
「前半最後のホールですよ。バシッといっちゃってください!」
9番ホールのティグラウンドにて。「今日はどうも方向性が安定しないのよね。ティショットがよければ、もっとスコアにつながっていたと思うんだけどな~」

「いつもより右へ打ったほうがいいのかな……、う~ん迷うわね」
「このホールはしっかりキメて、後半につなげたいのよね。ティショットがちゃんと飛んでくれるといいんだけど……。そうだ、いいこと思いついちゃった!!」

「ティが飛んで紛失するのを防いでくれるための機能を利用して……」
「ひも付きのティを後ろに差して、飛球線の目標にして構えたら、打球の方向が安定するかも! これは我ながらナイスアイデアだわ」

「そのまま打ったらダメですよ!」「えっ!?」
「方向を確認するために、クラブとかアライメントスティックを足元に置いたまま打つのは確かにダメだけど、ひもで結んだティを飛球線方向に差しておくぐらいなら、とくに問題ないんじゃないかしら?」
「ティが飛ばないようにひもで結ばれた別のティを差しておくのは問題ありませんが、今のは明らかにターゲット方向を意識してティを差しましたよね。そのまま打ったら『プレー線の指示』で2打罰ですよ」
さてこの場合、2人のうち正しいジャッジはどっち?
ひも付きティで方向をチェックしながらティショットを打つ行為はペナルティになる?
グリーン上を除き、プレーヤーはだれからでもプレーの線の指示を受けることができるが、ストロークが行われている間は、プレーの線上に誰も位置させてはならない。プレーヤーがプレーの線を示す目的で置いたり、プレーヤーも承知の上で置かれたマークは、ストロークする前に取り除かなければならない(規則8-2a)
週刊ゴルフダイジェスト6/12号「ゴルルとルール。」より(監修・小山混、撮影・増田保雄)