「プロに転向して50年。あっという間だったよ」——69歳を迎えたゴルフ界のレジェンド、メジャー通算6勝を誇るサー・ニック・ファルド(英)は、穏やかな笑顔でそう振り返る。しかし、その笑顔の裏には、命を落としかねない衝撃のドラマが隠されていた。長年テレビ解説者として親しまれてきた彼が、自らの命を救った奇跡の復活劇、混迷を極める現代ゴルフ界(LIVゴルフ)への強烈な一撃、そしてPGAツアーのカレンダーに対する鋭い提言までを余すところなく語った。

【PGAツアーの日程批判と、プロ50年目の答え】
「8月でシーズン終了なんて馬鹿げている」とDPワールドツアーの好機

現代のPGAツアーは、8月末のフェデックスカップ・プレーオフシリーズをもってシーズンの幕を閉じる。このカレンダーに対し、ファルドは強烈な違和感を表明する。

「今週、アメリカでのシーズンが終わってしまうなんて、ちょっと馬鹿げている。まだ8月じゃないか。私の現役時代は、クリスマスの2週間前までずっとシーズンが続いていたものだ」

しかし、ファルドはこの状況を欧州の「DPワールドツアー」にとって千載一遇のチャンスだと捉えている。アメリカのシーズンが早々に終了することで、世界トップクラスの選手たちが他の地域でプレーする空白期間が生まれるからだ。

「ヨーロッパ、中東、そしてアジアと、残りの1年を通じてずっとプレーを続けられる絶好の機会が、DPワールドツアーには残されているんだ」

世界を旅して強くなった「かつての古き良き時代」

ファルドがスケジュールにこだわるのは、自身が世界を駆け巡って強くなった自負があるからだ。

「昔の私たちのように、今の優れたトップ選手たちにも世界中を旅してほしいんだ」

かつてのレジェンドたちのカレンダーは、まさに世界を股に掛けた冒険だった。

「シーズン序盤はオーストラリアから始まり、アメリカやヨーロッパを行ったり来たりしながらメジャーを戦った。そして年末にはアジア、日本、南アフリカでプレーしていたんだよ」

アメリカ一極集中に留まらず、多様なコースと風土で技術を磨くことの重要性を説く。さらに、屋内のシミュレーターゴルフ(トラックマン等)の普及により、世界のゴルフ人口が6500万人から1億5000万人規模へと激増している状況に触れ、「ゴルフは今、世界中で信じられないほど人気がある。我々はきっと大丈夫だ」と目を細めた。

プロ50周年、「結局、ゴルフはゴルフだ」

1976年のプロ転向から、ファルドは今年で50年という大きな節目を迎えた。生死を分かつ心臓手術を乗り越え、新興ツアーの分断に揺れるゴルフ界を見つめ直したレジェンド。彼の根底にある美学は、どこまでもシンプルだ。

「色々あっても、結局のところ『ゴルフはゴルフ』じゃないか」

世界中を旅し、頂点を極めた男が辿り着いたこのシンプルな答えこそ、混沌とした現代のゴルフ界を照らす最大の道標なのかもしれない。


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