パッティングのラインとスピードを可視化。それにどんなメリットが!?
パットビューとは、パッティング練習のための機械。コンピュータとプロジェクターを使って、天井からパットのラインやボールの軌道、スピードなどを投影できるというシステムだ。
室内型の練習システムのため、ツアー会場などに持ち込むことはできないが、オフを利用して多くのツアープロも体験しているという、ツアーで話題の機器。とくに女子ツアーの選手たちが“おしのび”で使っていることが知られている。
大西ももちろんパットビューの存在は知っていたが、試すのはこの日が初めて。「前から気になっていたんです」と興味津々だ。まずは、パットビューの導入元である「エンジョイゴルフ&スポーツ」社の橋本真和さんに、これを使うことのメリットを聞かせてもらう。
「打ち出す方向やタッチの狙い方がより鮮明になります。たとえば、カップを狙う際、ただ漠然とストロークするのではなく、打ち出しの強さや方向、スピード感、カップの先のどのあたりを狙って打つべきか、などが明確になるんです」(橋本)
パットビューは要するに「このラインなら、この方向に、このスピードで打ち出せば入る」ということをプロジェクターを用いてシミュレーションしてくれるシステム。それによってラインやタッチを鮮明にイメージできるというわけだが、大西は「あらかじめラインが出ているのを分かったうえで打つことにどんな意味があるんですか?」と“ど直球”な質問をぶつける。
「自分のパッティングの基本的な傾向を知ることができます。あとはフェ―スがターゲットに対して真っすぐ向いているのか、とか基本的なことですね」と橋本さん。論より証拠、実際に大西自身が試してみることに。
距離は2メートル。グリーンの速さは10フィートの設定で、スライスラインを狙う。グリーン上には、カップの30センチオーバーのところまでのラインが投影されている。つまり、「ここまで打つタッチで狙いましょう」ということ。
よく「30センチオーバーするタッチで狙え」ということを言われるが、パットビューを用いることで、なぜ30センチオーバーさせなければいけないかが可視化されるというわけだ。大西がその“指示”に従って打つと、気持ちいいほど入る。
「なんかパターがうまくなった気さえする(笑)。出玉の追尾もしてくれて、自分のタッチやラインのイメージと実際をシンクロさせるから、入るイメージがより記憶にインプットされる感じがしますね」(大西)
橋本さんは「これを続けていればいいことがもうひとつあります」という。それは、“ストロークのことを考えなくなる”ということ。ストロークではなく、ラインやスピードに意識を集中させるという理想的な状態を体験することができる。
「入らない方の多くは『イメージが沸かない』と言いますが、こうして打っていると『イメージしかわかない』ですから」どの強さで、どこのラインに、どんな速さで打てば入るかを可視化してくれるし、グリーンの細かい傾斜も出るようになっているので、読みの正確さも磨けると思います」(大西)
プロキャディとしての顔も持つ大西だけに、キャディの技術も磨けることを期待していた。
「今度は青木プロと2人で来ようと思います! 今年は絶対に優勝したいので!」と、会場を後にした大西。選手と自分の成長のため、最新理論や機器に触れる旅路は、始まったばかりだ。