フロリダ州のPGAナショナル・チャンピオンコースで開催されているPGAツアー「コグニザントクラシック」。ムービングデーとなる3日目、日本勢で唯一、決勝ラウンドに進出した金谷拓実が4アンダー「67」をマークし、トータル7アンダーの12位タイへと順位を上げた。首位を走るのは、トータル13アンダーのシェーン・ローリー(アイルランド)とオースティン・スモザーマン(米国)。金谷は彼らと「6打」差と小さくはないが、池と風が複雑に絡み合う難コース「ベア・トラップ」を擁するPGAナショナルでは、一瞬のミスが致命傷になる一方で、何が起きても不思議ではない。

データが証明する「ショットメーカー」の完全復調

画像: 首位と6打差12位タイに浮上した金谷拓実(写真は26年ソニーオープン・イン・ハワイ、撮影/岩本芳弘)

首位と6打差12位タイに浮上した金谷拓実(写真は26年ソニーオープン・イン・ハワイ、撮影/岩本芳弘)

予選通過の重圧から解放されたムービングデー。金谷拓実は、持ち前の「ショットメーカー」としての本領をいかんなく発揮した。その復調ぶりは、グリーンを的確に捉える精度、すなわち「パーオン率(GIR)」の劇的な改善にハッキリと表れている。

  • 初日:50.00% (9/18)
  • 2日目:61.11% (11/18)
  • 3日目:77.78% (14/18)

初日は半分しかグリーンを捉えられず苦しんだが、日を追うごとに修正を重ね、3日目には約8割という高い数字に到達した。ティーショットのフェアウェイキープ率も、初日の57.14% (8/14) から改善を見せた2日目と同じく、この日も64.29% (9/14) をキープ。ショット全体の切れ味が完全に蘇っている証拠だ。

さらに期待を抱かせるのが、パッティングとの「噛み合わせ」のポテンシャルである。 3日目のパッティングのスコア貢献度(SG: Putting)は「+0.688」とプラス圏で推移したものの、全体6位の数値を叩き出した2日目の「+3.162」ほどの爆発には至らなかった。

つまり、「3日目の精緻なショット」と「2日目の神懸かったパット」が最終日で見事に噛み合えばどうなるか。首位のS・ローリーがこの日叩き出した「63」のような猛チャージを、金谷が記録することは決して不可能ではないというロジックが成り立つ。

立ちはだかる壁。対照的な首位の二人

金谷の前に立ちはだかるのは、対照的なバックグラウンドを持つ二人の首位タイ選手だ。

一人目は、メジャー覇者のシェーン・ローリー。この日のベストスコア「63」を叩き出し、一気にリーダーボードの頂点へ駆け上がった。「今日はすべてがうまくいった。最後の2連続バーディは、ケーキの上のアイシング(最高のおまけ)のようなものだね」と王者の風格を漂わせる。選手を苦しめる難関ベア・トラップについても「風向きの影響で15番、16番、17番が追い風になり、番手が下がってやさしく感じた」と、自然の猛威すら見事に味方につけている。

もう一人は、初日の「62」から首位を守り続けているオースティン・スモザーマンだ。下部ツアーから這い上がってきた彼は、この日も「69」とスコアをまとめ、ツアー初優勝に向けて踏みとどまった。

3月末に第3子の誕生を控えており、「妻から、娘がテレビのパパを指差している写真が送られてきたよ」と目尻を下げる良きパパでもある。しかし、最終日は百戦錬磨のメジャー覇者S・ローリーと最終組で直接対決するという、これまでにない巨大なプレッシャーと戦うことになる。

最終日の見どころ:重圧なきポジションからの大逆転劇へ

首位の二人が最終組でバチバチと競り合う展開は、後方から追いかける選手にとって絶好のチャンスとなり得る。首位と6打差の12位タイという位置は、金谷にとって優勝争いのしびれるようなプレッシャーを直接浴びることなく、自分のゴルフに没頭してスコアを伸ばせる「絶好のポジション」なのではないか。

逆転劇によるPGAツアー自己最高位の更新、さらにはその先へ――。日曜日のフロリダで、金谷拓実が最高のフィナーレを飾ることを期待したい。


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