2019年のレッスン・オブ・ザ・イヤーを受賞したヤン・フー・クォン教授と吉田洋一郎プロの共著「驚異の反力打法~飛ばしたいならバイオメカ」。地面からの反力を使った最新スウィングを紹介する書籍の中から、「軸」についての考え方を紹介。

スウィング理論を三次元で見直そう

「地面反力」を使ったスウィングについて少し掘り下げて説明していこうと思います。その前に再確認しておいてほしいのが、スウィングを三次元で考えるクセをつけてほしいという点です。

従来のスウィングイメージで語られる「軸」や体重移動などはどうしても二次元的になりがちですが、それではスウィングの本質的な動きをとらえることはできません。

スウィングには「垂直軸」「前後軸」「飛球線方向軸」の3つの「軸」があり、そのすべてに対して回転動作が生じているわけですから、正面や後方などどこか1方向から撮ったスウィングの連続写真や動画などに単純に線を引いて説明してもすべての動きを正しく説明することはできないのです。

画像: スウィング写真に「軸」をイメージする線を1本引いた解説をよく目にする。しかし、三次元の動きであるスウィング1本の線だけで解説することは不可能だ

スウィング写真に「軸」をイメージする線を1本引いた解説をよく目にする。しかし、三次元の動きであるスウィング1本の線だけで解説することは不可能だ

上記の3つの「軸」のなかでは「垂直軸」の回転量がいちばん多くなるため、プロゴルファーや上級者が自分の感覚に基づいてスウィングを語る際には、「軸」というとこの「垂直軸」について強くイメージし、その動きを強調しているケースが目立ちます。

しかしどのように表現されていようとも、その背景には必ず「前後軸」や「飛球線方向軸」の動きが隠されており、必ず3つの軸回転を伴う動きが含まれているのだということを忘れてはいけません。

その意味では、クォン教授の考え方は、従来のスウィング理論すべてを否定するものではありません。もちろん、「左ひざは伸ばすな」とか「土台を固めて腕を振れ」というような古いレッスンとは相容れない部分もありますが、基本的には従来説明されてこなかった部分を科学的に解明し、より細分化して具体的に説明しているものなのだと考えてください。

みなさんがすでに持っている感覚やこれまで耳にしてきたレッスンなども、クォン教授の理論を元に、三次元的に見直してみてください。すると、いままで見えてこなかったスウィングの本質が見えてきたり、過去に受けてイマイチしっくりこなかったアドバイスが急に合点のいくものになったりすることもあるでしょう。それができれば、スウィング理論をゼロから再構築するよりも、ずいぶんと近道になるはずです。

「驚異の反力打法~飛ばしたいならバイオメカ」(ゴルフダイジェスト社)より 

撮影/姉崎正

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