長いオフを経てようやく男子ツアーの国内開幕戦・東建ホームメイトカップが来週18日にスタートする。それに先立ち好調なのが石川遼と池田勇太だ。ゴルフファンが「活躍して欲しい」と切望する2人がツアー外競技でそれぞれ優勝を飾った。
石川は日神カップ 千葉オープン(10日-11日)で連覇を達成、池田はフューチャーGOLFツアー2019 in 千葉(5日-6日)で圧勝した。どちらも2日間競技でフィールドは薄いがどんな試合でも勝つこと
に意義がある。
そのタイミングでマスターズが開幕したことを受け石川は「日本一になってマスターズに行きたい」と本音を口にした。
彼がマスターズに初出場したのはいまから10年前。当時プロとして最年少となる17歳での出場は国内外で大きな話題になった。周囲は感嘆の声をあげたが本人にとってそれは既定路線だった。
「20歳でマスターズ優勝」の夢を掲げる少年にはいくら早くても早すぎることはなかった。初挑戦は予選落ちに終わったが夢への第一歩を着実に踏み出した実感があった。
その年彼が国内ツアーの賞金王を最後まで争ったのが池田だ。栄冠に輝いたのは石川だが池田も翌10年にマスターズ行きの切符を掴み29位と健闘した。
あれから石川は5年連続5回、池田は昨年までに4度オーガスタの舞台を経験してきたが、今年2人の姿はそこにない。
かつてローリー・マキロイ、リッキー・ファウラーと“3R(ローリー、リッキー、遼の頭文字)”のひとりとして将来のツアーを背負って立つと期待された石川。
マキロイ、ファウラーは世界ランクトップ10に名を連ねているが石川は2009年の29位(最高位)からじりじりと順位を落とし現在243位。手を伸ばせば届きそうだったグリーンジャケットは年々遠のいていく。
だが決して悲観はするまい。ゴルフはときに人知を遥かに超えるドラマを演出する。不調が続き「
ゴルフを辞めて用品メーカーに就職しようと思っていた」マイケル・キャンベルが全米オープンでタイガー・ウッズを破り優勝(05年)したり、引退を考えていたダレン・クラークが43歳にして全英オープン(11年)に勝利した例もある。
池田にしてもここ数年の海外武者修行でスケールの大きなゴルフを手に入れてきた。米ツアーの硬く締まったグリーンに止める球を打つため高い弾道を追求、ただ飛ばすだけでなくランディングアングル(地面に落ちる角度)を計算したゴルフをするようになった。
マスターズにいない2人は国内開幕戦に向け着々と準備を進めている。石川のいうようにまずは日本で一番になって再びメジャーの舞台に羽ばたいてもらいたい。グリーンジャケットはいつまでも2人を待っている。