Xは見た目がシャープ。しっかり重い。それでいて打つとしっかり「ゼクシオ」
国民的クラブとも言われるゼクシオですが、11代目にして「11」と「X」の2ラインに分かれてきました。従来のゼクシオファンには正統進化の「11」を。おそらく平均年齢が還暦を過ぎているであろうゼクシオのメインユーザーよりも若い層には「X」を、という狙いです。
その両方を、基本的にはいつも通りの自分のスウィングで打ち比べてきました。まず、ゼクシオ11のドライバーを打ってみると、やはりゼクシオらしく球が上がりやすく、つかまりもいいことがわかります。
ピンのG410プラスなど、最近では投影面積が大きくて慣性モーメントの大きい外国ブランドのドライバーが流行りですが、ゼクシオ11はそこを意識せず、あくまでもゼクシオらしさを追求したクラブのようです。
普段はストレートからフェードボールが持ち球の私が打って、出るボールはストレートからややドロー。試打したのは9.5度ロフト(シャフトは純正Sシャフト)ですが、ボールは非常に上がりやすいです。
一方のゼクシオXは、Sで299グラム。ゼクシオ11のRシャフト装着モデルは280グラムなので、それより約20グラムも重い設定です。アイアンにスチールシャフトを装着する、“振れる”ゴルファーが対象であることがわかります。実際、持ってみても「11」のような軽さは感じられません。
打ってみて驚きました。非常につかまりがよく、非常に上がりやすく、私が打つとストレートから軽いドローが出る。すなわち、ゼクシオ11と極めて良く似た弾道が出るのです。写真をご覧いただければわかりますが、両者の顔はかなり違います。普通に考えれば、出る弾道も違うはず。しかし、おそらくはヘッド内部の重心設計などの工夫により、両者は非常によくにた性能を持っているのです。
テーラーメイドのM3とM4、キャロウェイのエピックフラッシュとエピックフラッシュ サブゼロのように、2モデルあれば性能をガラッと変えてくるのが普通。しかし、11とXはまるで二卵性の双子のように似ています。一卵性でないのがポイントで、見た目はかなり違う。重さも違う。Xはカーボン複合ヘッドのため、残響音が抑えられて打感もマイルド。そういった「ガワ」の部分は異なれど、性能面は本当によく似ているんです。
「ゼクシオのゼクシオらしさをキープしたまま若い世代にも受け入れられるようにデザインされたゼクシオ」。ゼクシオXはそんなモデルと言えそうです。
アイアンも基本的には11、Xともにゼクシオらしいモデルとなっています。上がりやすく、つかまりやすく、曲がりも少ない。ただ、ドライバーと異なるのはXのほうがやや弾道が低めになること。Xは鍛造製法であることもあり、より打感もマイルドに感じます。
ゼクシオ11で7番のロフトが28度。Xの7番は29度。プロギアの新しいエッグアイアンの7番が25度なのと比較すると“寝ている”ロフト設定で、現在の基準では“ぶっ飛び系”というよりも、“飛び系”くらいの印象ですが、ゼクシオらしく低スピンになりすぎない弾道の安定感はさすがというものがあります。
さて、私がもしゼクシオでセットを組むならですが、まずドライバーは顔の好みからXを選びます。ロフトは9.5度。そこにしっかりとしたシャフトを組み合わせると、ちょうどよくつかまるドライバーになると思います。
アイアンですが、Xではなく、あえてゼクシオ11と組み合わせるのも面白いと思います。というのも、今回の試打で打ったゼクシオ11のサンドウェッジがいたく気に入ってしまったのです。サンドウェッジがいいということは、ソールの幅や形状が優れているということ。その流れで作られたアイアンですから、ソールの幅はあれど抜けは決して悪くない。
もちろん、ドライバーは「11」、アイアンは「X」という選択肢もありえます。そこにFW、UTをどう組み合わせていくか……悩ましいところです。
ゼクシオ11とゼクシオX。あえて極端な性能差をつけず、「上がる、つかまる、飛ぶ」といったゼクシオらしさを両者に残す。そのことにより、2セットを組み合わせたセッティングも十分可能になっています。
ゼクシオは王道であると同時に、類似モデルのない独自モデルでもある。その事実は、11代目になっても変わっていないようです。