練習でも1球1球が意味を持っていることが重要
10月20日、タイガー・ウッズの契約先であるナイキ主催で開催されたタイガー・ウッズ来日記念スペシャルイベント。その中で、タイガーが明治大学女子ゴルフ部部員11名のレッスンを行うという、まさにスペシャルな催しが開かれた。
さっそく会場内の6つの打席に入る部員たち。イベントに参加した大勢のギャラリー、そしてレジェンドに見守られる中、緊張しながらも部員たちはボールを打ち始める。ドライバー、アイアンとそれぞれ異なるクラブで打つ部員たちを、まずは少し引いた位置で観察。6人同時にスウィングや弾道をチェックしていくタイガー。
「みんな本当にスウィングが上手ですね」
そのまま打ち続ける部員たちの様子をしばらく見ていたタイガーだが、なにかに気づいたのか、話し始める。
「みなさんは練習するときにターゲットを決めて打っていますか? 私がウォームアップするときは、まず最初の3、4球は30ヤードくらいしか打ちません。そして、そのあとのショットはすべてターゲットを決めて、すべてに意味を持たせて1球ずつ打っていくんです。左を狙ったり、右を狙ったり、弾道の高さを変えてみたり。いろんな練習をしながらショットの研究をしています」
ただ漫然とボールを打つのではなく、「ショットに目的を持たせる」ことが大切だと語るタイガー。ウォームアップで打つ球でさえ「フックを2球、スライスを2球。それも弾道の高さを必ず変えるようにしている」とのこと。
ここで、タイガーから部員たちに「課題」が与えられる。
「ここ(イベント会場の打席)は練習環境としては最高です。目の前(のネット)に白い線がありますよね? まず最初の2球は白線の右から左へ行くドローボール、そのあとの2球は左から右へ行くフェードボールを打ってみましょう。曲がり幅が弱くてもいいので、若干でもコントロールしてみましょう」
タイガーの言葉を受け、打席に向き直る部員たち。スウィングをする彼女たちの表情が変わったことに、タイガーが気づく。
「とても面白いね(笑)。みなさん一斉に真剣な表情に変わったよ。次は1球目をフェードで、2球目はドローで打ってみましょう。(弾道が)目に見えるくらい、頭の中でイメージを作って打ってください」
たしかに部員たちの動きには、セットアップの段階から良い緊張感が生じていた。
「ね? 見たでしょ、みなさん集中するの(笑)」
ここで、後ろで見ていた残る5人の部員と選手交代。先ほどと同様に5人同時でスウィングと弾道を真剣な表情で観察するタイガー。先の6人が受けたアドバイスが共通認識となっている、と判断したのか、さらにレベルアップしたミッションが5人に与えられる。
「今度は高い弾道でのドローを1球、そして低い弾道でのフェードを1球打ってみましょう。ショット練習では、反対のことをしてバランス良く練習を行うことが大事です。高いドロー、低いフェード。高いフェード、低いドローという風に練習していくのが一番いいですね」
難易度の高い練習ではあるが、さすがは競技ゴルフレベルで戦っている部員たち。しっかりと打ち分けていく。
「ナイスです。これでやっと練習の意義が生まれてきましたね。バランス良く練習する、とはこういうことです。(1球ごとに)すべて意味があって、何かしらコントロールしようという意識がありますよね。私は練習するとき、このようにバランスを取りながらすべてのショットに意味を持たせて練習しています。すると、体のバランスもそれほど崩れることはありません」
最後は、1打目は軽く、2打目はマン振りショット、という打ち分け練習をしてレッスン終了。部員たちの全力ショットに「いいトライだったよ。皆さん最高でした」とタイガー。
「単調に打つだけではコースに出たときに使えない。コースに出たときのようにスライスやフック、高い弾道、低い弾道とコントロールして練習する必要がありますよね」
今回タイガーが示してくれたメニューは難しすぎる! という方も、1球ごとにシチュエーションを設定して打つだけでも、今までとは質の違う練習を行うことができるのではないだろうか。