昨日から開幕したPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」。初日3連続ボギーとなるも9つバーディを奪い、6アンダーの首位タイと好スタートを切ったタイガー・ウッズ。プロゴルファー・中井学がタイガーの最新スウィングを分析した!

「変化球」を打つタイプのタイガーとコースが好相性

タイガー・ウッズの最新スウィングをチェックしましたが、ひざの手術明けというだけあって、必ずしも100%の状態ではないと思います。

それでもZOZOチェンピオンシップの初日に6アンダー、首位タイで回ってくるのだからさすがですが、私はこれをある種の「怪我の功名」と見ています。

まず、会場のアコーディア・ゴルフ習志野CCが、ロングドライブが求められないコースであること。フェアウェイが広くて距離の長いコースだったなら、さすがに首位タイは難しかったかもしれませんが、距離的にはリハビリ状態でも問題がありません。

そして、コースレイアウトが球を曲げることを要求してくるのも、“変化球”を打つタイプであるタイガーに非常に向いています。フェード、ドローをホールごとに明確に要求してくることが、球を曲げてコースを攻めるタイプ向き。このことから、日本人プレーヤーにもチャンスがあります。

それでもさすがにタイガーが初日からあれほどのスタートダッシュをかますとは、さすがに想定外でした。しかし、プレーを見ているとそれも納得。体の状態は万全ではないものの、コースとの相性がいいことで、結果的には典型的な「強いタイガー」のプレーができています。

画像: ZOZOチャンピオンシップの会場、アコーディア・ゴルフ習志野CCは“変化球”を打つタイプのタイガーに向いている

ZOZOチャンピオンシップの会場、アコーディア・ゴルフ習志野CCは“変化球”を打つタイプのタイガーに向いている

強いタイガーのプレーとはなにか。それは、ティショットでフェアウェイをとらえ、セカンドをとりあえず乗せ、入れごろ、外しごろのパットを沈める、セーフティでありながらスコアは出るという横綱相撲。タイガーチャージとは、セーフティにプレーしながら、いくつかいいパットが入った場合に起こる現象なのです。

無理に攻めてスコアを出すのではなく、安全にスコアを出せるから、タイガーはメジャーの最終日をトップで迎えた際に負けがないのです。多くの場合、“逆転負け”は後続が伸ばすのではなく、首位を走る選手が落とすことで生じますからね。とにかく、タイガーはまるでメジャーの最終日のようなプレーを、ZOZOの初日に見せてくれました。

初日のプレーを終えて、タイガーは今日はスライスラインばかりを打ったとコメントしていましたが、これはタイガーがグリーンを狙うショットでカットショットを多用したことを伺わせます。フェアウェイからはともかく、習志野CCのフライヤーしやすい野芝のラフからは、カット目に打っていったほうがセーフティ。

やや余談ですが、以前のようにアームローテーションでボールをつかまえるのではなく、体に負担の少ないボディローテーション重視の今のタイガーのスウィングにも、カットショットは相性がいいんです。

カット目に打つということは、ピンの左を狙うのが基本。そのことにより、ピンの左にオンさせることが増えた結果、スライスばかりを打つことになったのではないでしょうか。一概にはいえませんが、グリーンが単純な受けグリーンだとすれば、ピン左につけたボールは基本的にはスライスラインになりますから。

画像: ダウンスウィングでの肩の開きが遅めであることから「おそらく、ドローを打っていくスウィングだと思います」(中井)。タイガーのショットマネジメントに注目だ

ダウンスウィングでの肩の開きが遅めであることから「おそらく、ドローを打っていくスウィングだと思います」(中井)。タイガーのショットマネジメントに注目だ

これが第二の怪我の功名。同じようなラインを残せていたからこそ、同じように沈めることができたのでしょう。

このように、リハビリ状態で無理をしないことが逆に結果につながっているため、基本的にはこのまま有利にゲームを進められそうな気配があります。

そして、現地やテレビでタイガーのプレーを見る際は、どんなボールを打とうとしているかを考えながら見ると、より楽しめると思います。タイガーは、カットボールを打つときはフォローで左ひじを思い切り引きますし、ドローを打つときは同じくフォローで右肩がせりあがってきます。

それは一目瞭然ですが、よく見ると、切り返しのタイミング、アドレスなどもドローを打つとき、フェードを打つときで違うことがわかると思います。タイガーがどうコースを攻めようとしているのか。その“意図”を想像しながら見ることで、タイガーウォッチはより一層楽しめます。

勝てばサム・スニードと並んでツアー史上最多勝利の82勝目となるタイガー。ここ日本で歴史が生まれるのか、私も楽しみにしたいと思います。

This article is a sponsored article by
''.