ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。今回は、ライダーカップで活躍したアイルランドのシェーン・ローリーについて語ってもらった。
画像: 「マキロイが勝った試合ではローリーが2位というケースも少なくない。来年のマスターズでグリーンジャケットがマキロイからローリーへ、そんなシーンも想像してしまいます」(佐藤プロ)

「マキロイが勝った試合ではローリーが2位というケースも少なくない。来年のマスターズでグリーンジャケットがマキロイからローリーへ、そんなシーンも想像してしまいます」(佐藤プロ)

つくづく「持ってる男だなあ」と感じるのが、シェーン・ローリー。今回のライダーカップでは、最終日のラッセル・ヘンリーとのシングルスで、最終ホールで3m超のバーディパットを沈めてスクエアに持ち込み欧州選抜の引き分け以上、「カップ保持」が決まりました。

通常、ライダーカップでチーム優勝を決める瞬間に巡り合うのは、選手にとっては〝おいしい〞場面です。ところが今回の場合、米国選抜が7ポイント差をひっくり返しそうな怒涛の勢い。ティレル・ハットンなどは「オレのところに回ってくるな」と思っていたそうですが、それが欧州選手の偽らざる心情だったでしょう。勝負を決めたローリーの見せた歓喜に交じった安堵の表情は、歴史に残る激戦を物語っていました。同時にあの緊張の場面できっちり決めるローリーに、〝持ってる〞だけではない一流選手のメンタルも含む技術の高さを感じました。 

シェーン・ローリーの勝負を決めたパットは9分21秒~【ライダーカップ公式YouTube】

画像1: Full Event Highlights | 2025 Ryder Cup www.youtube.com

Full Event Highlights | 2025 Ryder Cup

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その鮮烈なデビューは09年、母国のアイルランドオープンでのアマチュア優勝。優勝を決めた瞬間、ギャラリーがコースになだれ込み、翌日の新聞は1面あるいはスポーツ面全面が彼のトロフィを掲げる笑顔の写真に。そして19年には1951年以来、68年ぶりに北アイルランドでの開催となったロイヤルポートラッシュでの全英オープンでメジャー初優勝。この試合、ローリー・マキロイの優勝への意欲も並々ならぬものでしたがまさかの予選落ち。号泣の記者会見は今も記憶に残ります。そのマキロイへの地元の期待までも一身に背負っての優勝。地元主要紙1面全面に写真が出て、8〜10ページの特集が組まれたほどで、完全に国民的祝賀という感じだったようです。 

エースが多いのもローリーです。それも世界の超有名パー3で何度も。TPCソーグラスの17番、オーガスタの16番、そして今年はペブルビーチの7番でも達成しました。そして今年のライダーカップでは、ティーショットを打ち終え、18番のフェアウェイを歩きながら、「ゴルフ人生で最高の瞬間を迎えられそうだ」と、キャディに向かって話していたそうです。 

ライダーカップには、キャプテンズピックの1番目、ランキングでは7番目の選手でした。大会前はあまり成績も出ていませんでしたが、緊張が最高潮に達するあの局面で力を発揮できるのが超一流。それは同時にライダーカップに求められる資質でもあり、〝持ってる男〞の本領発揮です。 

また、別の面でもチームに貢献。やじやブーイングが飛び交うのもライダーカップ。特にマキロイには容赦のないやじが飛びました。しかし、ギャラリーとマキロイの間に入り、時にマキロイの前に出てギャラリーとやり合ったのがローリーです。 

今年マキロイがマスターズでキャリアグランドスラムを決めた後、ローリーに会った瞬間、顔をグチャグチャにして抱き合っていました。2人の関係を如実に表すシーンです。マキロイとは同郷の親友でありライバル。しかし用心棒のような存在でもある。その献身ぶりが彼の魅力でもあります。2年後のライダーカップは2人の故郷、アイルランド開催。楽しみですね。

撮影/岩本芳弘

※週刊ゴルフダイジェスト2025年11月4日「さとうの目」より

2025年ライダーカップまとめ

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