昨シーズン、夢だったPGAツアーの舞台で戦った星野陸也。結果はフェデックスランキング173位.。公傷制度で残り数試合には出場できるもののシード権確保には厳しい状況だ。今年に入ってすぐ、「PGAツアーはどういうところだったか」という話を聞いたとき、星野はその貴重な経験と次へつながる“気づき”をじっくりと語ってくれ、「もう気持ちは切り替わっています」とDPワールドツアーを主戦場とする今シーズンに向かっていた。そんな星野が、昨年末に他界したジャンボ尾崎との思い出も語ってくれた。
画像: 2017年の中日クラウンズにて。中嶋常幸の代わりに星野が入って実現した「AON」ならぬ「AOH」。「オリンピックより緊張しました」(星野)

2017年の中日クラウンズにて。中嶋常幸の代わりに星野が入って実現した「AON」ならぬ「AOH」。「オリンピックより緊張しました」(星野)

震えた黄金のペアリング。YouTubeで予習した夜

画像: 自称「ギアおたく」で“飛ばし屋”の星野。ジャンボや青木も期待の若手とのラウンドを楽しんだはずだ。「ジャンボさん、本当に飛んでいました!」(星野)

自称「ギアおたく」で“飛ばし屋”の星野。ジャンボや青木も期待の若手とのラウンドを楽しんだはずだ。「ジャンボさん、本当に飛んでいました!」(星野)

「ジャンボさんの訃報には驚きました。病気だったんですね……。実は2回一緒にラウンドをしたことがあるんです。しかも2日間一緒に回りました。あの頃、ジャンボさんは腰が痛くて棄権することも多かったですから……」

2017年の中日クラウンズでのこと。この年、尾崎は多くの試合に出場していた。

「たくさんの試合に出た最後の年で、何試合か2日間回り切っていらしたんですけど、そのうちの2回は自分と一緒だったんです。すごく記憶にあります。初めて回ったときは“ボス”という感じのキャラで、『すみません、星野陸也です』とご挨拶すると、『ああ、お前が星野か、よろしく頼むよ』みたいな感じで。僕は初めての中日クラウンズだったし、まだシードも取っていない1年目のプロでリランキングがかかっていて、いろんな緊張があって……予選を通ったらなんだか怒られそうだし(笑)」

星野は前年にプロ宣言をし、QTランキング1位でツアーに参戦したばかりの新人プロだった。

「しかも青木(功)さんとも同組で。本当は中嶋(常幸)さんが入る予定だったんですけど、ケガで出場できなくて、火曜日の午前中くらいに『陸也が入るという噂が流れてるぞ』って。僕は『それはないっしょ。シードも取ったことのないようなやつに……(石川)遼くんじゃないのかな』と言っていたら、組み合わせ表にまさかの自分の名前が書いてある。その夜からジャンボさんと青木さんのYouTubeをずっと見ました(笑)」

注目されていた新人プロが大役を担うことになったわけだが、その注目組には大ギャラリーが付いていた。

「ジャンボさん、腰のこともあってラウンド中は携帯できる椅子に腰かけて、まったくしゃべらないんですけど、後ろから見ているんです。もう緊張で固まりますよ。ベテランの人気プロ2人にはギャラリーが半端なく付いているし。逆に青木さんはずっとダジャレなんかをしゃべっていて、僕が返答しないと『お前、こういうときは返答しなくちゃいけないんだよ』と。試合中ですよ(笑)。そこからは反応するようにしました」

レジェンドからの洗礼。2人に囲まれた極限パット

画像: 当時、ジャンボ尾崎のことは名前を知っている程度だったそう

当時、ジャンボ尾崎のことは名前を知っている程度だったそう

2オーバーで終えた初日、初めて尾崎が星野に話しかけた言葉が「お前、バーディが少ねえじゃないか」だったという。

「初日、僕はバーディを1つしか取れなくて、怒られたんです。それで翌日の朝、まずは青木さんに挨拶に行ったら『お前、予選落ちたら許さんからなあ』と怖い感じで。普通に挨拶しただけなのに(笑)。その後にジャンボさんに挨拶に行ったら、『お前、今日バーディいくつ取るんだ』と言われて『うー、4つ取ります』と言ったら、『わかった、ガンバレよ』ってこちらも怖い(笑)。そして、2日目、最終ホールを前にして、僕はバーディが2つしか取れてなかったんです。しかも予選カットまで1打足りない。18番(パー4)でバーディを取らないとヤバい状況。そんななかでセカンドショットが、ピンまで1.5mくらいのバーディチャンスについて『よっしゃー』と。青木さんとジャンボさんは4打目でグリーンオンして、グリーンに上がってきたんです。それで自分より内側につけたんですよ。まあ入る距離です。そうしたらお2人が、『お前、若いから最後に打て』って。それまでは、僕のほうがピンに近くついていても『若いから先に打て』ということも何度かあったんですけど(笑)。ギャラリーがすごいなかで、ジャンボさんが『オレらが先やるから』と言うと青木さんも『そうだな』と。まず青木さんがポンと打ったらカップを蹴られて、ジャンボさんもめっちゃ近いのに、打った瞬間に“マロる”(カップをクルッと回る)し、超イメージが悪くなるんですよ(笑)。それに僕のパットも短いけどラインは直角くらいにフックする感じで上って下りてのラインだったんです。パンチが入ったら絶対オーバーするし、タッチとラインが完璧じゃないと入らないという状況で。かなり時間をかけてラインを読んで、打ったら入ったんです。そのとき初めてジャンボさんが笑ったんですよ。『よくやったなあ』と。青木さんも、『これを外してたら人生終わってたかもよ』と笑顔で。それで予選を通りました。あのラウンドは、究極の緊張感で、オリンピック(東京オリンピックに日本代表として出場)より緊張しましたよ(笑)」

ジャンボ尾崎のことは、名前を知っている程度だったという。

「でも、実際に回るとそのオーラでやっぱりビビります。それにしてもジャンボさん、当時でも飛びましたから、とても驚きました」 

“AOHの思い出”である。

画像: 2日目の最終ホールでバーディパットを決めた星野。「このときジャンボさんが初めて笑ってくれました」(星野)

2日目の最終ホールでバーディパットを決めた星野。「このときジャンボさんが初めて笑ってくれました」(星野)

この年、星野は賞金ランキングを31位とし、フル参戦1年目で初シードを獲得。その後着々と歩みを進め、欧州、アメリカと世界を股にかける活躍をしている。

「僕くらいがたぶん、ジャンボさんと試合でラウンドできた最後の世代かもしれません。いい思い出です。僕も55歳くらいまでは現役で頑張りたい。そのためには飛距離は必要ですよね。ミケルソンなんかも見て、50歳で300ヤード以上は飛ばしたいです」

ここにも“ジャンボが残したもの”があった。

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週刊ゴルフダイジェスト2月10日号やMyゴルフダイジェストでは、星野陸也がPGAツアーで掴んだ、“イマドキ”のゴルフを紹介。「想像以上のセッティングだった」と話すアメリカのコースに対応するべく、ギアもスウィングもいじったという星野。「改良次第で戦える」と考え試行錯誤した結果、たどり着いた技術とは? スウィング中に意識するポイントを押さえたインタビュー記事は、アマチュアゴルファーのヒントにもなるはずだ!

写真/姉﨑正

ゴルフダイジェストが記録する“ジャンボ尾崎”はこちら

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