レッスンプロを育成(指導)するレッスンプロの先生が教える「ゴルフの教科書(基本)」。今回は「ドライバーのトップの高さ」について解説する。【レッスンプロの先生とレッスンプロの教科書から学ぶゴルフの基本78】
画像: 富士通レディースでツアー2勝目を挙げた木村彩子のドライバーショットがアマチュアの参考になるという原田プロ(撮影/岡沢裕行)

富士通レディースでツアー2勝目を挙げた木村彩子のドライバーショットがアマチュアの参考になるという原田プロ(撮影/岡沢裕行)

参考にしたいのはスウィング改造した木村彩子プロのトップスウィング

画像: 参考にしたいのは3年前(右)からスウィング改造した木村彩子プロのトップスウィング(左がスタンレーレディスホンダで撮影)。トップまでの両ひざの動きが良くなり、トップが高くなった

参考にしたいのは3年前(右)からスウィング改造した木村彩子プロのトップスウィング(左がスタンレーレディスホンダで撮影)。トップまでの両ひざの動きが良くなり、トップが高くなった

GD 前回ドライバーのトップからフィニッシュまでの正しい動きについて説明していただきました。そのために大事なポイントは、「トップまでのひざの動きです」と話されました。そこで話題になったのが女子プロの木村彩子プロ。まさに、「トップでの両ひざの動きが良くなって、最近活躍してるよね」って、話したタイミング。その直後に、優勝しましたね。驚きました。

原田 私も驚きました。「スタンレーレディスの練習日に取材に行かれているなら、木村プロのスウィングを後方から撮ってください」と伝えました。「今週あたり勝つんじゃないかな」って。1週違いましたが富士通レディースで優勝しましたね。3年前くらいに1度優勝していましたが、明らかにスウィングの変化が見られましたから。

GD 予想が当たり過ぎです。

原田 木村プロはなんで勝てるんだろうと、そのころ(2~3年前)は正直思っていたほどです。もう少しスウィングが良くなれば、もっと強くなるのになあと……。最近見たら、スウィングが良くなっていました。

GD 明らかに変わったポイントはどこですか? 優勝した2022年とスタンレーレディスの練習場で撮った今のスウィングを並べてみました。

フックボールがストレートボールに変化

画像: フックボール(右)がストレートボール(左)に変化した

フックボール(右)がストレートボール(左)に変化した

原田 トップの高さが大きく違います。2022年当時はトップの手の位置が頭より低いんです。とくに左腕の高さが低いですね。そして、シャフトがターゲットより右を向いて垂れ下がっています。

GD 全然違いますね。

原田 今はほぼストレートのドローボール。当時はボールの曲がりが大きいフックボールでした。

画像: 以前の木村プロはオーバーにいうと、写真右のようにトップで右ひざが伸びて、両ひざの動きが大きく、トップで体が回り過ぎていた。両ひざの動きが良くなるとトップが左のように高くなる

以前の木村プロはオーバーにいうと、写真右のようにトップで右ひざが伸びて、両ひざの動きが大きく、トップで体が回り過ぎていた。両ひざの動きが良くなるとトップが左のように高くなる

GD たしかに、富士通レディースで優勝した直後の会見で木村プロも球筋について話しています。トップが低いと、フックが出やすいと。それで、この3年間、トップを高くするスウィング改造をしたことを明かしています。

原田 やはりそうでしたか。スウィングの変化はスウィング改造だったんですね。トップが高いからアップライトになり、ストレートに近い真っすぐな球筋に変化したわけですね。それで、前回、トップの位置を作るのは下半身だということを説明しましたが、トップの右足を見てください。今より3年前は右ひざが伸びています。

トップが良くなり、ダウンスウィングの軌道が良くなった

画像: トップが良くなり、ダウンスウィングの軌道が良くなった

トップが良くなり、ダウンスウィングの軌道が良くなった

GD たしかにそうですね。3年前は左ひざが前に出ている印象です。両ひざにすき間が見られますね。

原田 右足が伸びてしまうと、トップで体が回り過ぎてしまうんですよ。だからシャフトがクロスする。上体も下半身も回りすぎているうえに、トップの手の位置が低いから、ダウンスウィングでクラブは寝て下りてしまいます。ダウンスウィングの写真を比べてみても、明らかですね。クラブが寝て、インからアウトにヘッドが抜けるからフックボールになる。それが、トップの位置が高くなって、インサイドインに振り抜けるようになったことで、ボールは真っすぐ飛ぶようになったんです。

GD 会見では、「(以前は)トップが低いとインから入ってきやすくなって、ラフに絡まって左に飛んだりとか、距離が飛ばないことがあったんですけど、トップを高くしたことによって上から入るようになって、安定しました」と、ラフからのアイアンショットについても話しています。

原田 そうなんですよね。前のスウィングではボールはつかまりすぎてしまうからね。アップライトなスウィングに変えたことで、クラブの軌道が安定したんです。

「カベドリル」を意識しよう

画像: 「カベドリル」を意識することがポイント。右のように体と下半身が同時に回転しないように、体の正面に向けて体重移動と体の回転を覚えよう

「カベドリル」を意識することがポイント。右のように体と下半身が同時に回転しないように、体の正面に向けて体重移動と体の回転を覚えよう

GD そのダウンスウィングの写真を見ると、以前教えていただいた「カベドリル」を思い出します。両手をカベにつけたまま、体を正面に向けて体重移動と体の回転を覚えるドリルです。今のスウィングはまさに、上体を正面に向けたまま、腰が回っているように見えます。

原田 そうです。以前よりその動きも良くなっていますね。だからフィニッシュが変わってくる。トップが高くなり、左サイドへの体重移動と体の回転ができるから、フィニッシュも良くなる。トップの手の位置が高く、体が以前よりしっかり回れています。

GD 回転スピードが上がれば、ヘッドスピードも上がり、ボールは飛びますよね。

原田 そうです。木村プロのように、両ひざが動かないように注意すれば、トップが高くなりドライバーショットは良くなります。真っすぐ飛ばせるようにもなりますよ。

●原田伝一( 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長)

はらだ・でんいち。1955年、横浜市出身。80〜82年、US・NGFインストラクターセミナー参加。ゴルフ指導者について研究を積む。83年、NGF日本ゴルフ財団チーフインストラクター就任。2010年、一般社団法人 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長に就任。数多くのレッスンプロを世に送り出している。

撮影協力/東名CC、梅里CC

ドライバーで失敗しない両ひざの動きを解説

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