日目はラフが「少し立ち気味」になり、「ラフに入ったらもう出すだけ、刻むだけというような感じでした」と語る。他のレギュラーツアーにはない、“日本オープンの厳しさ”を肌で感じたという。
一方、弟の大星も、初めての日本オープン参戦ながら予選通過を果たした。彼はセッティングについて、ナショナルチームの経験から「7月下旬に出場したカナダアマに近いです。ラフが長いという印象でした」と語る。特に難しかったのは、グリーンに乗ってもアンジュレーションでボールが落ちてラフに戻りボギーを打つという、緻密なコースセッティングの罠だ。
兄・煌心の課題と適応力
煌心は、初日はショットが悪いなかでアプローチで耐えられたことが「一つ自信になった」と、メジャーの舞台で耐えるゴルフができたことに手応えを感じている。
しかし、2日目はショートゲームが乱れ、アプローチもパットも決まらない状況に。この差について、グリーンの速さや風の影響に加え、「ラフの長さが難しさとして出てきた」と分析する。それでも、「他の2試合(過去のレギュラーツアー)ではプロの空気感に慣れない感じがあったが、今回はやっと慣れてきた」と、着実に大舞台への適応力を見せている。
さらに、兄弟でローアマを競うことについて聞くと、「お互いにベストを尽くし、悔いのないよう、いつも通りのゴルフを信じて最後まで全力で挑みます。兄弟で争うということに関しては、ゴルフを始めてから常に切磋琢磨しながら競い合ってきた仲なので、兄の威厳を守るためにも僕がローアマチュアを獲ります!」と力強く宣言してくれた。
弟・大星が目指す「アマランク1位」
高校1年生ながらナショナルチームに選出される大星は、初日の3オーバーから2日目は1オーバーとスコアを改善した。「一番変わったのはティーショット」で、フェアウェイに置けたことが大きかったという。
彼のゴルフは常に世界を見据えている。週末に進めた今、「ローアマを獲得すると世界アマランクも上がるので、そこも意識したい」とし、今後のレギュラーツアー参戦も予定しており、出場できるプロの大会でポイントを着実に稼ぎたい考えだ。
一方で、課題も明確だ。「もうちょっとフェアウェイに置く」ことに加え、ショートゲーム、特に「ラフからのアプローチが、やっぱりまだまだ寄っていない」と分析。ロブ系のアプローチの難しさから、「そもそもそういう場所(深いラフ)に打たないで済むように、戦略を組んでいけたら」と、今後の戦略修正を誓っている。
古瀬幸一朗はアマチュア最後の日本オープンでローアマ獲得なるか!?

今年の「日本学生ゴルフ選手権」を制した古瀬幸一朗も週末に駒を進める
古瀬幸一朗は、今年8月に開催された「日本学生ゴルフ選手権」の覇者。その資格でQTサードから出場を決めている。彼は「チームではなく個人として、アマチュアで出場する最後の大きな試合」として、ローアマチュア(アマチュア最上位)獲得を目標に掲げる。
「とりあえず今日まではカットラインを見ながらビクビクしたゴルフになってしまった」と正直に心情を吐露した古瀬だが、決勝ラウンドでは「もう明日からは下を見る必要もないですし、とりあえず上だけを見て、もう少し積極的に攻めてもいいと思っています」と、攻めのゴルフを宣言。自身は名門・東北福祉大学ゴルフ部の主将なだけに、同世代の小林大河(日本大学ゴルフ部主将)や中野麟太朗(早稲田大学ゴルフ部主将)といったライバルを強く意識しており、アマチュア最後のメジャーで意地を見せる構えだ。
長﨑兄弟をはじめとする若きアマチュアたちが、世界基準のセッティングで得た経験は、彼らの今後のキャリアに大きな影響を与えるだろう。週末の決勝ラウンド、彼らがどこまでプロを脅かすプレーを見せるのかに注目が集まる。
撮影/姉崎正