1日で「7アンダー分」を稼ぐ攻撃力
この日、久常は1つのイーグルに加えて、なんと5つものバーディを奪っている。1日で「7アンダー分」のスコアを稼ぎ出す爆発力は、エリートひしめくプレーオフのフィールドにおいても脅威である。
その攻撃力を支えていたのは、ショットの精度の高さだ。公式データ(ShotLink)を見ると、ティーショットの貢献度を示す「SG: Off The Tee」は0.604(全体18位)、そしてグリーンを狙うショットの貢献度「SG: Approach to Green」も1.078(全体20位)と、ショット面では非常に高いレベルでプレーしていたことがわかる。16番のスーパーショットに象徴されるように、ドライバーでアドバンテージを取り、アイアンでピンをデッドに攻め立てる、まさに「超攻撃的ゴルフ」が噛み合った結果の7アンダー分(1イーグル・5バーディ)だった。
【動画】久常涼、あわやアルバトロスのスーパーショット【PGAツアー公式X】
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x.comデータが語る「7ボギー」の落とし穴
しかし、これだけ派手にスコアを伸ばしながら、久常の第2ラウンドの最終スコアは「70(イーブンパー)」に留まった。その原因は、スコアカードに刻まれた「7つのボギー」にある。
この日の久常のスコアカードで最も異質なのは、パー(Par)の数がわずか「5つ」しかなかったという事実だ。18ホール中、13ホールでスコアが動くという、プロの試合では滅多に見られない大波ゴルフを展開していたのだ。
なぜ、これほどのショット精度を誇りながら、ボギーを量産してしまったのか。その答えは、グリーンを外した時のデータに隠されている。
グリーンを外した際のリカバリー率を示す「スクランブリング率」を見ると、久常はこの日、8回のうち1回しかパーセーブできず、わずか12.50%(全体67位)という極めて厳しい数字を残している。アプローチの貢献度(SG: Around The Green)も-0.731(全体57位)、パッティングの貢献度(SG: Putting)も-1.407(全体58位)と、グリーン周りで大きなビハインドを背負っていたのだ。
しかし、ここに極端な「ねじれ」が存在する。 パーオン時の平均パット数(Putts per GIR)を見ると、「1.4」で全体2位タイという最高峰の数字をマークしているのだ。
つまり、この日の久常は、
● グリーンに乗れば、イーグルやバーディをほぼ確実にする決定率「60.00%」(10ホール中6ホール)
● しかしグリーンを一度外せば、ほぼ確実にボギーを叩いてしまうリカバリー率「12.50%」(8ホール中7ボギー)
という、劇薬のような表裏一体のゴルフを展開していたのである。
週末へ向けた爆発の予感

久常涼の爆発力はツアーでも知られた存在。ムービングサタデーにその力が見せられるか、期待したい(写真は26年トゥルーイスト選手権)
通算1アンダーの34位タイで決勝ラウンドへ進む久常。現在の順位は、次戦「BMW選手権」への出場が現実的に見えてくる位置だ。
1日で7つものスコアを伸ばす底力は、すでに証明されている。この超攻撃的なプレースタイルを維持しつつ、グリーンを外した時のショートゲームのミスを減らすことができれば、週末のTPCサウスウィンドでさらなる大爆発、すなわち“大まくり”を見せてくれる可能性は十分にある。若き才能の恐れを知らぬ挑戦から目が離せない。
写真/岩本芳弘
