歴史を変えることとなったレイグランデWF432。糸巻きボールに比べたら、まだまだスピン性能に劣っていたが、その圧倒的な飛距離にプロの考え方も変わっていった。しかし、次にやってきたのがWF432の飛距離を維持しながらも、スピン性能をアップするという難題だった。

画像: 今週の月→金コラムは編集長インタビュー。ブリヂストンスポーツ・ボール企画室ボール商品企画担当課長、宮川直之氏に「ボールのあれこれ」を聞きました。

今週の月→金コラムは編集長インタビュー。ブリヂストンスポーツ・ボール企画室ボール商品企画担当課長、宮川直之氏に「ボールのあれこれ」を聞きました。

GD スピン問題といったら、ウェッジの「角溝」がありましたが、ボール開発にも影響はあったのですか?

宮川 角溝時代のボールは、「カチカチで飛ばすだけ飛ばして、グリーンまわりは溝でスピンをかけよう」。流行じゃないですけど、そういうプレースタイルもあったので、我々もわざわざやわらかいカバーをつけずに、硬めのカバーで攻めた時代も、正直ありました。

GD その発想はどちらが先だったんでしょう。角溝があるから硬いカバーなのか、硬いカバーだから角溝なのか。

宮川 常に飛んで止まるっていうのを目指しながらですから、その時々のバランスで・・・。角溝に合わせる時代もあったと思います。

GD ウェッジに合わせてまずボールの表面カバーを配合していくわけですか?

宮川 それもありますし、材料の進化もあります。ブリヂストンでいったら大きく変わったのが「ツアーステージUスピン」です。ウレタン素材を初めて使ったという意味で、ウレタン(Urethane)のUから「Uスピン」です。

画像: 左に写っているのがUスピン。

左に写っているのがUスピン。

GD ウレタンカバーといったら、タイガー・ウッズがデビュー当時使用していたタイトリスト・プロフェッショナルもそうでしたよね。

宮川 ウレタンカバーの糸巻きボールはすでに存在していたのですが、ウレタンカバーのソリッドボールは初めてでした。Uスピンは飛距離性能にはやや難があったのですが、ウレタンのスピン性能の良さがわかっていたので、使いたくて仕方なかった時代だったんです。

GD それは2000年ですか? ここにタイトリストの「プロV1」がツアーに登場してくるわけですね・・・・。タイガーがウレタンソリッドを使い始め、全米オープンを圧勝した年でもあります。

宮川 はい、各社ソリッドボールへ動かざるを得なかったというのが、全体の流れかな、と読んでいます。

画像: 2000年全米オープン。2位に15ストローク差をつけ圧勝したタイガー。

2000年全米オープン。2位に15ストローク差をつけ圧勝したタイガー。

GD 話は変わりますが、宮里藍はボールをあまり替えないとか・・・・。

宮川 そうですね。確実に進化を感じないと変えてくれません。ツアーステージ「X01ソリッド」を長い間使っていました。このボールは硬いのにスピンがかかる、賛否両論あるボールなですが、藍プロが絶賛してくれたボールです。世界ランキング1位になったときも、このボールです。

GD 表面がやわらかく、コアが硬い? これってどういうことですか?

宮川 「飛んで止まる」を追求していくと、ドライバーではある程度初速を出さなきゃいけないし、グリーンまわりではやわらかさがないといけない。だとすると表面カバーはやわらかく、コアは硬くという組み合わせにしたいんですが、ボールの構造としては全番手でスピンがかかってしまいます。もともと低スピンで打撃が出来る宮里プロには適したボールだったのですが、商品としてはなかなか実現しなかったところに一歩踏み込んだボールになります。


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飛んで止まる!究極のボールに、今再び急接近①

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