
田中裕介コーチ
理学療法士、鍼灸師の資格を持つパッティングコーチ。整形外科での臨床や専門学校講師の経歴を持ち、施術の経験に解剖学などの知識を取り入れてパッティング研究を行っている。SNSを中心に話題になっておりアマチュアのみならずトーナメントプロの指導も行う。YUSUKE GOLF 鍼灸院を運営
令和のグリーンはバチンと打つと入らない
GD 田中コーチは多くの人のパッティングを研究するなかで、気づいたことがあるとか。
田中 ゴルフ歴の長い人ほど自身の感覚任せに打っているなという印象があります。昔のグリーンというのは今ほど整備されておらず、芝は長くグリーン面もボコボコしていました。トーナメントコースですらそんな状態でしたから、プロでも手元の感覚を重視したストロークでクセの強い芝に対してボールが負けないように強い球を打つ必要があったんですね。
GD 例えばどんな動きになるんでしょうか。
田中 手の力をたくさん使ってパンチを入れていたり、微妙なフェースの開閉で調整をしたり。当時からプレーしている人はアイアンのようにハンドファーストにしてボールをつぶすように打つ傾向があります。
GD その打ち方だと令和の今には合っていない?
田中 現在は多くのコースでグリーン面がきれいにならされ、また芝も均一な状態になっています。だから小手先の感覚でクラブやボールを操るのではなく、狙ったラインに乗せさえすれば、高確率で読み通りの結果につながりやすい。逆に昔の打ち方だとタッチが不安定になって合わなかったり正確にラインに乗せられないという弊害が出てきてしまいます。
GD パターも昔のものと比べると大きく形を変えていますもんね。
田中 昭和の時代は細かな感覚を生かすためにL字型のような慣性モーメントが小さく操作性の高いヘッドが多かったですが、今は慣性モーメントが大きく直進性の高い大型マレットが主流です。このように環境や道具が変化しているため、プレーヤーもクラブの慣性に逆らわない振り子のようなストロークに進化する必要があるんです。

首から背中にかけて猫背を作り、お尻が後ろに出ている。両ひざが少し曲がり、つま先側に体重がかかっているのが理想
コースも道具も激変だから……
マニュアルからオートマチックへ進化が必要!
①軸が動かなければ軌道は変わらない
持ち手となる軸が不動であれば先端のボールは常に一定のゾーンを安定的に通る。軸が動くとボールの軌道が変わり再現性が低くなってしまう。
②振り子の慣性で同じ場所を通る
軸が動かず同じ振り幅であれば末端のボールは等速で動く。パターヘッドも同じようにゆるやかな角度、一定の速さで動くのが理想。

パッティングのイメージ
かつてはハンドファースト気味に強いボールを打っていた
昭和の時代は芝の刈り高が高く芝目も均一ではなかった。その強い芝目に負けないためにパンチを入れた強い球や時には横回転をかけたりするなど、手先のテクニックで粗いグリーンを攻略していた。

テクニックで荒いグリーンを攻略していた
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ここまでは理学療法士でもある田中裕介コーチから、時代とともに激変したグリーン環境とパターギアの進化について教わりました。かつてのボコボコとした重い芝に負けないよう手先でパンチを入れていた昭和の打ち方こそが、滑らかに整備された現代の令和グリーンでタッチを乱す最大の原因だったのです。
では、PGAツアーのトッププロたちのように下半身を微動だにさせず、狙ったラインへ一直線にボールを転がし乗せるための具体的なアドレスと身体操作とは一体どういうものなのか?
続く【後編】では、田中コーチが解剖学の観点から導き出した、ブレない「つま先体重」と「猫背構え」のメカニズム、そして順回転を生む練習法を大公開します!
●かかと体重は腰が回転して芯を外す!
ふくらはぎの筋肉を稼働させて下半身をカチコチに固定する「つま先体重」の理由。
●背中とお尻の軸を一直線に揃えてはいけない!
首の付け根を支点にしてフェースの無駄な開閉をシャットアウトする「猫背アドレス」。
●ボールをつぶすのではなく赤道をハーフアップで捉えよ!
リーディングエッジでトップ気味に打ってきれいな順回転を生むコツ。
小手先のテクニックを手放し、身体の構造を利用して「タッチも方向も勝手に定まる」再現性を手に入れるプロの教え。あなたのパッティングを最新型へとアップデートする知識は、後編に続きます。
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週刊ゴルフダイジェスト9月15日号より一部抜粋


