「ミドルアイアンが当たらない」、「番手ごとの飛距離の階段が揃わない」、アマチュアの14本のクラブには多くの悩みがある。それを解決する一手段として、「クラブレングスが短いクラブ=短尺クラブ」の効果を松本一誠プロと検証していった。

ヘッドは同じ/ノーマル長さ vs 1インチ短尺

「短く握れ」は、インパクトを安定させたいアマチュアに向けた昔からの鉄板レッスン。今回は「短く握る」ではなく、元から「短いクラブ」での実験。そして用意したのが、この2モデル。

画像: ノーマル長さのYAMAHA RMX/VD Xアイアン(6I&7I/右)。同じヘッドで1インチ短いRMX/VD X Steady Version(6I&7I/左)

ノーマル長さのYAMAHA RMX/VD Xアイアン(6I&7I/右)。同じヘッドで1インチ短いRMX/VD X Steady Version(6I&7I/左)

今年、惜しくもゴルフ事業からの撤退を発表したヤマハの RMX/VD X Steady Versionアイアンは、通常モデルのRMX/VD X アイアンよりも、1インチ短尺仕様のSteady(ステディ・安定した・着実な)という名のモデル。ちなみに4月末日時点でSteady Versionは、まだオンラインで販売中。

それぞれ6Iと7Iの2本ずつを用意。この2モデルを松本一誠プロが打ち比べて、各番手の弾道や飛距離、番手ごとの飛距離差を探っていく。

画像: ノーマル長さ vs 1インチ短尺。飛距離は? 球筋は? 安定感は? 実験してみた【みんゴル実験室Vol.3】

みんゴル実験室 レギュラーテスター/松本一誠プロ
近年、ロングドライブ競技で何度も日本一になっているドラコンチャンピオンにして、アマチュアの指導もしているティーチングプロ。横浜駅東口から徒歩約5分にある松本プロ主宰のISSEI Golf Laboで実験

実験の前に、短尺クラブによる変化を松本プロに確認……。

①ミート率の向上
短いぶん、ヘッド軌道が体に近づき、芯でとらえる確率が上がる。アドレス時点で通常レングスよりも、ボールとヘッドが体に近いため見た目的にもやさしく感じ、余計なリキみも減るはず。

②方向性の安定
短いぶん、フェース面の管理がやさしくなる。ターゲットに対する出球も揃いやすい。

③弾道が低くなる
スウィング軌道が小さくなるぶん、ヘッドスピードは遅くなりボール初速も下がる。同番手の同ロフトでもスピン量は減り、弾道が低くなる。

④キャリー距離は?
ヘッドスピードが落ちて弾道も低くなるので、キャリー飛距離は当然下がるはずだが、短いぶんミート率は向上する。アマの場合は、このプラスマイナスが大きく影響しそうだが、テスターは松本プロ自身……本実験で気になるところ。

7I/ノーマル長さ vs 1インチ短尺

まずは通常レングスのRMX/VD Xの7I。一般ゴルファーと弾道の隔たりが大きくならないよう、超飛ばし屋の松本プロには、スリークォーターショットの力感で抑えて打ってもらう。

画像: ノーマル長さの7Iから試打。計測はトラックマン4、ボールはプロV1x、掲載データは5球打った平均値

ノーマル長さの7Iから試打。計測はトラックマン4、ボールはプロV1x、掲載データは5球打った平均値

「ヘッドが大きく安心感があり、実際に打つと、見た目通りの慣性モーメントの大きなヘッドらしく直進性が高いです」(松本プロ・以下同)

つづいて1インチ短いSteady Version。「1インチという数字以上に短く感じます。短くなったことで腕をふところに通しやすく、前傾をキープしやすいです。実際に打ってみると飛距離は思ったより落ちませんね。体感でマイナス3ヤードくらいの感覚です」。実測でキャリー2.8yの飛距離差だった。

ノーマル長さの7I
(RMX/VD X/NS950 neo/S/37inch)
ヘッドスピード:36.4m/s
ボール初速:52.8m/s
キャリー:169.6y(トータル186.5y)
スピン量:4983rpm
弾道頂点:24.4y
ミート率:1.45

1インチ短尺の7I
(RMX/VD X Steady Version/NS950 neo/S/36inch)
ヘッドスピード:36.1m/s
ボール初速:52.0m/s
キャリー:166.8y(トータル183.5y)
スピン量:4934rpm
弾道頂点:24.4y
ミート率:1.44

「打ってみて分かったのは、1インチ短尺はボールが右に行きやすいのでアジャストする必要があること。ボールがつかまりすぎたり、左に巻く人にはいいかもしれません。そこに気をつければ短いぶんだけ、斜面やラフでも打ちやすいはず。僕自身は、短尺モデルが少し軽く感じたので、実戦で使うならヘッドに鉛を貼ってバランスを合わせたいですね」

短いぶん軽く感じて、右寄りへ飛ぶのを調整しながらのショットになったせいかミート率平均は、ノーマルの1.45から0.01下がって1.44。球の高さ平均(弾道頂点)は24.4yで同じだった。

6I/ノーマル長さ vs 1インチ短尺

次は6I。まずノーマルの6Iから。「実験とは別に、自分のフルショットで打たせもらいましたが、これ飛びます! 実測で235yでした(笑)」。7Iと同じ力感でテストした6Iの5球は、キャリー平均185.6y。ノーマル7Iとのキャリー差は16.0y。

