ヘッドはタイガー好みの「洋なし」型
タイガー・ウッズの調子がなかなか戻らなくて、やきもきしているゴルフファンも多いだろう。そのタイガーが使用していることで話題となっているのが、今回調査するナイキ「VAPOR SPEED TW」だ。ナイキから限定で発売されているがその実力とは?
ドライバーのヘッドが大型化するにつれ、タイガーのドライバーでのプッシュアウトのミスが増えていったことはご存知だろうか? タイガーのシャープに振り切るスウィングには、ヘッドが動きづらい大型ヘッドはマッチし辛かったことが原因。そんな流れの中、メーカーは「タイガーモデル」といえる小ぶりなヘッドを作り続けてきたが、ヴェイパーシリーズでもその流れを汲んだモデルを登場させた。それがこの「VAPOR SPEED TW」。
ヘッドサイズはなんと420㏄。これまでのタイガーモデルと同じように、面長の洋なし形状。フェースターンを使って叩きたいゴルファーが好む形だ。「左が怖くない」顔つきだが、大型ヘッドが主流になる中、もはや「異質な」形状とも言えよう。
ヘッドのシェイプ自体はいかにも上級者好みだが、フェース面がそこまでディープではないので、圧迫感はあまり感じられなく、扱いやすさを残したようだ。もう一つ特徴的なのが、ネック調整機能いわゆる“カチャカチャ”がついていないこと。しかし、ネック部分が長いので、重量が軽くなっているわけではない。あくまで「タイガーの好み」にこだわった結果だろう。
“芯”を喰ったときの飛距離はやはり「タイガーモデル」だ
試打したモデルのスペックはロフト角10.5度、シャフトは「ディアマナ S73」でフレックスはS。
打球音が低く、いかにもプロモデルという打感。そしてトウ寄りに当たればフック回転、ヒール寄りならスライス回転がしっかりかかる。このあたりも上級者にはマッチする。弾道は思ったほど低くなく、高さは出てくれる。そして、つかまりを抑えた設計のためか、基本的には左に行きづらい。言い換えれば、気を抜くと右に飛びやすいともいえる。
しかし“芯”を喰った時の飛びには驚いた。強弾道で伸びのあるボールで、かなり飛んでいる。そして、感触は非常に気持ちがいい。「ディアマナ S73」もクセがなく、タイミングが取りやすいのも、その一因だろう。
ただ「これを18ホール振り続けられるか」というのは気になるところ。総重量327グラムと重く、今どきのドライバーのなかでは超ヘビー級。それだけに強制的に打ち急ぐことができずに、手打ちにもなりにくいというメリットはある。
打ちこなすには、ヘッドスピードが45m/s以上あるほうが無難。そして体力に自信がある人にオススメ。しかし、使いこなせれば、飛距離、カッコよさともにトップクラスのドライバーであることは間違いない、と断言できるクラブだ。