そもそも「4スタンス理論」とは?
4スタンス理論は、一流アスリートを対象としたコンディショニング、トレーニング、食事などの総合アドバイザーとして活躍する廣戸聡一氏が創案した、身体動作体系『レッシュ理論』のなかの根幹をなす理論である。その内容を簡単に説明すると、「人はそれぞれの脳と骨格の特性によって、生まれながらに4つのタイプに分類され、そのタイプは一生変わることなく、タイプごとに得意とする動作やリズムを固有している」というものである。
たとえば、カラオケのマイクを持つとき。指先でつまむようにして持ったほうがリラックスして歌える人がいれば、手のひらでしっかりと握り込んで持ったほうが歌いやすい人もいる。また、走るときに腕をタテ(前後)に振る人がいれば、体に対して斜めに振る人もいる。この違いこそがタイプの違いによるものなのだ。

上のイラストが「手のひらでしっかり握っている」、下のイラストが「指先でつまむようにマイクを持つ」(生成AIで作成)
自分のタイプに合わない動作はパフォーマンスを低下させる
ここで知っておきたいのは、自分のタイプに合っていない動作やリズムを取り入れると、スピード、パワー、柔軟性などが失われ、パフォーマンスが低下するということである。前述の例で言えば、マイクを指先でつまんで持つ人が手のひらで持てば歌いにくいし、腕をタテに振って走る人が腕を斜めに振れば、スピードが落ちてしまう。
ゆえに、ゴルフはもちろん、どんな競技においても、最高のパフォーマンスを実現するためには、自分のタイプを知り、自分が気持ちよく動ける動作を目指すとともに、自分とは違うタイプの動きを取り入れないことが大切なのである。
AとB、1と2の違いとは? 4つのタイプの分類法
では、4つのタイプとはどのようなものなのか? 基本的に、4スタンス理論では、人をA1、A2、B1、B2の4タイプに分類している。考え方としては、人はまずAタイプとBタイプの2つに分かれ、AタイプとBタイプのなかにそれぞれ1タイプと2タイプがある。その結果、4つのタイプに分類されることになる。
それでは、AタイプとBタイプの違いから説明することにしよう。まず、Aタイプは、重心が土踏まずよりもややつま先寄りにあり、前に出した足を軸にすると機能性が高まるタイプ。Bタイプは、重心が土踏まずよりもややかかと寄りにあり、後ろに残した足を軸にすると、機能性が高まるタイプである。
詳細は今後このページで説明していくが、ゴルフスウィングで言えば、Aタイプは、左足(前足)にしっかり乗り込んでインパクトすることでスピード、パワーを引き出すことができるタイプ。Bタイプは、右足(後ろ足)に圧をかけたままインパクトすることで、スピードやパワーを引き出せるタイプと考えてもらえばよいだろう(レフティの場合は逆。Aタイプは右足が軸、Bタイプは左足が軸になる)。

タイガー・ウッズ(20年ファーマーズインシュランスオープン、撮影/姉崎正)
次に、1タイプと2タイプだが、1タイプは、上腕や太ももを内旋させて動き出すタイプ。2タイプは上腕や太ももを外旋させて動き出すタイプである。それゆえに、1タイプは手足の人差し指、2タイプは手足の薬指が軸となる。ゴルフスウィングで言えば、1タイプは人差し指に圧を感じて立つと動きやすくなり、2タイプは薬指に圧を感じて立つとスムーズに動きやすくなるという特性を持っているのである。
石川遼、タイガー、ジャンボ……各タイプの代表的なプロたち
以上の特性の違いにより、人をA1、A2、B1、B2という4つのタイプに分類することができる。ちなみに、各タイプの代表選手は以下の通りだ。
● A1タイプ:石川遼、ビジェイ・シン、フレッド・カプルス
● A2タイプ:タイガー・ウッズ、ベン・ホーガン、中嶋常幸、宮里藍
● B1タイプ:アーノルド・パーマー、リー・ウエストウッド、青木功、岡本綾子
● B2タイプ:ジャック・ニクラス、トム・ワトソン、アーニー・エルス、尾崎将司
補足として、A1とB2は、体をねじる動作を得意とする「クロスタイプ」。A2とB1は、直線的な動きや回転する動作を得意とする「パラレルタイプ」と呼ぶのだが、この違いについては、また別の機会に詳しく説明することにしよう。
