「絶対に3パットしたくない! そのためには最適でも1メートル、いや50センチ以内に寄せないと……」と考えているうちにグリーン上でガチガチになり、結果パンチが入って大オーバーして上がってみれば3パットでダボ、そんなトホホな経験はゴルファーならば誰しもが経験しているはず。どうすればガチガチになるのを避けられるのか? プロも教えるメンタルコーチ・池努に教えてもらおう。

スムーズに体が動かなくなるのはなんで?

先日、あるビジネスマンの方と食事をしていてゴルフでのメンタルに関する相談をされました。

「パッティングになるとスムーズに体が動かなくなりガチガチになります。そして、たまに打てなくて固まってしまうこともあります……。それで周りからもそのことをいじられるというか少し笑い者にされる感じがあって、その時は自分も馬鹿になって笑っているんですけど、内心は結構引きずっているというか……」

というものです。

画像: 苦手意識を克服するためのポイントとは?(撮影/増田保雄)

苦手意識を克服するためのポイントとは?(撮影/増田保雄)

そのような状態になり、周りからの目線も感じるようになり、パッティングに対する苦手意識がさらに強くなっているとおっしゃっていました。

このようにプロゴルファーだけでなく、アマチュアゴルファーの方にもある特定のプレーに対して体と頭がいうことをきかなくなるという悩みを持っている方は多くいるようです。

そこで今回はそのビジネスマンの方にご紹介した解決策をシェアしたいと思います。

苦手意識を持つゴルファーの共通点

実際に私もプロゴルファーや学生ゴルファーが抱える、ティショット、アプローチ、バンカー、パッティング等への苦手意識の克服をサポートしてきました。

実は、苦手意識から体がスムーズに動かせなない方に共通する原因があります。

それが、「スコア(結果)を過度に意識している」という共通点です。「前回より良いスコアでまわりたい」、「周りと同じくらい、もしくは少しでも良いスコアを出したい」、「自己ベストを出したい」というような結果目標を“意識しすぎている”傾向があるのです。

そのように結果に過度に意識が向くと、次に起こるのが「ミスはしたくない、ミスはできない」というセルフトークです。(※セルフトークとは自己対話のことで頭の中で考える自分との会話のこと)

「結果を出したい、結果を出さないと」という過度な意識があると反面、「ミスしたら嫌だ、ミスはしたくない、ミスはできない」と自分を追い込むことにもつながる場合が多いです。

たとえば、あるプレーで「ミスしたくない、絶対にミスはダメ」と考えるとどうなるでしょうか? 次の1打に過度の緊張感が出てきます。そして、その緊張感から筋肉が硬直し、肩に力が入る。その状態でパッティングするとどうなるでしょうか? 当然、普段練習しているようなストロークは難しくなりますよね。そして、ぎこちないストロークでパッティングすると理想のタッチができずに描いていた結果につながらない。

もう一度、一連の流れを整理するとこうです。

【結果を強く意識する→ミスはできないとセルフトーク→緊張する→筋肉が硬直する→ぎこちないストロークになる→結果が出ない】

この一連の流れを見ると不思議だと思いませんか、結果を強く意識することが最終的に結果につながっていないのです。結果がほしくて結果を意識しているのにそれが緊張やぎこちないストロークにつながっているのです。

苦手を克服するポイント

もし、あなたが特定のプレーに対する苦手意識を改善したい場合にはまず結果に対する意識から一度離れる必要があります。「一度、結果は脇に置いておこう」と。そして、次にもっとも重要なこと、それが「ミスしてもOK」「ミスするのがゴルフ」と自分への求める基準を下げることです。

この「ミスしてもOK」「ミスがあるのがゴルフ」というセルフトークはあなたに重くのしかかっていた肩の荷をスッと降ろしてくれます。「ミスしてもいいんだ」そう体が感じてくれれば緊張感は下がります。緊張が下がれば筋肉は硬直しません。その状態であれば練習に近いストロークにつながります。そうすると結果につながりやすくなります。

そして、苦手意識が強かったプレーに対しての小さな成功体験が重なってくると、自然とかつてのような苦手意識から解放されていくことになります。

実際にこの流れを使い、「自分はイップスではないか?」と思っていた学生ゴルファーやプロゴルファーの悩みを改善してきた例が沢山あります。

この記事を見て、「自分も苦手意識を克服したい!」と思われる方はぜひ、ご自身にあてはめてセルフトークを「ミスしてもOK」と変えてみることで、プレーの変化を実感してもらえればと思います。

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