「1インチ短尺の6Iは、シャフトのしなりが小さくなる印象でした。スピン量や球の高さが安定して、飛距離のバラつきはめちゃくちゃ少ないですが、7I同様、全体的にフェード傾向で右に出やすい。左のミスを消したいならお薦めですが、『スライサーの人が、短尺にして確実性アップ!』狙いは、逆効果の可能性がありそうです」

ノーマル長さの6I
(RMX/VD X/NS950 neo/S/37.5inch)
ヘッドスピード:38.5m/s
ボール初速:56.7m/s
キャリー:185.6y(トータル201.6y)
スピン量:4948rpm
弾道頂点:27.1y
ミート率:1.47

1インチ短尺の6I
(RMX/VD X Steady Version/NS950 neo/S/36.5inch)
ヘッドスピード:38.2m/s
ボール初速:55.8m/s
キャリー:183.0y(トータル199.2y)
スピン量:4830rpm
弾道頂点:26.9y
ミート率:1.46

1インチ短尺は安定感あり、飛距離の階段もOKだが全体に右傾向。これをどう考えるか?

画像: 青がノーマル長さの6I&7Iのトータル飛距離。赤が1インチ短尺の6I&7I。赤は両番手ともに右傾向

青がノーマル長さの6I&7Iのトータル飛距離。赤が1インチ短尺の6I&7I。赤は両番手ともに右傾向

6Iの結果は、(ノーマル長さと1インチ短尺の)キャリー差が2.6y。球の高さ(弾道頂点)は、ノーマルが27.1yで1インチ短尺が26.9yと大差なく、ミート率も劇的アップとの回答も得られなかった。ただし、1インチ短尺でも2.6yの差だけならば、(冒頭で松本プロが言っていた)斜面やラフでの扱いやすさを考えれば、実戦で使う効果はあるかもしれない。

とはいえ、しなりが減って「ショットは右傾向」との実験結果は気になるところ。「キャリー距離の安定感を高めつつ、左へのミスは消したい」というゴルファーに良さそうだ。

画像: 「ノーマル長さと1インチ短尺の交互試打は、アジャストするのが大変でした。クラブセッティングには混ぜないほうがよさそうです」(松本プロ)

「ノーマル長さと1インチ短尺の交互試打は、アジャストするのが大変でした。クラブセッティングには混ぜないほうがよさそうです」(松本プロ)

5W/ノーマル長さ vs 1.5インチ短尺でも実験

画像: 5Wの2本は、ノーマル長さがYAMAHA RMX DDの5W(上)、1.5インチ短尺がRMX VD Steady Version(下)

5Wの2本は、ノーマル長さがYAMAHA RMX DDの5W(上)、1.5インチ短尺がRMX VD Steady Version(下)

アイアンに続いて5Wでも実験。ノーマル長さはヤマハRMX DDの5W(ロフト18度/42.5インチ)、短尺モデルはRMX VD Steady Versionの5W(ロフト18度/41インチ)で、こちらは1.5インチの短尺。この1.5インチ短尺5Wは、残念ながらヤマハのオンライン(4月末日時点)で完売との表示に…。

「ノーマル長さのRMX DD(5W)から打ちました。スクエアフェースで構えやすく、打感もとても気持ちいいです。つかまりが良く飛距離も出てグリーンを狙えるクラブですね」

続いて短尺モデルを試打。

「1.5インチ短尺の5Wは、構えると3U、4Uぐらいの印象で安心感は抜群。スピンも高さもいい感じです。ヘッドが、ノーマル長さはRMX DD、1.5インチ短尺はRMX VDで、同シリーズでも新旧の違いがあります。(同じ長さであっても)ボール初速は新しいDDの方が高い感じで、短尺化以上の飛距離差が表れた感じです」

画像: 5Wは、フェアウェイからのショットを想定してティーアップなしで試打

5Wは、フェアウェイからのショットを想定してティーアップなしで試打

「短尺5Wは、アイアンほどではありませんが少し右に出やすい傾向。つかまりを抑えたい人、スピンを抑えたい人、左を消して叩いていきたい人、パワーヒッターにも合いそうです」

ノーマル長さ(5W)
RMX DD(TENSEI GR f50/S/42.5inch)
ヘッドスピード:47.9m/s
ボール初速:71.1m/s
キャリー:244.0y(トータル258.5y)
スピン量:4638rpm
弾道頂点:41.8y
ミート率:1.47

1.5インチ短尺(5W)
RMX VD(TENSEI TR f/S/41inch)
ヘッドスピード:44.8m/s
ボール初速:66.8m/s
キャリー:227.6y(トータル242.4y)
スピン量:4430rpm
弾道頂点:37.6y
ミート率:1.49

画像: 青丸がノーマル長さの5W。赤丸が1.5インチ短尺の5W。6Iや7Iほどではないが、やや右傾向

青丸がノーマル長さの5W。赤丸が1.5インチ短尺の5W。6Iや7Iほどではないが、やや右傾向

まとめ/短尺は、安定感が確実に上がるが右に行きやすい。ヘッドの重量調整が必要

「アマチュアの場合、短尺クラブはノーマル長さのクラブより確実にミート率は上がります。飛距離も大きくは落ちませんし、方向性、安定性を重視するなら使ってみる価値は大いにあると思います」

「ただし、短尺は重量を調整しないで使うと少し右に出やすいことが分かりました。スライサーが使う場合は、その注意と調整が必要ですね。そこを踏まえて使えば、スコアアップに貢献してくれる可能性が大きいです。興味を持った方は、ぜひお試しください!」

撮影/姉﨑正、協力/ヤマハゴルフ、ISSEI Golf Labo


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