
単独2位のジーノ・ティティクルと首位のイ・ソミ
ジーノ・ティティクル:大合唱を力に変える「お祭りムード」と「冷静な配球」

誕生日の20日はバーディを奪うたびにギャラリーから「ハッピーバースデー」の合唱が聞こえた(写真は25年ホンダLPGAタイランド、撮影/姉崎正)
この日のサイアムCCは、一人のスターのための巨大なパーティ会場と化していた。2月20日は、ジーノ・ティティクルの23歳の誕生日。地元の大ギャラリーは、ヒロインの一挙手一投足に熱狂し、彼女がバーディパットを沈めるたびに、グリーン周りで「ハッピーバースデー」の大合唱が巻き起こった。
【動画】ジーノ、2日目ハイライト。3:21~「ハッピーバースデー」のメロディが聞こえる【LPGA公式YouTube】
Jeeno Thitikul gets crowds going in Thailand
www.youtube.com「バーディが獲るたびに、みんなが歌ってくれるんです。間違いなく、私の人生で一番『ハッピーバースデー』を歌われた日ですね」
会見でそう笑って見せたジーノ。周囲の熱気を力に変え、彼女はこの日「63」というビッグスコアを叩き出した。しかし、大興奮のお祭りムードとは裏腹に、彼女のプレースタイルはどこまでも冷徹だった。ここまで36ホールを消化して、なんと「ノーボギー」。荒れる要素の多いコースで、いかに彼女のリスク管理が徹底されているかが分かる。
「このコースは何度もプレーしているから、どこに外していいか、どこに行ってはいけないかを知り尽くしています。この2日間、私はボールを『自分が置きたい安全な場所』に置き続けることができた。無理なリスクを冒さなければ、ここは大きな問題にはならないんです」
ギャラリーの熱狂を全身に浴びながら、頭の中は氷のように冷静。その完璧なバランスが、母国での戴冠へと彼女を押し上げている。
イ・ソミ:「他人と比較したくない」徹底された情報遮断の美学

普段からスコアボードは見ないというイ・ソミ(写真は25年TOTOジャパンクラシック)
一方、ジーノを3打差でリードするイ・ソミの周囲には、研ぎ澄まされた「静寂」が漂っていた。この日の彼女のスコアは、なんと11アンダーの「61」。もちろん、自身のキャリアベストを更新する数字だ。フェアウェイキープ率は100%(14/14)、そしてパット数はわずか「25」。ピンに絡め、確実に沈める。ゴルフというゲームの理想形を体現したような、完璧なラウンドだった。
さぞや気分が高揚しているかと思いきや、彼女の口から出たのはストイックすぎる「遮断の美学」だった。
「人生最高のスコアを出せたので、少し感情的にはなっています。でも、まだあと2日あるので、喜ぶのは少しだけに留めておきます」
そして、驚くべきことに、彼女は自分が今、どんな歴史的スコアで首位に立っているかをラウンド中に全く把握していなかったのだという。
「普段からリーダーボードは見ないようにしていますし、ラウンドが終わった後でさえ、あえて見ないようにしています。自分のゲームだけに集中したいから。順位を見てしまうと、どうしても他人と自分を比較してしまう。私は、それをしたくないんです」
【動画】イ・ソミ、2日目ハイライト【LPGA公式YouTube】
Somi Lee breaks her career high record
www.youtube.com地元の声援と祝福の嵐に包まれ、外のエネルギーを吸収してスコアを伸ばすジーノ。自らの視覚から情報を遮断し、徹底的に内なる世界へ没入することで爆発的なスコアを叩き出すイ・ソミ。
「周囲の熱気」と「内なる集中」。全く異なるベクトルの“ゾーン”に入った二人が、週末のパタヤで激突する。この対照的なメンタル状態がどのような結末を引き寄せるのか、息を呑むような優勝争いから目が離せない。





