1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材し、現在は日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員として活動する吉川丈雄が、ラウンド中に話題になる「ゴルフの奥深い知識」を綴るコラム。第85回目は、沖縄本島からはるか東の太平洋上に位置する「南大東島」の歴史・文化と、島内にひっそりと存在する13ホールのゴルフ場「大東ゴルフ倶楽部」、そして特産のラム酒の魅力について。

島民も驚く“ゴルフ目的”の訪問⁉ 島唯一の「大東ゴルフ倶楽部」13ホールの謎

画像: 南大東島の風景

南大東島の風景

日本にいくつ島があるかご存じだろうか。その数実に1万4125島。この中には北海道、本州、四国と九州、そして無人島も含まれているが、想定したよりもはるかに多くて正直な話とても驚いた。

日本の国土面積は決して広いとは言えないが海に囲まれていることから排他的経済水域(EEZ)は広く、当然島も多くなる。いや領土とされる島が多いから排他的経済水域は広くなるというのが正しいかもしれない。

今回紹介する南大東島は沖縄の那覇空港から東に360キロの太平洋上に位置し、約1時間で到着できる。南大東村の2024年度の住民基本台帳によると人口は1204人、695世帯とされる。

南大東島は東西約5.8キロ、南北約6.54キロ、周囲は20.8キロという規模の島だ。主な産業はサトウキビの生産になる。沖縄本島からはるか東(うふあがり)にあるという意味でかつては「うふあがりの島」と呼ばれていた。

最初に島を発見したのはロシア海軍のポナフィディンで1820年(文政3年)のことだった。1885年になると明治政府により沖縄県下の島とされる。開発したのは八丈島の玉置半左衛門で砂糖が生産された。沖縄県下の島ながら今でも伊豆諸島の文化が色濃く残されているのは入植したのが八丈島出身たちだからだ。島の名物料理のひとつにサワラ、マグロを使った大東寿司があるが、これは八丈島の醤油ベースのタレに魚の切り身を漬けて酢飯で握る島寿司と同じだ。

画像: 大東ゴルフ倶楽部のスコアカード

大東ゴルフ倶楽部のスコアカード

この小さな島に13ホールのゴルフ場があるのをご存じだろうか。島の北部にある大東ゴルフ倶楽部で13H/1631Y/P40だが、ティーイングエリアを変えてプレーをする9ホールをインコースとして22H/2493Y/P67としている。開場してからかなりの年月が経過しているようで島内の建設会社が造ったとされる。

一番距離があるホールは12番で285ヤードのパー4だ。逆に最も短いホールは打ち下ろしの3番で51ヤード、パー3になる。

画像: 大東ゴルフ倶楽部

大東ゴルフ倶楽部

ゴルフプレーが目的で島を訪れる観光客はいないようで、私の知人で“ゴルフ旅の達人”と称して国内外900コース以上をプレーしている芝鳥のぶあまさんが訪れたとき「ゴルフだけで来たのか」と島民は驚いたそうだ。

この南大東島にはもうひとつの名物がある。

それはラム酒だ。ラム酒といえば昔の航海の必需品でラム酒=海賊というイメージがあるが、ラム酒は船員たち唯一の楽しみでもあった。本当の話は長い航海中に真水が変質してしまうのを防ぐためにラム酒を混ぜ、それを船員に支給したという。1700年代に海賊が活躍していたのは主にカリブ海で、砂糖の生産が盛んだったからだ。そう、ラム酒の原材料はサトウキビでモラセス(廃糖蜜)や搾り汁から作られる。1830年頃から小笠原諸島で生産が始まったが南大東島では沖縄電力のベンチャーとして2004年からグレイスラム社によって生産され商品名はCOR COR(コルコル)。サトウキビの汁を直接発酵させる希少なラム酒として名高い。

文・写真/吉川丈雄(特別編集委員)
1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材。チョイス誌編集長も務めたコースやゴルフの歴史のスペシャリスト。現在、日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員としても活動中。

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