昨シーズンはステップアップツアーを主戦場に賞金ランク3位と結果を残し、QTを7位でクリアして開幕戦からレギュラーツアーにフル参戦している丹萌乃選手。
開幕戦で見かけたときはまだショットが定まっていないように見えましたが、フジサンケイレディスの週から精度が上がり、成績にも結び付いてるようです。なにか要因はあったのか? パナソニックレディースの会場で話を聞いてみました。
「開幕の頃はドライバーが曲がってどこ行っちゃうのだろう? と思いながらやっていました。でもフジサンケイレディースの週からドライバーのシャフトを60グラム台のSフレックスから50g台のSに変えたらコントロールできるようになってきました。やっと開幕したという感じです」(丹)
と、クラブのスペックをダウンさせたことが功を奏したと教えてくれました。実際、直近のサロンパスカップのデータを見ると、平均で249.750ヤードと飛ばしていますから、スペックがかみ合っているようです。
それでは、160センチの身長で平均250ヤード近くを飛ばすそのスウィングを見てみましょう。
まずは画像Aをご覧ください。特徴的なのはオーソドックスなアドレスから極端にフェースを地面に向けながらクラブを立てるように上げるアップライトなバックスウィングです。トップではシャフトは飛球線とクロスしています。体を横に回すと言うよりも縦にねじるように使うことでエネルギーを蓄えています。
シャフトクロスは良くない動きと思う方も多いかもしれませんが、次の写真(画像B)を見てみると、切り返しでは下半身の主導で見事にクラブをスウィングプレーンに乗せていることがわかります。
上体から切り返してしまうとクラブが高い位置から下りてくるカット軌道が強くなりますが、下半身主導の切り返しにより右の肩より下にシャフトが下りてきており、インパクトのシャフトのラインと平行になっています。
トップが高くクロスしていても、切り返しの間を作りダウンスウィングではプレーンに乗ってくる動きは、QTを7位でクリアしたこともうなずけます。
さて、このシャットかつ高い位置でトップを作るスウィングは、男子ツアーではチャン・キムや額賀辰徳も取り入れる米コーチのジョージ・ガンカスの推奨する“GGスウィング”にちょっと似ています。そこで、ズバリ聞いてみるとお茶目なコメントが返ってきました。
「昔からこのスウィングです。トップを直そうと思ったこともあるのですが飛ばなくなったので今はこのままで行こうと思っています。GGスウィングやってるの? と聞かれることあるんですけど、私は前からこうなので。流行ってるみたいですけど時代が私に追いついてきたのかな、なんて(笑)」(丹)
後半戦の出場順位を決める暫定リランキングでは現在18位につける丹選手。彼女自身、後半戦まで生き残り、賞金シードを獲得することを目標にしていると話してくれました。
ステップアップツアーとは選手のレベルもセッティングも変わりますし、初めてプレーするコースが多いことで対応力が求められるルーキーイヤー。様々なコンディションを経験し現在進行形で成長している丹萌乃に今後も注目です。
写真/姉崎正