2026年のPGAツアー序盤戦、もっとも熱い視線を浴びている男は間違いなくクリス・ゴッタラップだろう。 ここまで3戦2勝。フェデックスカップランキング首位、そして世界ランク5位という堂々たる肩書きを引っ提げ、彼は「AT&Tペブルビーチプロアマ」に乗り込んできた。
画像: 先週開催のWMフェニックスオープンでは松山英樹とのプレーオフを制し、優勝したクリス・ゴッタラップ(撮影/岩本芳弘)

先週開催のWMフェニックスオープンでは松山英樹とのプレーオフを制し、優勝したクリス・ゴッタラップ(撮影/岩本芳弘)

プロのトーナメントとしてこの地を踏むのは初めてだが、彼にとってペブルビーチは特別な場所だ。

「子供の頃、アンダーパーを出したら父さんがここに連れてきてくれるという賭けをしたんだ。見事に達成して、父と兄と一緒にプレーしたよ。ここは、雨が降っていても『ここに来られて幸せだ』と思える数少ない場所さ」

開幕前の会見でそう語るゴッタラップの表情には、トップランカーとしての確かな余裕が漂っていた。

躍進の理由は「100〜150ヤードの徹底改善」

ツアー屈指の「飛ばし屋」として知られていた彼が、なぜ今年、これほどの勝ち星を量産できているのか。会見で好調の要因を問われると、彼は昨シーズンをこう自己分析した。

「このオフに昨年のスタッツを洗い出してみたんだ。そうしたら、僕が最もスコアをロスしていたのは『100ヤードから150ヤード』の距離だったことが判明したんだ。数字は嘘をつかない。だから、そこを重点的に強化したんだ」

彼の言葉をスタッツで検証してみよう。「数字は嘘をつかない」という通り、その成果はデータにくっきりと表れている。

昨季、彼の「100-125ヤード」のアプローチは平均20フィート4インチ(123位)、「125-150ヤード」は平均24フィート9インチ(149位)と、ツアー下位に沈んでいた。

それが今季はどうだ。「100-125ヤード」は15フィート7インチ(41位)、「125-150ヤード」は19フィート2インチ(46位)と、いずれも5フィート(約1.5メートル)以上もピンに近づき、順位も100ランク近く急上昇しているのだ。

弱点だったショートゲームも克服

さらに、彼の進化はショットだけにとどまらない。

昨シーズン、彼の「SG: Around-the-Green(グリーン周りのショートゲーム)」はフィールド82位(0.029)、「SG: Putting」は101位(0.004)と、まさに平凡な数字だった。それが今季はどうだろう。ショートゲームは14位(0.682)へジャンプアップし、パッティングも64位(0.216)へと確かな改善を見せている。

本人が「これまでは優先順位が高くなかった」と語るショートゲームの練習にも時間を割いたことで、スコアメイクの要として実を結んでいるのだ。

得意のドライバーは、平均327.9ヤード(5位)まで飛距離を伸ばし、「SG: Off-the-Tee」は堂々の2位(1.111)。つまり、今のゴッタラップは「圧倒的なドライバーでアドバンテージを取り、弱点を克服したショートアイアン(ウェッジ)でチャンスを作り、進化したアプローチで凌ぐ」という、まったく隙のないゴルフを展開しているのだ。総合的なショット力を示す「SG: Tee-to-Green」が昨年の36位から3位(2.631)へと跳ね上がっているのが、その証明である。

北東部出身の反骨精神

技術面だけでなく、メンタル面での成長も著しい。

「悪い日があっても、それを次の日に持ち越さない。洗い流すんだ」という切り替えの早さに加え、彼を突き動かしているのは「北東部(ニュージャージー州)出身」というルーツだ。

「キーガン(・ブラッドリー)のように『反骨精神』を持っているか?」という記者の問いに、彼は力強く頷いた。

「もちろんだ。地元に帰れば、会ったこともない人たちが僕の活躍を気にかけてくれている。同じ町、同じコースで育ったというだけでね。この地域の代表として良いプレーをしたい、それは僕の大きな誇りなんだ」

圧倒的なパワーに、繊細な技術とタフな精神力が備わった26歳の飛ばし屋。SG: Totalが2位(2.846)というスタッツが示す通り、今年のクリス・ゴッタラップの快進撃は、フロックなどでは決してない。

世界No.1も思わず脱帽する勢い

今の彼がいかに手がつけられない状態にあるかは、ツアーの仲間たちの反応にも表れている。会見で明かされたところによれば、最近、ゴッタラップを見かけた世界ランキング1位のスコッティ・シェフラーは、冗談交じりにこう声をかけたという。

「君が食べているものと同じものを、僕にも食べさせてくれないか?」

勝つためのピースをすべて埋め、覚醒を果たした新トップランカー。誰もが認める絶対王者シェフラーでさえ、いまのゴッタラップの勢いには思わず脱帽し、その“秘密”にあやかりたいと語るほどだ。隙を完全に無くした新たな怪物が、PGAツアーの勢力図を塗り替える日は遠くないかもしれない。

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