他の選手が気の毒なくらいの“タイガーびいき”
タイガーの14年振りの優勝で幕を閉じたマスターズ。誰もがタイガーの勝利を信じた一日。正直“タイガーびいき”がすごく他の選手が若干かわいそうな……でも、それに見事応えてみせたタイガーはさすがです。
最終日はタイガーがバーディを決めたときはもちろん、たとえボギーでスコアを落としても「レッツゴー!タイガー!」の大合唱。マスターズ初体験の私はゴルフ場というよりも、三振に沸き、ホームランに沸く、野球場に近い感覚になりました。今まで、ゴルフでこれだけの声援を聞いたことはありません。3日目の声援にも驚きましたが、比べものにならなかったです。オーガスタ全体がタイガーの勝利を待ち望んでいたのです。
そんな環境にいると、私まで自然と「タイガーに勝ってほしい……」と思ってきてしまうわけで。それくらい、会場の空気は「タイガー優勝」になっていて、むしろ見ているこっちサイドがタイガー優勝を「作り上げている」ような感じになっていました。
15番、バーディを決めると初めて単独トップに立ったタイガー。その瞬間、真上に飛行機が飛んでいるような「ゴォー!!!!!」という歓声、歓声、大歓声がタイガーを包み込みました。
一方で、ケプカやダスティン・ジョンソンが追い上げていましたが、現場でははっきり言って彼らのことはアウトオブ眼中(死語)でした。タイガー以外の優勝者は想像できなくなっていたからです。
そして18番グリーンに上がってくると、大きな、本当に大きな拍手と鳴り止まないタイガーコールで迎え入れていました。
タイガーは「まだだ、まだ早い」と言わんばかりに、帽子のつばをそっと触り、控えめに応えました。そして優勝の瞬間、今までの冷静さが嘘のように一気に喜びを爆発させたのです。その姿にわれわれも喜び爆発。嬉しいという感情に国境はありません。みんなが同じ気持ちでタイガーを祝福していました。
帰り道、街ではタイガーを祝福するかのように賑わっていました。それぞれが思い思いに“タイガー愛”を語っているのでしょう。
タイガーで始まりタイガーで終わった今年のマスターズ。期待を裏切らない、いや、その期待を超えてくるタイガーは、やっぱりスーパースターです。
取材・文/五十嵐誠 写真/姉崎正
※週刊ゴルフダイジェスト4/30号には「平成最後のマスターズレポート」が掲載されています。ぜひ、ご覧ください!