左右への重心移動は少なく地面反力を使う
優勝が期待される石川遼選手。2018年のスタッツを見て気になったところは、プロデビューした2008年以来290ヤードを下回ることがなかった飛距離が、2018年は289.35Y(22位)とわずかですが飛距離を落としているところです。
クラブやボールの進化の恩恵で他の選手は飛距離を伸ばしている中、ドライバーの不調から2018年は意図的にドライバーのスピン量を増やし、飛距離を犠牲にしてでもコントロールしようとしていたようですが、それでもフェアウェイキープ率は96位。
「5年くらいドライバーで悩んでいる」と本人が話すようにドライバーが不安なく気持ちよく振れてくれば、アイアンとパットの技術は非常に高いものがあるので復活できることは間違いないでしょう。
それでは、2018年末、契約先のキャロウェイのメディア向けイベントに登場した際の最新のスウィング(画像1)を見てみましょう。初めに気がつくのはトップの位置(写真左)で右への移動が少なくなり、ほぼセンターで回転を重視したスウィングに落ち着いている点です。
デビュー当時はスタンスが広く大きく重心移動をして飛ばしていましたが、現在は少ない重心移動であってもトップからの切り返しでしっかりと左を踏み込み左足を伸ばすことで地面反力を使って効率よく飛ばすスウィングに進化しています(画像2)。
実際にスウィングを見た印象はインパクト付近の振り抜きの良さは格別でテンポは2拍子。イ~チで上げたらニで振り抜く、インパクトで減速しない鋭い振りで、決して目一杯でなく余裕を持って300ヤード前後を飛ばせるスウィングを見せてくれました。ヘッドを加速させることに非常に長けていて体力的なハンデを感じさせません。
後方からの画像(画像3)を見ると、スッと構えたアドレス(写真左)に対し、フォロー(写真右)では右の肩が下がり右わきの体側部分が縮んでいるのがわかります。地面付近にあるボールを打つゴルフにおいてこの動きは不可欠です。こうすることで前傾角がキープされインサイドからボールにアタックすることができるからです。
デビュー当時に小ぶりなヘッドを好んで使っていたせいかフルサイズの大型ヘッドへの対応に遅れをとっている感がありました。新ドライバーでは好感触を得ているようなので、今季は大いに期待したいと思います。
選手会長としてプレー以外でも多忙な日々を過ごしながらも選手としても結果を求められるのが石川遼選手の宿命。東京オリンピックに向けて大切な2019シーズンは、どんなゴルフを見せてくれるでしょうか。