熟成が期待されるテーラーメイドの5代目カーボンフェース
GD 2025年クラブ・オブ・ザ・イヤー、ドライバー部門は「ピンG440シリーズ」に決定しました。『MAX』だけでなく、『LS』も人気で売り上げでいうと、この2モデルがワンツーだったわけですが、2026年モデルとして「テーラーメイド」が新作をツアーロンチしています。
長谷部 2026年モデルに関しては、PGAツアーからいろいろなリーク記事が上がっていて、「ピン」も新しいモデルがツアーで露出しはじめています。
「テーラーメイド」は中島啓太をはじめ、主要選手が使っているということで順調に新しいモデルにスイッチしている情報が伝わっています。ここで注意深く見ていきたいのは、コアモデルを使っていた選手が『MAX』に変わっているのか? 『LS』を使っていた選手がコアモデルを使っていないか? この辺をちゃんと見ていきたいなと思いますよね。シェフラーも新しいモデルを「ヒーローワールドチャレンジ」から使っているので、『Qi35』を飛ばして2年ぶりのスイッチになります。

「Qi35シリーズ」
長谷部 それと現在人気ナンバーワンの「ピン」の動向ですが、画像を見た限りでは新作は『G440K』という名称のようで「K」が付いているということなので、これは『G430 10K』の後継なのか、新しくブラッシュアップされた機能のものなのか、この辺は色々と想像してみたいところですよね。「キャロウェイ」もUSGA、R&Aに登録されていて、直近のSNSでも『トリプルダイヤモンド』の画像がハッキリと写っているので、新しいモデルが出ることが確認できています。
GD 「テーラーメイド」に関して言うと、長谷部さんは“チタンフェース回帰”を言っていましたが、次のモデルもカーボンフェースでしたね。
長谷部 予想が外れましたね(笑)。やっぱり「テーラーメイド」は、カーボンウッド路線をひたすら歩んでいる。これはある種、テーラーメイドのこだわりでもあるし、自信があるところということで、もしかしたらフェース面に新しいテクノロジーが入ってくるのか、アイデアが入ってくるのか、その辺は十分期待できます。連続で5代目ですから期待できるんじゃないですか。
GD 『ステルス』、『ステルス2』、『Qi10』、『Qi35』の次ですからね。
長谷部 いよいよ熟成されたカーボンフェースになってくる可能性はあります。
GD 他社からもカーボンフェース採用の情報があるので、チタンフェースからカーボンフェース時代に入るのではないか、そんな予感もするのですが、どうなんでしょう?
長谷部 そうですね。「ヤマハ」と「三菱ケミカル」が共同開発したカーボンフェースが昨年の「インプレス」に続いて「リミックス」でも先日発表されています。日本のメーカーもいよいよカーボンフェース到来か? といったところで、「プロギア」がVISA太平洋マスターズで『DUO』の名を使用したプロトタイプの存在をリークしましたけど、これも注目ですね。

「ヤマハ」から昨年発売された『インプレスシリーズ』
長谷部 四半世紀前にカーボンクラウン複合の『DUO』が話題になりました。初めてボディにカーボンを複合したことが話題になったんですけど、その「プロギア」が今度は何をやってくるのか、画像でしか確認できていないのですが、カーボンっぽいものがフェースに見えます。打面はチタンにも見えるんですが、どうなっているのか興味があります。
GD チタンに代わる素材探しは、ドライバーの進化のなかでずっと言われ続けています。5年前に「テーラーメイドがカーボンを使った。いまさらカーボン? またカーボンに戻るの?」といった声も少なからずありましたが、カーボンを使用するメリットはあるんですか?
長谷部 カーボンは引っ張り強度が高いのが大きな特長です。ただ、特定の方向から押しつぶすような力(圧縮)には弱くなりやすい面もあります。例えばフィニッシュで体にシャフトが当たるようなスウィングをすると、結構折れやすいんです。
それって何かっていうと、横の力に弱い特性なんです。引っ張る力に強いカーボンをフェース面上でどう使うのか、ボディでどう使うのかというのを考えているのが今のカーボンフェースになるので、『DUO』をはじめ、来年いくつか噂される複合のテクノロジーというのが、カーボンの特性と上手く組み合わさってくると新しい時代を迎えるのかなと思います。
GD 複合フェース採用といった情報は業界内で流れているんですか?
長谷部 「なんとかの」複合フェースという話ですね。それぞれのメーカーが持っているノウハウの違いなのかもしれないですけど、樹脂系とか別の素材を使用する考えもあるようです。「タイトリストGTシリーズ」がクラウンに使ったシークレットにしている素材があったじゃないですか。ああいったカーボンとも違う新しい樹脂系? ナイロンやポリウレタン系のものがフェースに採用されてくるとチタンの使い方も変わってくるのかなと思います。
過去にはチタンに変わる素材としてマグネシウムやジュラルミンなど軽比重のいろんな金属もトライしたけど、反発性能とか設計の自由度、製造方法の確立などが理由で、チタンを上回るものが20年以上出てきてない。「チタンにも一長一短ありますよ、カーボンにも一長一短ありますよ」というところを上手くミックスして作り出せたら、ボディと同じように新しい世界が生まれるでしょうね。
GD ボディはかなり複合化が進みましたからね。
長谷部 チタンとカーボンやその他の樹脂を組み合わせたボディは一般化しているので、もしかしたら次はフェースがそうなるのという感じもします。
