一時は2打差まで迫り、1打差に迫るチャンスもあったが……
決して絶好調ではなかった。それでも我慢して戦い抜き、終わってみれば単独2位で、松山英樹選手の日本での1週間が終わりました。
今日月曜日は、松山選手はタイガーとの3打差を追いかけ、13番ホールのティショットから、ファイナルラウンドの残りを再開していきました。
勝負の分かれ目が訪れたのは14番ホール。608ヤードと距離のあるパー5。松山選手は3打目をピン奥にピタリとつけます。タイガーは再開直後の12番ホールでボギーを打っており、松山選手がバーディパットを沈めれば、その差はわずか1打差になる大事なパットです。
1メートルちょっとくらいと、距離はないように見えましたが、下りのいやらしいライン。松山選手はそれを決めきることができませんでした。
ひとつ後ろの最終組でプレーしたタイガーは、松山選手がパットを外した姿を確認していたと会見で語っています。「ヒデキがパットを外したのも見た。それにより、レイアップショットが簡単になった」と語ったように、タイガーは14番でバーディ。再び3打差に戻ります。
その後、松山選手は16番パー3で長いパットを沈めて2打差に迫りますが、17番では4メートルほどの軽いフックラインにつけるも入らず、追撃もそこまでとなりました。
敗れはしましたが、随所に見せ場は作りました。18番パー5ではティショットを右バンカーへ。前上がりで、ほんのわずかに沈んでいるように見える難しいライ。しかも目の前には木があり、カットに打つ必要があるという難しい状況でしたが、「イーグルをとればワンチャンスある」とフェアウェイウッドで、グリーン左サイドのバンカーまで運ぶスーパーショットを見せてくれました。
そのあとのバンカーショットはホームランのようなミスになりましたが、あれは紙一重。タイガーとは2打差で、パー5の3打差のバンカーショットはもはや入れるしか勝利への道筋はありません。距離と方向性を出すために、極限まで薄く砂をとろうとした結果のミスだと思います。
その後タイガーが18番でバーディを奪取したので、結局スタート時と同じ3打差での単独2位フィニッシュとなりました。
結果だけを見れば優勝こそ逃したものの上位フィニッシュですが、決して絶好調! というプレーではありませんでした。絶好調時の松山選手はティショットが曲がらず、キレにキレるアイアンでベタピンに付け、楽々バーディを奪っていくというゴルフを見せてくれます。
それに対し、今週はショットがブレるなかなんとかしのぎ、ベストな状態ではおそらくないなか、要所を決めてスコアを作るゴルフを見せてくれました。リズム的にも日によって微妙な違いが見られ、良かったり・悪かったりを繰り返していました。
切り返しでの間が以前より短くなったり、ウッド系で左につかまる球が増えたりと、変化した姿も見せてくれました。今後その精度をさらに高めていくことで、さらにスケールアップした松山選手を見せてくれるに違いありません。
「自分の状態はそんなよくなかったですけど、たくさんのギャラリーの方の応援のおかげで、ショットもブレずに済みましたし、パットも入ってくれたと思うんで、そういう応援を普段からされてると思って、がんばりたいと思います」
そう、この一週間を振り返った松山選手。日本初開催のPGAツアー。悪天候による順延、無観客試合、月曜日決着と異例づくめのこの試合を盛り上げたのは、タイガー・ウッズと松山英樹、ふたりの主役でした。
1年後、またこの舞台での再戦を、楽しみにしたいと思います。